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ゲームがネトウヨをリベラルにする

三秒前に、フォロワー氏のとある記事を読んだ。

 この記事はこれまで私の中でモヤっとしていた疑問を言語化してくれた記事であったため、飲み会帰りで酒に酔っていたこともあってか、非常に感銘を受けた。そこで、書かねばならぬこの記事をと思い立ち、酒の勢いで眠たい瞼(まぶた)を擦りながらこのブログを書いている。酔拳ならぬ、酔文というわけだ。

 唐の時代の詩人である杜甫(とほ)が李白(りはく)のことを詠んだ『飲中八仙』という漢詩がある。その漢詩に、「李白一斗詩百篇」という一節がある、李白は酒を一斗飲むたびに百篇の詩を作れるという意味だ。

 そんなお酒大好き詩仙、李白にあやかろうかと思う。5杯の酒を飲んだので、5000文字を秒速で書く男になることにした。

 それでは、さっそく本題に入ろうと思うのだが、皆さんは「ネトウヨ」といわれて思い浮かぶのはどのような人物だろうか。

 さしずめ、以下のイラストのような人物ではないだろうか。

 すなわち、終日2chにへばりつき、主に韓国人や在日(日本に在住する韓国人)に対する人種差別的な内容を書き込んでいるニートといった具合だ。

 確かに、旧2ちゃんねる(5ちゃんねる)やTwitterをみると韓国へのヘイトが渦巻いている。

 そして、そういったインターネットの活動家は往々にして、アニメオタクと結びつけられることが多い。「ネトウヨにはアニメアイコンのTwitterアカウントが多いよね」(冷笑)といった類のツイートを何度もみた記憶があり、現にアメリカ版のネトウヨ(Alt-right)は、アニメライト(Anime-right)と呼ばれることもあるように、アニメオタク=ネトウヨというイメージが存在する。

 また、若者の右傾化が叫ばれていることもあり、インターネットの排外的な情報に触発された学生がネトウヨ化する、ネトウヨとまではいかないでも人種差別的な傾向が強まるといった話が巷には流布している。

 何を隠そう。私自身、高校生時代にKazuyaという右翼的なYoutuberの動画にハマったことをきっかけに、愛国心に目覚め、保守速報などのネトウヨまとめサイトを読み漁り、田母神俊雄の都知事選出馬に熱狂していたバリバリのネトウヨであった。従軍慰安婦が韓国による捏造だと本気で信じていたのも懐かしい黒歴史である。まさか自分がネトウヨを批判するドキュメンタリー映画、『主戦場』を観に行くような人間になるとは当時の私は想像もしていなかっただろう。

 今では、若者右傾化論とオタクネトウヨ論が悪魔合体したような最悪のネトウヨ像がインターネット上を徘徊している。旭日旗をヘッダーにして、アイコンがアニメの萌えキャラというTwitterのアカウントは割とテンプレなネトウヨ像ではないだろうか。bio(プロフィール)には、当然「普通の日本人」「日本が大好きな日本人」「政治的立ち位置は中立です」といった紋切り型のフレーズが並んでいる事だろう。

 しかし、実はオタクコンテンツであるゲームがむしろ人種差別的な意識を撤廃するのに役立っているという話を今回はしたい。

  ゲーム脳という世迷言をエビデンス()にして、ゲーム規制条例を作ってしまう激ヤバうどん帝国が今現在も存在しており、ゲームに対する一部の人たちのイメージは最悪極まりないものである。

 そんな子供たちへの悪影響ばかりが論じられるゲームが実は差別意識の解消、異文化理解、中韓友好、国際交流といった平和への架け橋になっていることを語っていく。

 女子高生社長こと、椎木里佳の会社が調べた2020年JC・JKトレンド予測のアプリ部門に、「第五人格」という中国発祥のゲームアプリがランクインした。

 第五人格は、ハンターとサバイバーの陣営に分かれて遊ぶゲームで、いわゆる、泥棒役と警察役に分かれて遊ぶケイドロ(ドロケイ)である。

 第五人格は中国企業が制作したゲームで、中国のeスポーツ市場は2018年の時点で、1兆4592億円(CNG『2018年電子競技産業人材報告』調べ)にも及び、日本の 48.3 億円(Gzブレイン)と比べても文字通り桁違いの規模を誇っている。

 2019年に、第五人格の世界大会が行われた際、大会への出場枠として、中国8枠、日本2枠、韓国2枠、香港&マカオ&台湾2枠、東南アジア2枠、欧米1枠があてがわれた。ここからこのアプリの国別人口構成比がお分かりになるだろう。

 このゲームは、ハンター(警察役)から、サバイバー(泥棒役)四人がチームを組んで逃げるゲームなので、必然的に言葉の通じない他国の人と組むことになる。しかし、そこはゲームであるので、言葉が通じずともゲームのアクション、要はジェスチャーを使って意思疎通を図る。バベルの塔は、神の怒りを買った人類が言語をバラバラされ、互いに意思疎通出来なくなったことにより建設に失敗したが、ゲームの勝利のためには言語の壁も乗り越えてしまうのがゲーマーだ。

 さらに、小学生や中学生が初めて中国人や韓国人といったアジア圏の外国人と交流する場がオンラインゲームだったりすることは非常によくある話だ。

 かくいう私も高校生時代にやっていたネットゲームで、シンガポール人と仲良くなり、互いの学校で習っている勉強やそれぞれの国の話を拙い英語でした思い出がある。もちろん、会話の大半はゲームとアニメの話であったが。そして、彼女とは今でも交流があり、時々ネット上でやり取りをしたりもする。

 また、大会に出場するようなトッププレイヤー(最上位組)間の国際交流試合なども定期的に行われており、その様子がYoutubeなどの動画配信サイトで、配信されている。

 こうしたトッププレイヤー、俗にいうプロゲーマーに属する人は、動画サイト(Twitch・bilibili・Youtube・Mirrative)を使って、配信することで収益をあげてもいる。プロゲーマーは大会の賞金だけでなく、Youtuber的な方法でも利益をあげていることは、意外と知られていない。特に、日本のようなeゲーム後進国では、そうでもしないと割に合わない。

 eスポーツとは、こうしたプロゲーマーの試合を興行として、観戦するものである。

 ゲームが上手くなりたい子供たちは、eスポーツ先進国である中国や韓国のトッププレイヤーたちの試合を観戦する。彼ら・彼女らにとって、トッププレイヤーはまさに神のごとき存在であるため、彼ら・彼女らの人種を理由に誹謗中傷することはなく、むしろ、中国や韓国といった国に対するポジティブなイメージを持つようになることが多い。

 私自身の話となるが、私は韓国のアイドルグループ、IZ*ONE(アイズワン)が好きで、彼女たちの出演する番組やラジオを聴いて、韓国の文化が好きになった経験がある。

 現在、第三次韓国ブームと呼ばれる、若者、特に女子高校生の間で、韓国コスメや韓国のファッションが流行っている現象が起きている。

 こうしたブームの担い手となっている女子高校生の多くが韓国アイドルにハマったことをきっかけとして、韓国文化に興味を持つようになったことがブームの原因だといわれる。

 このように、インターネットを通じて他国の文化に触れる機会が若者の間では多く、殊にゲームにおいては、他国の人間とほぼ必ず関わる機会がある。SNSやスマホゲームが普及した現代の若者は、インターネットを通じた国際交流を行う機会が激増している。インターネットは、ネトウヨを生むと同時に、リベラルも生んでいるのだ。はっはっはっは

 最後に、話をまとめると、

 みんなも第五人格をやろうネ!!!^^

注意

 念のために、補足的な話をしておく。樋口直人らによる『ネット右翼とは何か』という本による調査によると、実際ネット右翼に年齢的な偏りは見られなかったそうだ。それと、遠藤晶久とウィリー=ジョウの『イデオロギーと日本政治』によると、世界的な傾向以上に、日本の若者はむしろ左傾化しており、自民党が左派の若者から票を集めているという実態を明らかになっている。まあ、要するに、左派である野党が頼りなさ過ぎて、左派の票の取り込みに失敗している、というわけ。

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