Rhythmic BEAM YOU 感想 セットリスト考察編

伊藤美来、セトリの構成が巧すぎる。

こんにちは。ぽぬです。大阪公演と神奈川公演参加しました。めちゃくちゃよかったので感想上げていきます。
といっても、全部一気に書くのはしんどいし、あまりに緻密に組み込まれているため、説明が複雑になり過ぎないよう、まずは細かい演出を省略し、今回はセットリストの解釈に重点を置いた速報とします!

まだどういう構成なのかピンと来ないひとは、できれば一度自分なりにゆっくり考えてみてほしいです。後から得る気づきもライブの醍醐味なので。

では参ります。

早速ですが、このライブは大きく分けて3つのセクションから構成されています。(断言)
そして、これらはライブを構成する大きな流れであるだけでなく、それぞれがテーマとメッセージ性をもち、アーティストとしての伊藤美来のあり方を表現する重要な要素となっています。

【第一部】

開幕、『ワタシイロ』(M1)から始まり、次に『all yours』(M2)。
僕は浅いオタク(今回が単独初イベ!)なので、大阪公演で聴いた時は、既存曲を先にやってしまってアルバム通りの順番で披露するのか??なんて思ってしまいました。しかし、3曲目に『one's heart』(M3)が披露されたので違う。むむ?当初は意図が全然読めていませんでしたが、よくよく考えると『hello new pink』(M4)のためのフラグでした。この曲は歌詞にワタシイロ、all yoursが入っていて、内容的にもしっかりオマージュされています。核となるメッセージはざっくりと言うと、

ワタシイロ(M1):変わらない自分を持ちつつ新しいものを(前向きに)受け入れていく
all yours(M2):私はあなたのもの(ふたりで一緒)
one's heart(M3):そばにいるのに気づいてもらえないが、一途に思い続けるある少女の恋
hello new pink(M4):ワタシイロ+all yours

こんな感じですかね。

こうして見てみると順番的に必然な感じがします。

また、ライブの曲順としても、人気曲のワタシイロ(M1)、観客がクラップで参加して盛り上がれるall yours(M2)から始めるのは、この声を出せない状況下での出だしとしては文句なしなのではないでしょうか。

さて、ちょっぴり元気な"恋する少女"の目線から始まったこのライブ、先述のhello new pink(M4)で少し洗練された大人っぽさを醸し出しはじめましたが、続くPEARL(M5)で雰囲気が大きく変わります。

『PEARL』(M5)。横浜で聴きたい伊藤美来の曲No.1(ぽぬ調べ)である情景豊かなこの曲は、歌詞・曲ともに往年の表現を駆使し、彼との過ぎた恋を歌っています。大人の恋愛って感じがしますね。
そして、シックな雰囲気を引き継ぎ、次に披露された『いつかきっと』(M6)では、MCでも説明がありましたが、いまの状況でなかなか会えないけど早く会いたいという、みっくの思いが伝えられました。で、続く『あお信号』(M7)。これって、GOサインのことですよね??そういう意味ですよね???ライブが無事開催されて本当に良かった😭
しかも、この二曲が作詞:伊藤美来 で、冬繋がりっていうのも個人的に上手いな〜と思いました。(どこまで狙って"制作"されていたのかは知る由もありませんが…)

ここまでが第一部なのかなと個人的には思います。
そう。まだ三分の一しか過ぎていないのです。(めちゃ濃厚!)


【第二部】
先ほどまでは"恋"と"自分らしさ"というのがテーマでしたが、ここからの第二部(M8〜13)では"夢"と"愛"がテーマになります。

『ガーベラ』(M8)。花言葉は希望、(常に)前進、神秘。胸に芽生えた、簡単には叶わない夢に焦がれ、何度も間違いつまづきながらも先へと手を伸ばし続ける。力強く、切実に訴えかけるようなパフォーマンスがあまりに見事で、今までとは明らかに違う!!という印象を受けました。

しかもその後間髪いれずに『vivace』(M9)。ここでブッ込んでくるか!??普通???
ベッドまで登場し、憂鬱なルールを妖艶に表現した伊藤美来。これは夢?それとも現実なのか??

そんなふうに意表をつく並べ方で観客をすっかり魅了したところで幕間映像として差し込まれたモーニングルーチン。
寝起きの寝ぼけた様子から慌しく家を出て行くところまで、ワンカット風の映像で表現されている。
この部分に関してはまだ謎も多く、人によって解釈分かれそうです。

さて、次はきっと朝の曲だな!と思ったのも束の間、強烈なインパクトとともに披露されたのは

『BEAM YOU』(M10)。

他の誰かじゃない"あなた"に出会い、あなたにもっと可愛いと言ってもらいたい。感情を分かち合いたい。

びーみゅーびーみゅー言ってるので忘れてしまいそうになりますが、そんなメッセージ性を感じる曲です。

続いて、『Plunderer』(M11)と『孤高の光 Lonely dark』(M12)。TVアニメ「プランダラ」のOPであるこの二曲は、アニタイらしく壮大で盛り上がる曲調です(ぼくの大好物)。また、歌詞もアニメの内容に則しており、物語の中で重要なキーワードである"星"、"夢"(理想)をテーマにしている。Plunderer(M11)は"あなた"と出会い、夢に向かって"ともに"進んでいこうという内容を描いている。孤高の光 Lonely dark(M12)では、叶えられなかった夢を諦め、本心を隠して生きている"あなた"の壮絶な過去を知り、全てを抱え込まなくてもいいんだよと語りかける。

ということで、このブロックの流れで見ると、あるストーリーが見えてきます。ガーベラ(M8)の、叶わぬ夢であっても一歩ずつ進んで行く姿は、プランダラのことを歌っているようにも思える。そして、BEAM YOU(M10)の"完璧な笑顔"は、大衆からの目から本心を隠す仮面であり、運命の出会いがそれを外すという意味合いにも捉えられ、これまたプランダラのお話に近いような何かを感じます。
熱量いっぱいに歌う『Born Fighter』(M13)でも、「"お行儀よく"は終わり どこでも思うままに」で仮面が外されますし、「いつか見たい景色 この道の上で きっと出会えるから 諦めない いつかたどり着いて また進んでゆく こんなところじゃ燃え尽きない」という歌詞はまさにこの第二部の主題とも言えるでしょう。これは意図的なのか?それとも偶然?単なる深読み??いずれにせよ本当にテーマの組み立てが上手い。後から振り返ってそう思いました。
また、全てRhythmic Flavorに収録されている曲で、いままでの伊藤美来にはない一面(表現)を魅せるという意味合いもあると思います。(というか多分こっちの方がメイン)
甘美な幸せを分かち合う愛、辛い苦みを分けあう愛、それらが音楽として、言葉として、しっかりと物語的に展開されるセクションでした。

【第三部】

さて、最新の伊藤美来による表現力と壮大すぎる物語と音圧によって会場もすっかり熱気に包まれたところで、ライブもいよいよ最終盤。
またまた雰囲気は大きく変わり、みっくといえば!のブラス曲でフィナーレを迎えます。
手始めに『恋はMovie』(M14)。これは第二部のことを指していそうですね。
「一人きりじゃない とびきりのLife 次はふたりで Show time!」。
この曲に関しては第二部の締めとも捉えられるので、夢から現への橋渡し的なイメージを抱いてます。

最終第三部は、夢からの目覚め、あるいは夢と現実がテーマとなっています。

『Sweet Bitter Sweet Days』(M15)
「朝寝坊 遅刻(おく)れそうな8:00 昨夜(ゆうべ)遅くまで映画観ていたの反省」
またまた映画。やはり第二部のことを指しているということで間違いないでしょう。
またこの曲は現実のわちゃわちゃした出来事が具体的に描写されています。
忙しい女子の日々は、"夢"や"憧れ"とかいった昨夜見ていた映画のよう大きなスケールのお話とは対照的だけど、日々も夢もどちらも大事にしたいし、精一杯頑張りたいというメッセージとして捉えられました。

『Good Song』(M16)
本編最後を締める曲。
「目を開けたら もう 朝が来ていた 眩しい香りの Good day おちこんでいた 昨日の夜は夢においたまま」
「大好きな音 全部吸い込んで 育ってく」
「どんなときも 変わらないリズム」

みっくの出した結論。ワタシイロ。そして日々を生きる私たちへのメッセージ。

なんでも全部は出来なくても、うまくいかない時があっても、前向きな眼差しで良いと思えるものを見つけ出し、それを自分のものとし、出来ることをやっていこう。ただし、自分らしさは大事にして、自分だからこそ出来ることを広げていこう。
このライブツアーを通して、そういう気持ちが伝わってきました。

泣いちゃったMCで、あお信号書いたときは「こんな私だけど 見つけてくれた」だったけど、今はこれが伊藤美来ですって胸張って言える!という趣旨の話をされていたので、きっと、今回のツアーで、彼女の思う、見せたかったライブが完成したんだろうなと思います。

まだ彼女を知り始めたばかりの自分にとっても、その瞬間に立ち会えたことはとても嬉しいし、そこからさまざまな刺激を受けることができて幸せです。ありがとう!!

今回の感想は以上です!続きはまた今度!


余談1:幕間映像(モーニングルーティン失敗ver.)はSweet bitter sweet days(M15)に相当するのではないでしょうか。
実際、時計は8:40頃を指していたみたい(情報提供者に感謝)なので本当に時間がアウトでアイラインとか、やかんのこと気にしてる場合じゃないレベルだったと推測します。全然始末出来てないあたりがこの曲に出てくるダメな女の子らしくないですか???

余談2:今更ですが、Rhythmic Flavorのマスカットは、一つ一つ味が違うけど、全部房で繋がっている(一つのアルバム内に繋がりを持って詰まっている)ということを意味してたりするのでしょうか

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