新しいはずの生活

 頭では分かっていても、気持ちが付いてこない。モヤモヤを抱えたまま、日々のルーティンをこなすだけの生活は、足踏みをしているだけのように感じてしまう。

 緊急事態宣言が解除されてから、少しずつ厳戒態勢という雰囲気が解けていき、明るい兆しが見えるようになってきたと思う。実際、自分のアルバイトもリモートだったのが対面に戻り、対面のありがたみを再確認できた。大学のリモート授業も、通学時間が要らないことで個人的には助かっている。自分の学部はテストがなしになったので、書けばほぼ間違いがないレポート派としては非常に嬉しい。

 しかし、緊急事態から"普段"の生活に戻っていくにしたがって、元の生活に戻らないのだろうかという不安が募っていく。テレビやラジオでしきりと伝えられる、「新しい生活様式」という言葉に対して、未だに拒否感を抱いてしまう。
 いや、頭の中では変えなきゃいけないことがあるのは分かっている。変化を受け入れられていないだけだ。そう思って、余計に心が苦しくなる。自分の考え方は、世間的に見たら異常者なのかもしれないと思って、無理やり矯正しなくてはいけないのではないかと考えたりもする。そんなこと、出来るはずもないのに。

 そして、この生活には、偶然の出会いがなさすぎる。ずっと家にいて、ありがたいことに経済的な被害も今のところは被っていないので、ストレスは限りなく少ない。しかし、それだけ自分の接する世界がコントロールできているということは、毎日に新しい刺激がないのだ。リモートで授業を聞いて、たまにバイトで授業して、夜になったらラジオを聴いて、深夜4時とかに寝て、昼前に起きる。その繰り返しでもう半年。それなりに楽しいけど、同じところで足踏みしてループしているような感覚。
 中高・大学の学校生活、沢山行っていた音楽やお笑いのライブ、これまでの生活がどれだけ刺激に満ちていて、変化に富んでいたことか。

 ふと気づいたら、再開したよしもとの劇場のスケジュールを見て、チケットを買おうとしてしまっている。
 どうも、自分が思うよりも、かつての生活が僕は好きだったみたいだ。

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