元ミーハーの人が現ミーハーを笑うのはみっともないよね。(150120)

 飛び道具がないといかん。おっちょこちょいのミーハーが「なになにー!?」って寄って来るようなもんじゃあないといかん。 コアファンが作り上げたものが新規の流入で壊れる…なんて歓迎しない人もいるけど、小規模なコミュニティがあったから維持出来た文化は、どうせいつか消えちゃうもんだろうし。
 後、消費してるだけのファンっていうのは、文化の担い手じゃないと思ってるんだよね。支える事は出来たとしても。 音楽が好きっていうのは、踊りや端唄、三味の類なら実践が伴うんだけど、今はパーソナルな『音楽鑑賞』に偏り過ぎてるのが不健全だよなあ。 フィジカルが伴わない音楽なんだもんなあ。
 家での音楽鑑賞の何がいかんかと言うとさ。ボディソニックを感じられないところなんだよな。(フリの真似が伴うなら別だけど) やっぱり、理知だけで音楽を楽しむのって、楽しくないもんなあ。 肉体から精神に、精神から肉体に。相互のフィードバックないと、不完全な音楽体験な気がしてならないよ。

 僕が若者向けの音楽に否定的な、揶揄するような事言う人あんまり好きくないのは、ファンから「ライブに行きたい!」と渇望されるようなミュージシャンというのは、それだけで価値があると思ってるからなんだよね。 確かに、夢中なせいで振る舞いが変な人もいるか知らんけど、それは単に若いだけでさ。
 「全○○ファンと繋がりたいんです!」なんて心性は『ムカデ人間』のようで不快だし、批判的な文言みて「は?○○なめてんの!?」みたいに突っ込んで行く人はしょうもないなあとは思ってはいるけどさ。 そういうファンがいるから○○はダメだ…みたいな言い方する人は、瑞々しくないからなんか嫌だ。
 「世の若者が夢中になっている○○は、ルックスとファッション先行で音楽的に見るべきところがない。よって、○○を応援する若者は、須く音楽オンチたるべし」なんて様式の批判をやる人は、ひっくり返すと「それに引き換え音楽的価値がある××を聴いてる自分は立派な音楽聴き」って言いたいんだよな。
 そういう形でものを言ってしまう人は、自分が若い頃に「こんなおっさんになりたくないなー」って思ってたおっさんに、既になっちゃってる事に気付いてないんだよな。きっと、若いつもりの延長戦なんだよ。 若いつもりのやつは、源氏物語の光ですらみっともないから、止した方が良いんだよな。きっと。

 ちょっと話がズレたけどさ。少なくとも第二次世界大戦後、ファッションやスポーツやテレビバラエティみたいな、ポップカルチャーと結びつかない音楽なんてあったのかね? あるいはそういった文化に全く触れる事なく音楽だけ切り取って聴けた人なんてリアルタイムでいないでしょ?(と決めつけます!)
 いつの世も若者は、素敵なものを体現してる音楽を聴いてる訳じゃない? それが何かは、ぐるぐる変化していくけどさ。マイケル・ジャクソンも、一回消化された後は記憶が薄まるまでずっとゴシップの対象とされて、音楽も含めて否定的に語られてたのが、急死した後は音楽的再評価がなされたりした訳で。
 素敵なものだと思わせるようなもの。それが何かは本当にケースバイケースだけど、流行ってるものには必ずそういうものが飛び道具として機能して、射抜かれた人達がいるはずなんだよ。 まあ人間、いつかは熱量を失っちゃうもんだし、素敵さが感じられなくなる日も必ず来るとは思うけどさ。けれどもさ。
 誰か他人に提示されたキャッチャーさに惹かれて入り込んだ人が、通い続けるうちに自らの中に独自の素敵さの尺度を作り上げて、強固なファンになっていくってのなんて、ごくごくありふれた光景な訳じゃない? 活動を支えるに足るだけの十分な数いれば、ミュージシャンの寿命が伸びるという話な訳でさ。
 そうして強固なファンとして堆積した皆さんのうち何割かは、ミーハーであった頃の自分をコロっと忘れてる人がいるんだよなあ。時代は繰り返す。2度目は喜劇だってみんな知ってる筈なんだけどなー。 ただね、それ以外のうち何割かは、誰かに提示する側なれてたりする訳じゃない。そっち側になろうよ。

 一番良い例はわくわくさんだね。ゴロリっていう年少の友人にさも面白そうに説明してあげてるでしょう?そして実演するんだ。 『つくってみなよ』でも『つくってあげる』でもなく、『つくってあそぼ』なのが最高。 そこを、『つくったことないの?』で行くやつが多いんだよなあ。勘違いしやがって!!
 社会全体を巻き込むような大火であっても、いつかは終わる。けど、どっかにおき火さえあれば、それが種火になってもっかいボウボウ燃える事もあるじゃない?全盛期は一度だけとは限らない訳じゃない? じゃあ誰がその種火を守るか。あるいは付け火していくかと言えば。そんなのファンしかいないよね。
 無垢な善男善女に、「ほら、火って綺麗でしょ?それにあったかいんだよお」ってそそのかして、「これから毎日家を焼こうぜ?」なんて引き込める様でなきゃあ。 そして、そうやってオルグされた人がまた別の人をオルグして…連鎖して大火になったらサッと身を引いて、また一消費者に戻れば良いんだよ。
 後は火だるまになった若い衆が、あちこち駆けずりまわってまた大火になるさ…なんて簡単なお話では、勿論無い。 あなたはわくわくさんでは無いし、彼らもゴロリではない。それぞれ独立した一個人。 だから、自分が好きなものが世の中で無視されているように感じられて淋しいなら、色々努力しないと。
 前述の通り、素敵さを体現するものに人は惹かれる訳でさ。 話者自身が素敵な人だったら、きっとそこをフックにして興味持ってくれる人もゼロじゃないと思ってるよ。 逆に、素敵と思われてない人が陶酔的に語る物事は、実際どれだけそのブツに価値があろうと、顧みられないってケースもあるじゃない?

 そこら辺に気づきもせず、ただ漫然と嘆いてみたり、揶揄の言葉を投げるだけの人をさ。若い頃の自分が「格好いい人だ!この人から色々教えてもらいたい!」なんて仰ぎ見たかどうかって事なんだよな。 まあ、音楽の話に擬したけどさ。社会に言葉投げる時にそこ意識してない人はちょっと信頼が置けない。
 小さい規模で成立する小規模な文化なり何なりを少人数のコミュニティでひっそりと愛するならそれで良いんだけどさ。 人数いない事にはそもそも成立しないもの、持続不可能なものもあるじゃない? だったら、騙くらかしてでも必死で構成員増やそうと努力する人に僕は共感するなあ。 これって僕だけ?
 自発的な、熱意ある人だけで構成されるコミュニティ以外は不純だからダメだー!なんて人の方が多いかも知らないなあ。いや、何に限った話ではないけども。 まあ何事も向き不向きね。僕が息苦しくて嫌だなーって思ってる部分に、「なんて密度の濃い!」みたいに惹かれる人もいる訳で。好みの問題だね。

 ただ一個だけ言える事は。純粋さだけを求めるならば、その組織は数百人規模まででしょう。 成員個々のパーソナリティを何かしら認識した上で、直接的見返りも無い中、お金も時間も精神も溶かし、多大な負荷に耐えながら、集団の利益の為に行動出来る人ばかりで固めなきゃいけないのはとっても大変。
 しかも悲しい事に、100人が100ずつ持ち寄った1万と、1万人が1ずつ持ち寄った1万とでは、勝負にならんのだよな。 そっから100増やすのに、前者は100出してくれる構成員を1人確保しなきゃいけないけど、後者は100人がもう1ずつ出せば済むんだもの。 土台、無理なお話なんだよね。
 しかも、世の中では前者の全員が100出してないケースの方が多いからね。10くらいってところじゃない? しかも、後者にも10出してる人は何人も混じってたりする訳で。 それなのに、「俺たちは強固なファンだー!」って声上げる百人隊っていうのもいるんじゃないかなあ、とかぼんやり考えるよ。
 そうこうしてる内に、1万人の方はどんどん大きな渦を生み出してるかも知れない。 100人が一度に行動してても目立たないけど、1万人が動けば目立つから、その中で、集団の掲げる魅力に惹かれるかも知れない。 あるいは、集団の中でゆるーく団結して行動する事に愛着示す人も出てくるかも知らん。
 後、1万人もいれば、集団の中で目立とうと悪ふざけするやつもいるかも知れない。 けど、そこらへんの愛が薄く見える人々を、百人隊の人間が非難したところでさ。 1万人でワイワイやってる人たちに気付いてもらえる訳ないじゃないの。 それに、それを集団内部でなんかする機能も元々ない訳だしさ。

 取り敢えずさ。過去の大火の燃え残りでずっと暖を取っている人や、自分たちでおこした小さな種火が消えちゃわないようにしている人に関しては、よそ見なんかしないで自分の目の前の火の事だけを大事にしていて欲しいんだよね。 いつ消えるか分からないようなものなんだから、小枝をくべ続けないとさ。
 あるいは、大きく燃えている火に関わるんならば、自分でその中に分け入っていって、何がどういう感じで燃えて、その後どうなるかを良く観察するとかさ。あるいは、そこら辺にあるよく燃えそうなものかっぱらって自分達のところに持って帰ってきちゃうとかさ。その程度で留めておくのが良いと思うのよ。
 だってねえ。伝わるはずも無い言葉連ねたところで、自分の所属してる集団の内輪で楽しめる程度なんだからさ。 しかもそれをやらかす事によって、「どんなものかな?って様子を伺ってた人が、声もかけずに回れ右しちゃうかも知れないじゃない? いい年の人間が、年少者揶揄するのは割と下品だからね。
 取り敢えずの結論としては、他所かまってる暇があれば、自分が大切に思ってるものを大事にしていく事と、誰か新しい人にも大事に思ってもらえる様な努力を続ける方が良いんじゃないか、といったところでしょうか。 こんなの、言うまでも無い事ではあるんだけどさ。みんなでそれぞれ楽しみましょうよ。

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