依然プログラム

 予告から遅れに遅れたUNISON SQUARE GARDEN「プログラム15th」感想文。いや、まだまだ余韻に浸れるぐらいの最高のライブだったので、しっかり書いておきたい。とりあえず早く円盤化してほしい。

 僕はUNISON SQUARE GARDENというバンドが好きだ。勿論良い曲だから、演奏がカッコ良いから、歌が良いから、そういう理由もあるけれども、筋の通った行動をしてくれるバンドだからという理由も大きい。音源のリリースの切り方、ライブツアーの切り方から、セットリストの組み方、ライブでの振る舞いまでこだわりが感じられる。一言で言うと、「信頼ができる」ロックバンドだから、心配なくついていくことができる。過剰なファンサービスより何より、安心させてくれることが一番のサービスだと思う。

 そんな彼らが「祝ってくれ」「友達を誘って来てくれ」と言う15周年記念ライブ。野外だろうが、東京からトンボ帰りの行程になろうが、行くっきゃない。たった1組のバンドのために、普段はサマソニで使われるような野外の会場が一杯になっている光景は爽快だった。

 そんな大切なライブの冒頭は、いきなりのアカペラから始まった。今までライブで披露されてこなかった「お人良しカメレオン」。丁寧に大切そうに歌われるその曲に代表されるように、その日のセットリストはシングル・代表曲を連発しながら、バンドとリスナーの関係を確かめるように進んでいった。

 「だから今その声を捨てないで 喧騒の街 君を見つけた」「僕は僕のために そう例えば僕はそう だから君のために君はいるんだよ」(お人好しカメレオン)
 「その声がする方へ僕は歩き出す 君の待つ場所へ」(cody beats)
 「僕がいて あなたがいて それだけで十分かな」(オリオンをなぞる)

 レア曲で盛り上がり、めったに聞けないバラードに浸り、普段のツアーではやらないキラーチューンの畳みかけに狂い踊り、と最高だったライブの中にさりげなく込められているメッセージ。「オリオンをなぞる」で"あなた"を強く歌いあげる斎藤さんの歌声が強く心に残った。

 そんな中、最後のMCの直後に歌われたのが「さわれない歌」。代表曲ではないけれど、ファンとバンドの関係を歌っているとされ、大切にされている楽曲。
「届くならlet me sing, let me sing 誰にも触れない歌をずっとね」 
あくまでもさりげなく、距離は保ちながらも、ずっと続けてくれるという安心感。派手なことで喜ばせるより、些細な関係をおざなりにしない信頼感。

 どこかの誰かのために頑張るより、手を握れる範囲を裏切らない。そんなバンドが僕は好きで、そんな人を目指して生きていたいな。

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