0503
とかく日本人は数字に意味を持たせたがる。
4からは死を連想し、9からは苦を連想する。
4649はよろしくだし、4989は四苦八苦。
008はおおばと読む。
閑話休題。
企業の電話番号は語呂合わせでキャッチーなものにしたほうが宣伝効果が高まるし、何より覚えやすい。
「お電話番号を伺ってもよろしいでしょうか?」と電話口で言われたとき、「少々お待ちください」と最近買ったばかりの名刺入れから名刺を取り出す必要もなく、諳んじることができたほうがいい。
「諳んじる」は「そらんじる」と読む。元は「そらにする」という意味がある。
ソ、ラ、と音階が続くからだろうか。声に出して読みたくなる。
そらん、と右肩上がりのアクセントは、じる、でふわりと着地する。
最近覚えたことが2つある。
1つが会社の代表電話の番号。
うまい語呂合わせはないが、例えば2を「にー」、5を「ごー」のようにお尻を伸ばしてあげるとリズミカルになる。
「諳んじる」と同じく、不思議と口ずさみたくなるような愛おしさがある。
もう1つが上司の誕生日。
5月3日、暦の上では憲法記念日。ゴールデンウィークを構成する一要因であり、3,4,5と続く祝日3連単のはじめの1日。カレンダーによっては5月2日は平日のこともあるから、5月3日がいなければゴールデンウィークは始まらない。
これは上司の前では言えないが、5月3日は語呂合わせでは「ゴミの日」ということになる。
マンションのゴミ置き場には、曜日感覚がない。ゴールデンウィークともなれば尚更で、小さなプレハブはゴミの山だ。
塵も積もれば山となる。
分別なんて考えたことすらないのだろう、後は野となれ山となれ的思考の人間たちが、その山を生み出している。
袋にはち切れんばかりに詰め込まれたゴミたちは、元の持ち主によく似ている。
ゴールデンウィーク後半戦の日曜日は、辞書にそのまま載ってもおかしくないような行楽日和になった。
どこにでも行けるはずなのに、どこに行っても後ろ指をさされる。
楽しかった思い出が心無い言葉で楽しく上塗りされてしまうのなら、それは本当に行楽なのか?
行って苦しくなるのなら、それは苦行と呼ぶ。
「諳んじる」のアクセントと同じで、楽しいことが最高到達点で終わることはなかなかない。
それなら、始めないほうが良かった。と、始める前に気づける人は多くない。
誤算だった、と口を揃える。
5月3日、語呂合わせでは、誤算にもなる。
「だい」をつけたら大誤算。
せっかくだし、もうひとつのほうにも、「だい」をつけてあげよう。
なんで「だい」をつけるのか、なんて聞くのはナンセンスだ。
だって、それがこの文章の醍醐味なんだからさ。
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