関税率表 第15.21項

第 15 類 動物性又は植物性の油脂及びその分解生産物、調製食用脂並びに動物性又は植物性のろう

15.21 植物性ろう(トリグリセリドを除く。)、みつろうその他の昆虫ろう及び鯨ろう(精製してあるかないか又は着色してあるかないかを問わない。)
1521.10-植物性ろう
1521.90-その他のもの

(Ⅰ)植物性ろう(トリグリセリドを除く。)(精製してあるかないか又は着色してあるかないかを問わない。)
次に掲げる物品は、主な植物性ろうである。
(1)カルナバろう:これは、やしの一種である Corypha cerifera 又は Copernicia ceriferaの葉から浸出したものである。帯緑色、帯灰色又は帯黄色で多少油の性質を有し、やや結晶性の構造をした、きわめて脆(もろ)いもので乾草のような快い香気を有する。
(2)Ouricury wax:これは、やしの一種である Attalea excelsa の葉から得られる。
(3)やしろう:これは、やしの別の種である Ceroxylon andicola の葉の付け根から自然に浸出したものを木の幹から集めたものである。本品は、一般に多孔質の脆(もろ)い球状形で帯黄白色である。
(4)カンデリラろう:これは、ある種のメキシコ産植物(Euphorbia antisyphilitica 又は Pedilanthus pavonis)を水で煮沸することによって得られる。本品は硬い半透明の褐(かっ)色の物質である。
(5)甘蔗ろう:これは、自然の状態では、甘蔗の表面に存在するもので、工業的には、砂糖製造の際に生ずる浮きかすを精製することによって得られる。粗製の状態では帯黒色で軟かく甘蔗糖みつに似た臭気を有する。
(6)綿ろう及び亜麻ろう:これは、その植物性の繊維中に含まれているもので溶剤によって抽出する。
(7)オコチラろう:これは、メキシコに生育するある種の樹木の樹皮から溶剤によって抽出したものである。
(8)ピサングろう:これはジャワ地方のある種のバナナ樹の葉の上の粉末(dust)のようなものから得られる。
(9)エスパルトろう:これはアフリカハネガヤ(esparto grass)から得られ、乾燥した草の束を広げる時にダストとして集められるものである。
この項には、植物性ろうで粗製のもの、精製したもの、漂白したもの及び着色したものを含む(塊状、棒状等であるかないかを問わない。)。
ただし、この項には、次の物品を含まない。
(a)ホホバ油(15.15)
(b)商取引上ミルテろう及び日本ろうとして知られる物品(15.15)
(c)植物性ろうの混合物
(d)動物性ろう、鉱物性ろう又は人造ろうを混合した植物性ろう
(e)脂肪、樹脂、鉱物質又はその他の物質(着色料以外のもの)を混合した植物ろう
これらの混合物は、一般に 34 類(通常 34.04 又は 34.05)に属する。
(Ⅱ)みつろうその他の昆虫ろう(精製してあるかないか又は着色してあるかないかを問わない。)
みつろうは、みつ蜂が巣箱の中の六角形の巣房中に生成した物質である。自然の状態では、粒状で淡黄色、オレンジ色、時としては褐(かっ)色をしており、独特の快い香気を有す。
漂白し、精製したものは、白色又はわずかに黄色で、かすかな香気を有する。
これは、ろうそく、ろうびき布又はろうびき紙、マスチック、磨き料等の製造に使用する。
その他のこん虫ろうのうちで最もよく知られているものには、次のものがある。
(1)ラックろう。セラックからアルコールで抽出して得られる。セラックの臭気を有する褐(かっ)色の塊状物である。
(2)支那ろう(昆虫ろう又は“tree-wax”とも呼ばれる。)。これは、主として中国においてみられる、ある種のとねりこの樹の枝に生育するこん虫類の分泌堆積物で帯白色の結晶状になったものを集めて精製(沸とう水で溶解、ろ過)したものである。これは白色又は帯黄色の、光沢を有する無味の結晶性物質で、タローに類似した臭気を有する。
みつろう及びその他の昆虫ろうは、粗の状態のもの(天然の巣房状のものを含む。)であっても、圧搾若しくは精製したものであってもこの項に含まれる(漂白したものであるかないか又は着色したものであるかないかを問わない。)。

この項には、次の物品を含まない。
(a)こん虫ろうの混合物並びにこん虫ろうと鯨ろう、植物性ろう、鉱物性ろう又は人造ろうとの混合物及びこん虫ろうと脂肪、樹脂、鉱物質又はその他の物質(着色料以外のもの)との混合物。これらの混合物は、通常 34 類(例えば、34.04 又は 34.05)に属する。
(b)蜂みつの巣箱用の巣房に調製したろう(96.02)
(Ⅲ)鯨ろう(粗製のもの、圧搾又は精製したもの。着色してあるかないかを問わない。)
鯨ろうはまっ香鯨その他のこれに類する鯨類の頭蓋中の腔窩中又は皮下脂肪層に含まれている油脂から抽出されるろう状物質である。
粗製鯨ろうは約1/3が鯨ろうで、2/3は脂肪からなり、帯黄色又は褐(かっ)色の塊状で不快臭を有する。
圧搾鯨ろうは、すべての脂肪が抜き取られたものである。これは、小さい固い鱗状の形をしており、帯黄褐(かっ)色で、紙上に殆どしみを残さない。
精製鯨ろうは、圧搾鯨ろうを希釈かせいソーダで処理して得られる。これは白色の真珠様の光沢に輝く、ストリップ状をしている。
鯨ろうは、ある種のろうそく、香料、医薬又は潤滑油の製造に使用する。
上記物品は、着色したものであるかないかを問わず、すべてこの項に属する。
まっ香鯨油は、粗製のものであるか又は鯨ろうの分離により精製されたものであるかないかを問わず、この項には属さない(15.04)。


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