R-1グランプリ2024追記

このnoteでは、審査員の感想や来年以降のR-1などについて書いていきたいと思う。

はじめに

芸歴制限撤廃は正解という意見が多い。これは自分も撤廃すべきだと思っていたし、元々芸歴制限を設けること自体も反対だった。
しかし、芸歴制限が設けられていた3年間、大会のレベルが芸歴制限制定以前(2020年以前)と比べて低下したようには見えなかった。そして、その要因の一つにR-1という大会に重みをもたらそうとした改革があったことが挙げられる。具体的には大会の雰囲気の変更やルールの改正、審査員の入れ替わりなどである。中でもバカリズムの審査員就任はR-1の方向性に大きな影響を与えたと言える。
このような改革を重ねたことが芸歴制限撤廃と重なり、今大会のレベルは高かったと思う。しかし、世間の反応的には、優勝者を始め審査に疑問点を抱く視聴者も多かった。
今回は、各審査員の分析だけでなく、全体的な審査基準の考察も行っていきたい。

放送時間

放送時間拡大最高!!!

なんと言ってもこれに尽きる。やっぱりM-1・KOCに並び立つ大会になるには2時間はあまりにも短い。ただ、今回は伸びた30分をネタ時間に全振りした。それ自体は素晴らしい判断だと思う。しかし、審査コメントや優勝者発表の時間はもうちょっと長く欲しいとも感じた。審査員人数を7人に増やす可能性も考慮すると、やっぱり3時間欲しい。

司会者

いや、良かったと思いますよ。放送時間が伸びたことで時間に追われることはなく、余裕も出て来たように見えた。
まず広瀬アリスさん。4年連続で司会を務めていただいているだけでも感謝しかない。M-1が上戸彩ならR-1は広瀬アリスというぐらい浸透してきている。
そしてなんと言っても霜降り明星。芸歴制限を設けたのは霜降りMCも要因の一つだと思うし、霜降りの売れ方的に司会者交代という可能性もあったが、今大会もMCに据えてくれたのは感謝しかない。27時間テレビが俄然楽しみになった。
そして、粗品のロケ(粗品のyoutubeサブチャンネル)内で、R-1直前の優勝者を予想した動画がアップされていた。見てない人は絶対見た方が良い。まず、真輝志の敗退コメントをスタッフに進言したことについての裏話が興味深い。それに加え、粗品の予想はMCとして間近で見て感じた審査員の審査傾向や、準決勝配信で見たネタとの相性、出順や2本目予想などの観点からの予想が素晴らしかった。これは将来のM-1審査員を期待せずにはいられない。

ENGEIグランドスラムとの
コラボについて

もうやんなくていいかな。

審査員

提言

今大会の審査員の審査傾向が納得できない、理解できないという人達へ。
納得できないというのは個人の感性であり、納得できる審査というのは自分自身の感覚と似ているか、似ていない場合でも理解はできるの2点が考えられる。なので、特に提言することはない。
ただ、理解できない人達。前述の粗品の動画を見ていただきたいことを前提として、自分もリアルタイム視聴中に一つ思ったことがある。
それは4人目のkento fukaya終了後のCM時。これまでの審査傾向や後半5人のネタ傾向などを考慮して、寺田は点数が伸びない、サツマカワは3位に食い込みはしそう、吉住は3位以内に入る、お抹茶は点数は伸びずに敗退、どくさいはそこそこの評価を貰うも3位以内に入らず。要はファイナル進出は、ルシファー、ぴんく、吉住の3人になりそうだと思った。
結果としては、サツマカワやどくさいの点数が思ったより伸びなかったり、お抹茶があそこまでハマらないというのは想定外だったが、ファイナル進出の3人は予想通り。
印象的だったのは、寺田の敗退コメント。「kento fukayaの点数を見た時に、今日はダメだと思った」これが今大会の雰囲気や審査傾向を端的に表していると感じた。
個人的な考えとしては、はじめにで述べた、点数制へのルール変更や、審査員の面子(特にバカリズム審査員就任)で審査基準や重視するポイントが変化したことが挙げられる。例えば近年のM-1は、面白い漫才の「面白い」の部分を重視しているように感じる。一方でR-1は、面白いピン芸の「ピン芸」の部分を重視しているように感じる。具体的には芸の見せ方や独自性が挙げられる。
M-1及び漫才は、視聴者にある程度受け入れられる形があるのだが、ピン芸にはないように思う。なんなら、プロが評価しない形の方が世間的評価が高いまである。別にそれが良いとか悪いとかではないが、その感覚や認識の解離が今大会では浮き彫りになったように感じた。
審査員達のそういった部分の認識が世間にも浸透するようになれば、理解できない審査という意見は少なくなると思うし、少なくなって欲しいと思う。
と、前置きが長くなってしまいました。ここからは審査員の分析をしていきます。

※カッコ内の順位は実際の順位

陣内智則

ファーストステージ
1 ルシファー吉岡 96点(1位)
2 吉住 95点(3位)
3 街裏ぴんく 94点(2位)
4 どくさいスイッチ企画 92点(4位タイ)
4 寺田寛明 92点(7位)
6 真輝志 91点(4位タイ)
6 サツマカワRPG 91点(6位)
8 kento fukaya 90点(8位)
9 トンツカタン お抹茶 89点(9位)
平均点 92.2点
点差 7点

最高評価はルシファー。陣内史上初、トップ3をきっちりトップ3に評価。昨年までは個性的な部分もあった審査だったのだが、今年は、寺田高評価、真輝志低評価気味ぐらい。2年前最高評価だったkentoは、オチに違和感を感じたこともあってか8位と順位通りの評価となった。サツマカワへの評価は一貫して下よりの中位。

バカリズム

ファーストステージ
1 吉住 96点(3位)
2 ルシファー吉岡 94点(1位)
3 サツマカワRPG 93点(6位)
4 街裏ぴんく 92点(2位)
5 真輝志 91点(4位タイ)
6 どくさいスイッチ企画 90点(4位タイ)
7 寺田寛明 89点(7位)
8 kento fukaya 88点(8位)
9 トンツカタン お抹茶 86点(9位)
平均点 91点
点差 10点

最高評価は2大会連続で吉住。傾向が似ているイメージのある陣内との違いはサツマカワへの評価。例年高評価気味だったが、今年はしっかり高評価。一方で、街裏ぴんく・どくさいは低評価気味。下位3人は順位通りの評価。昨年最高評価だった寺田は順位通りの評価に。また、審査員内で唯一全組に異なる点数をつけ、点数差も最も大きかった。

小籔千豊

ファーストステージ
1 ルシファー吉岡 95点(1位)
1 街裏ぴんく 95点(2位)
3 吉住 94点(3位)
3 真輝志 94点(4位タイ)
5 どくさいスイッチ企画 93点(4位タイ)
5 kento fukaya 93点(8位)
7 サツマカワRPG 92点(6位)
7 寺田寛明 92点(7位)
7 トンツカタン お抹茶 92点(9位)
平均点 93.3点
点差 3点

最高評価はルシファーと街裏ぴんく。昨年の永見高評価を見るに、街裏ぴんくタイプのネタは小籔の好きなタイプのネタっぽいもんな。その他では、真輝志・kentoの大阪吉本勢を高評価気味にした一方、サツマカワは低評価気味だった。また、点差3点は2022年以降のR-1審査員で歴代最小の点差。

野田クリスタル

ファーストステージ
1 ルシファー吉岡 95点(1位)
2 街裏ぴんく 94点(2位)
2 吉住 94点(3位)
4 真輝志 92点(4位タイ)
4 どくさいスイッチ企画 92点(4位タイ)
4 寺田寛明 92点(7位)
7 kento fukaya 91点(8位)
8 サツマカワRPG 90点(6位)
9 トンツカタン お抹茶 89点(9位)
平均点 92.1点
点差 6点

最高評価はルシファー。また、陣内と同じくトップ3をトップ3評価。その他では、前回最低評価タイのkento、昨年順位通りの評価だった寺田を高評価気味にした一方、一昨年最高評価タイだったサツマカワは年々評価が下がっており、今年は低評価。また、お抹茶に対しては2022年以降で初となる80点台をつけた。

ハリウッドザコシショウ

ファーストステージ
1 街裏ぴんく 96点(2位)
2 ルシファー吉岡 95点(1位)
3 トンツカタン お抹茶 92点(9位)
4 吉住 91点(3位)
4 どくさいスイッチ企画 91点(4位タイ)
4 サツマカワRPG 91点(6位)
7 真輝志 90点(4位タイ)
7 寺田寛明 90点(7位)
7 kento fukaya 90点(8位)
平均点 91.7点
点差 6点

最高評価は街裏ぴんく。最下位だったお抹茶は高評価。昨年の都留に対する高評価を思い出させる審査だった。その他では、サツマカワが高評価気味な一方、真輝志は低評価。また、吉住には2大会連続で91点、寺田に関しては3大会連続で90点をつけた。(申し訳ないが寺田90点の瞬間は声だして笑った)まさかジャルジャルの礼二89点をリスペクトしてる?二人は同期だし。

出場者側から見た
ファーストステージ

こちらも毎年恒例。

ルシファー→陣内・小籔・野田から最高評価!バカリ・ザコシからも2位評価。
街裏ぴんく→小籔・ザコシから最高評価!バカリからは低評価気味。
吉住→バカリから最高評価!陣内・野田からも高評価だが、ザコシの壁は高い…
真輝志→小籔からは高評価気味も、ザコシからは最低評価…
どくさい→バカリからは低評価気味。目立った高評価は無し。
サツマカワ→バカリからは高評価も、陣内の評価は低評価気味、野田からは低評価、小籔からは最低評価…
寺田→陣内・野田からは高評価気味も、バカリに見放され、小籔・ザコシからは最低評価…
kento→小籔からは高評価気味も、陣内に見放され、バカリの壁は越えられず、ザコシから最低評価…
お抹茶→ザコシのみ高評価。ザコシ以外の4人からは最低評価…

といった感じに。

もう少し補足すると、トップ3以外は各審査員から最高でも3位評価しか貰えていない。これは、この審査員5名となってからでは初。5位以下でも誰かから最高評価を貰う事例が発生した過去2年と異なったことが、3位と4位の点差が12点も大幅に開いた要因と言えるだろう。

平均順位

こちらも毎年恒例。平均順位で順位変動はあるのか?
※カッコ内は実際の順位。

ファーストステージ
1 ルシファー吉岡 1.4位(1位)
2 街裏ぴんく 2.2位(2位)
3 吉住 2.4位(3位)
4 どくさいスイッチ企画 4.6位(4位タイ)
5 真輝志 5位(4位タイ)
6 サツマカワRPG 5.6位(6位)
7 寺田寛明 5.8位(7位)
8 kento fukaya 7位(8位)
9 トンツカタン お抹茶 7.4位(9位)

4位タイだったどくさいと真輝志にはっきりとした差が出た以外は、順位変動は無し。また、興味深い順位の変化も発生していなかった。

冬季五輪式採点

一番点数が高かった人と低かった人の点数を除く冬季五輪式採点。今年の結果はいかに?
※カッコ内は500点満点時の点数実際の順位。

ファーストステージ
1 ルシファー吉岡 285点(475点)(1位)
2 街裏ぴんく 283点(472点)(2位)
2 吉住 282点(472点)(3位)
4 どくさいスイッチ企画 275点(458点)
(4位タイ)
5 サツマカワRPG 274点(457点)(6位)
6 真輝志 274点(457点)(4位)
7 寺田寛明 274点(457点)(7位)
8 kento fukaya 271点(452点)(8位)
9 トンツカタン お抹茶 270点(450点)(9位)

サツマカワ・真輝志・寺田の3名が同点となり、決選投票の末、ご覧の順位に、サツマカワと真輝志の順位が入れ替わった以外は変化なし。また、上下ともに3点以上の点数変動もなかったため、大幅な高評価や低評価はなかったという見方も出来る。
※サツマカワ・真輝志・寺田の三つ巴投票は、サツマカワ2票(バカリ・ザコシ)、真輝志1.5票(小籔・野田)、寺田1.5票(陣内・野田)となるため、サツマカワが最上位に。真輝志と寺田の決選投票では、真輝志2票(バカリ・小籔)、寺田1票(陣内)、同点(野田・ザコシ)となるため、真輝志を上の順位とした。

また、審査員内で、最高点及び最低点になった回数はそれぞれ

陣内 最高点2回 最低点0回
バカリ 最高点2回 最低点6回
小籔 最高点5回 最低点0回
野田 最高点1回 最低点1回
ザコシ 最高点2回 最低点2回

平均点の高い小籔と基本的に順位通りの審査だった陣内が最低点が0回。しかし、小籔は最高点が5回に対して、陣内は2回だった。野田は高低1回づつ、ザコシは高低2回づつ。平均点の低いバカリは最低点を6回も記録した一方で、吉住とサツマカワで初となる最高点を記録した。

相関係数

審査員同士の審査傾向がどのくらい似ているのかを表す審査傾向。数値が1に近いほど似ており、マイナス1に近いほど似ていない。0はちょうど無相関、つまり、相関関係がないことを表す。今年の相関係数は果たしてどうなっているのか?

陣内バカリ 0.824
陣内小籔 0.758
陣内野田 0.948
陣内ザコシ 0.589
バカリ小籔 0.588
バカリ野田 0.713
バカリザコシ 0.306
小籔野田 0.866
小籔ザコシ 0.673
野田ザコシ 0.550

まず、なんと言ってもマイナスがゼロ。昨年なんかはバカリズムが陣内以外と全員マイナスになってたぐらいだったので、今年は審査傾向が揃っていることがよく分かる。トップ3は、陣内野田、小籔野田、陣内バカリ。小籔野田、陣内バカリは昨年から継続して傾向が一致しているのだが、1位の陣内野田は過去2年マイナスから急にトップになった。この2人の審査傾向が似ていたことが今大会に大きな影響をもたらしていたことが分かる。一方、ワーストは2年連続でバカリザコシ。これはもう仕方ない。

ちなみに、自分の個人的採点と各審査員の相関係数は、

陣内 0.719
バカリ 0.757
小籔 0.446
野田 0.658
ザコシ 0.064

2年連続でバカリと一番近かった。ザコシと遠いのは吉住とお抹茶が全てかな。

また、ここからの話の参考として、現行の5名の審査員となってから3年間合計での相関係数も求めてみた。

陣内バカリ 0.690
陣内小籔 0.089
陣内野田 0.184
陣内ザコシ 0.261
バカリ小籔 0.095
バカリ野田 0.202
バカリザコシ 0.128
小籔野田 0.674
小籔ザコシ 0.447
野田ザコシ 0.478

トップ3は、陣内バカリ、小籔野田、野田ザコシ。ワーストは意外にも陣内小籔だった。

ファイナルステージ

ここでは、ラストの投票に加え、一昨年と昨年の投票も少し振り返っていく。

まず、今年のファイナルステージの投票は

ルシファー→無し
街裏ぴんく→小籔・野田・ザコシ
吉住→陣内・バカリ

という結果。

また、ファーストステージの最高得点別に分類すると

ルシファー→陣内・野田(小籔)
街裏ぴんく→ザコシ(小籔)
吉住→バカリ

という状態。
もし、ファイナルで小籔が街裏ぴんくに投票しても、M-1方式ではファーストの得点が高いルシファーの優勝になるし、R-1方式の場合は、バカリがルシファーor街裏ぴんくに再投票することになるのだが、ファーストの得点はルシファーの方が高いのでルシファーが圧倒的有利というかどう考えてもルシファー優勝という状態だった。ルシファー…

では、街裏ぴんくと吉住のみでファーストステージの評価を比べると

街裏ぴんく→小籔・ザコシ(野田)
吉住→陣内・バカリ(野田)

という状態。
つまり、ファーストの時点では互角で、ファイナルステージでは同点だった野田が街裏ぴんくに投票、他四人は変更しなかったため、街裏ぴんくの優勝となった。

ここからは、一昨年と昨年の投票を加味した上で、審査員批判の原因を探っていこうと思う。

まず、現行のR-1審査員5名のバランスは結構異常な部分がある。具体的には陣内バカリ派閥と小籔野田ザコシ派閥にはっきり分かれている点が挙げられる。しかし、相関係数を見ると、各審査員ごとの相関係数はさほど高くない。小籔野田ザコシ派閥なんかよりレジェンド審査員時代のKOC(設楽を除く)の方がよっぽど高かった。
だが、今回の投票を見て、現在のR-1審査員のバランスの悪さはファイナルステージの投票が大きな原因であるという考えを持った。

まず、2022年の投票結果。

しんいち→バカリ・野田・ザコシ
ZAZY→陣内・小籔

(ファーストステージ高得点)
しんいち→陣内・バカリ
ZAZY→小籔・野田・ザコシ

続いて、2023年の投票結果。

田津原→陣内・野田・ザコシ
きょん→バカリ・小籔

(ファーストステージ高得点)
田津原→小籔・野田・ザコシ
きょん→陣内・バカリ

優勝に直接関わるファーストステージ上位2名の評価の割れ方が2年連続で同じ。これはコンビを2組揃えたKOCでもなかったことなので、R-1審査員のバランスが伺える。とはいえ、バカリ以外は柔軟にファイナルへの投票先をファースト高評価から変更する一面もあるため、割れ方がまるっきり同じとは言えない。

そして、R-1審査員の一番のウィークポイント、それは

野田とザコシの最高評価の一致度

である。正直、この課題が浮き彫りとなるのは原点回帰と言える。3年連続で投票先が同じ、今年こそ異なるものの、2年連続でファーストステージ最高評価先も同じ。5人しかいないR-1審査員にとって、この2人の傾向が似ているのは非常にまずいかも。

ただ、R-1ほど言われてないだけで、M-1、KOCもこのような最高評価や投票先があまりにも似すぎている事例があるかもしれない。そう考えたので調査しました。

まずはKOC。
レジェンド審査時代では、ファイナルステージで松本・大竹が4年連続(2016~2019)、松本・さまぁ~ずが3年連続(2017~2019)、バナナマンが3年連続(2016~2018)で同じ組を最高評価。(2018は全員ハナコを最高評価)ファーストステージでは、松本・さまぁ~ずが4年連続(2017~2020)で同じ組を最高評価。
また、2本合計では、バナナマンが4年連続(2015~2018)で同じ組を最高評価。と、レジェンド審査時代に最高評価の傾向が似ることは大いにあった。特にバナナマンはKOCの採点方式である2本合計では5/6で最高評価の組が同じだった。
現在の歴代キング審査では、さらに傾向の一致が顕著に。ファイナルステージ、ファーストステージ、そして2本合計の最高評価は、2022年の山内以外は全て一致している。全体的な採点や相関係数からは想像出来ないレベルで最高評価「だけ」一致しているのが現在のKOC。

続いてはM-1。(2015年以降)
最終決戦は、礼二志らくが5年連続(2018~2022)、松本礼二が3年連続(2021~2023)で同じ組に投票。3回連続以外は、富澤邦子が2回連続(一致率100%)、志らく塙が4/5で投票先が一致していた。
ファーストステージ(最終決戦進出3組内での最高評価)は、礼二塙が3年連続(2018~2020)、松本志らく巨人が3年連続(2019~2021)、富澤塙が4年連続(2019~2022)で同じ組を最高評価。(2019年は全員ミルクボーイを最高評価)また、松本巨人は、松本が霜降り、巨人が霜降りジャルジャルを同点に評価した2018以外は全て一致している。

と、このようにファーストステージ、ファイナルステージ(最終決戦)で評価する組が一致することは思ったよりも多い。ただ、好みや評価基準が多様なピン芸の大会であるR-1でここまで一致するというのは少し改善を検討する必要があるのかもしれない。

R-1改善計画

ここからは、R-1グランプリをどのように改善していくかについての意見を述べていく。

改善すべき点は2つ。

審査員7名制
放送時間3時間

まず、審査員7人制については、現状3年連続同じ5名が務めており、さらに今年は芸歴制限撤廃やネタ時間の増加なども要因もあってか、審査傾向が似ていたことも踏まえると、審査員の増員を考えるべきフェーズに入っていると思う。ただ、新たに加える審査員を誰にするかという人選は非常に難しい。現在の審査員からの高評価が得にくいネタを高評価してくれる人が欲しいとは思うが。
次に、放送時間3時間。これについては、放送時間の項で述べたように、審査員の講評を聞く時間をきちんと確保するならそれぐらいの時間が必要だと考える。審査員を7人に増やすなら尚更。
この改善案を考えている時に思ったのは、2021年のR-1は、ファイナリスト10組、ファイナル3組、審査員7名で大会を開催していたことである。しかし、2021年の放送時間は2時間(飛び降りを考慮すると1時間54分)だった。だから、ネタ時間3分でも巻きが入るという大会になってしまった。
個人的にR-1グランプリのゴールというのは、この2021年のR-1を放送時間3時間で開催すること(もちろん芸歴制限は無し)なのではないかと考える。そして、来年以降のR-1で注目したい点は、3時間の枠を与えられるような大会になるかどうか。その判断基準にはファイナリストのネタはもちろん、運営の腕も必ず問われるだろう。来年は点数の誤表示や著作権の問題など、大会としてマイナスな印象を与えるようなミスを無くして欲しい。本当に頑張って欲しい。叩かれるR-1はもう勘弁。

総括

今年のR-1感想noteと追記noteは、例年よりも文字数が多く、自分自身の熱量も過去一番あった。その理由は、R-1グランプリが素晴らしい大会になる可能性を感じたからに他ならない。M-1とまではいかなくとも、THE SECOND、ゆくゆくはKOCと肩を並べる影響力を持つ賞レースになって欲しいと思う。そのために、まずはENGEIグランドスラムの補助輪を外すという目標を達成していただきたい。

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