関税率表 第13.02項

第 13 類 ラック並びにガム、樹脂その他の植物性の液汁及びエキス

13.02 植物性の液汁及びエキス、ペクチン質、ぺクチニン酸塩、ペクチン酸塩並びに寒天その他植物性原料から得た粘質物及びシックナー(変性させてあるかないかを問わない。)
-植物性の液汁及びエキス
1302.11--生あへん
1302.12--甘草のもの
1302.13--ホップのもの
1302.14--麻黄のもの
1302.19--その他のもの
1302.20-ペクチン質、ペクチニン酸塩及びペクチン酸塩
-植物性原料から得た粘質物及びシックナー(変性させてあるかないかを問わない。)
1302.31--寒天
1302.32--ローカストビーン若しくはその種又はグアーシードから得た粘質物及びシックナー(変性させてあるかないかを問わない。)
1302.39--その他のもの

(A)植物性の液汁及びエキス
この項には、植物性の液汁(自然浸出又は切込みによって通常得られる植物性生産品)及び植物性のエキス(植物原材料から溶剤抽出した植物性生産品)を含むものとし、この表の他のより特定された項に該当しないものに限る(この解説の(A)の末尾の除外規定参照)。
これらの液汁及びエキスは、揮発性の芳香性成分は別にすれば、その他の植物性物質(例えば、葉緑素、タンニン、苦味成分、炭水化物及びその他のエキス成分)を多くの割合で含有している点で精油、レジノイド及び 33.01 項のオレオレジン抽出物と異なる。
ここに含まれる液汁及びエキスは、次の物品である。
(1)あへん:けし(Papaver somniferum)の未熟の果実(capsules)の乾燥した液汁で、茎又はさやに切付浸出させ又は抽出して得られる。通常、種々の大きさのボール状又はケーキ状のものである。ただし、けしがら濃縮物で、アルカロイドの含有量が全重量の 50%以上のものを除く(この類の注1(f)参照)。
(2)甘草エキス(Iiquorice):マメ科植物のある植物(Glycyrrhiza glabra)の乾燥した根から加圧下熱湯で抽出し、ついで濃縮したものである。これは液状、塊状、ケーキ状、スティック状、スライス状又は粉末状である。ただし、しょ糖の含有量が全重量の 10%を超えるもの及び砂糖の含有量のいかんにかかわらず菓子として作られているもの(すなわち、調製したもの)を除く(17.04)。
(3)ホップのエキス
(4)除虫菊エキス(主として各種の除虫菊(例えば、Chrysanthemum cinerariaefolium)の花から、ノルマルヘキサン又は石油エーテルのような有機溶剤で抽出して得られる。)
(5)ロテノンを含有する植物の根のエキス(derris、cube、timbo、barbasco 等)
(6)大麻属の植物のエキス及びチンキ
ただし、大麻樹脂(粗のもの又は精製したもの)は含まない(13.01)。
(7)おたねにんじんのエキス:これは、水又はアルコール抽出によって得られる(小売用に包装してあるかないかを問わない。)。
ただし、おたねにんじんエキスと他の物品(例えば、乳糖又はぶどう糖)との混合物で、おたねにんじん茶又は飲料の製造に使用するものは含まない(21.06)。
(8)アロエエキス:同じ名前の数種の植物(ユリ科)から得られた非常に苦い味をもった粘稠性の液汁である。
(9)ポドフィルム(Podophyllum):Podophyllum peltatum の乾燥地下茎からアルコールで抽出した樹脂物質である。
(10)クラーレ:Strychnos 科の数種の葉及び樹皮から得られる水性エキスである。
(11)カシア・アマラ(Quassia amara)エキス:南アメリカに生育する同じ名称のニガキ科の灌(かん)木の木質部から得られる。
なお、Quassia amara の木質の主要な苦味エキスである Quassin は、29.32 項の複素環式化合物の一つである。
(12)その他の薬用エキス:例えば、ベラドンナ(belladonna)、ブラックアルダー(black alder、alder buckthorn)、カスカラサグラダ(cascara sagrada)、にんにく(garlic)、ゲンチアン(gentian)、ヤラッパ(jalap)、キナ(cinchona)、大黄(rhubarb)、サルサパリラ(sarsaparilla)、タマリンド(tamarind)、吉草根(valerian)、pine- buds、コカ(coca)、コロシント実(colocynth)、コシダ(male fern)、金縷梅(witch hazel)、ヒヨス(henbane)、麦角(ergot of rye)
(13)マンナ(Manna):とねりこ(ash tree)のある種の木を傷つけることによって得られる甘い液汁を固形状にしたものである。
(14)鳥もち(Bird lime):やどりぎの実(mistletoe berries)又は西洋ひいらぎ(holly)から抽出された緑色がかった粘着性のグルーである。
(15)カシヤ(cassia)パルプから得られた水溶性エキス:ただし、カシヤのさや及びパルプを含まない(12.11)。
(16)キノガム(gum kino):なめし用及び医薬用に供されるある種の熱帯性樹木の粘質性の液汁
(17)うるし(Japan(or Chinese)lacquer)(天然ラッカー):極東に生育するうるし(例えば、Rhus vernicifera)として知られているある種の灌(かん)木を傷つけることによって得られる樹液。種々の製品(盆、箱等)を塗装したり装飾したりするのに使用される。
(18)パウパウ(papaw)ジュース:乾燥してあるかないかを問わないが、パパイン酵素として精製してないもの(ラテックス状の小球の塊がなお顕微鏡で認められるもの)。パパインを除く(35.07)。
(19)コーラ(cola(kola))エキス:コーラナット(各種の Cola species の種、例えば、Cola nitida)から得られ、主としてある種の飲料の製造に使用される。
(20)カシューナットシェルエキス。ただし、カシューナットシェル液エキスの重合体は含まない。(通常、39.11)。
(21)バニラオレオレジン(時には、誤ってバニラレジノイド又はバニラエキスとして知られているもの。
液汁は、通常粘質状又は凝固している。エキスは、液状、ペースト状又は固体である。チンキは、抽出に使用されたアルコールにエキスがなお溶解している状態のものである。いわゆる流動エキス(fluid extract)は、エキスを、例えば、アルコール、グリセリン又は鉱油に溶かしたものである。チンキ及び流動エキスは、通常標準化されている。除虫菊エキスの例であれば、例え
ば、2%、20%又は 25%の標準ピレトリン含有割合のコマーシャルグレードの物品にするため、鉱油を添加して標準化したものがある。固形エキスは、溶剤を蒸発することによって得られる。
あるエキスには、時として不活性の物質を添加して粉末状にし易くし(例えば、ベラドンナエキスであれば粉末状のアラビアゴムを添加する。)、又は、標準濃度のものを得るために不活性の物質を添加することがある(例えば、一定の割合のモルヒネを含有する物品を得るため、若干量のでん粉をあへんに添加する。)。このような物質の添加は固形エキスの所属に影響しない。しかしながら、エキスは、当初の溶剤抽出のみでは得られない程度にある種の化合物又は化合物群を増減させる追加の抽出サイクル又は精製工程(例えば、クロマトグラフ精製等)を経ていない。
エキスは、単一のものでもまた複合したものでもよい。単一のエキスは、一種類の植物のみの処理によって得られる。複合エキスは単一のエキスを混合し又は異なった種類の植物の混合物を処理して得られる。複合エキス(アルコールチンキの形状あるいはその他の形状)は、数種類の植物の成分を含んでおり、これらには、複合ヤラッパエキス、アロエの複合エキス、キナの複合エキス等を含む。
この項の植物性の液汁及びエキスは、通常、各種調製品の原材料である。ただし、他物質を添加したことにより調製食料品、医薬品等の性格を有するものは、この項には含まれない。当初の抽出に続けて、例えば、クロマトグラフ精製、限外ろ過、又は追加の抽出サイクル(例えば、液液抽出)により高度に精製されたものもまた、この項には含まれない。
なお、この項の物品のうち、国際的文書において麻薬として取り扱われるものは、29 類の末尾の「麻薬及び向精神薬物の一覧表」に掲げられている。
除外される調製品の例としては、次の物品がある。
(i)植物性エキスを含有する香味付シロップ(21.06)
(ⅱ)飲料製造用の調製品。これら調製品は、この項の植物性エキスに乳酸、酒石酸、くえん酸、りん酸、保存剤、発泡剤、果汁等及び時には精油を混合することによって作られる。このようにして作られた調製品は、一般に、21.06 項又は 33.02 項に属する。
(ⅲ)医薬用調製品(あるものは「チンキ」ともよばれる。)。これらの調製品は植物性エキスと他の物品との混合物から成る(例えば、とうがらしエキス、テレビン油、しょう脳及びサリチル酸メチルの混合物又はあへんチンキ、アニス油、しょう脳及び安息香酸の混合物から成る調製品)(30.03 又は 30.04)。
(ⅳ)殺虫剤製造用の中間製品。これらは、除虫菊エキスに鉱物油を加えて希釈し、ピレトリンの含有割合を2%未満にしたもの又は除虫菊エキスに共力薬(例えば、ピペロニルブトキシド)のような他の物質を加えたものである(38.08)。
この項には、治療又は予防を目的として、他の物質を添加することなく混合又は複合した植物性エキスを含まない。これらの混合したもの及び植物の混合物を処理して製造した類似の医薬用複合エキスは、30.03 項又は 30.04 項に属する。30.04 項には、単一の植物性エキス(標準化してあるかないか又はいかなる溶剤に溶かしてあるかないかを問わない。)で、治療又は予防を目的として投与量にしたもの又は同様の目的で小売用の形状若しくは包装にしたものを含む。
この項には、精油、レジノイド及びオレオレジン抽出物を含まない(33.01)。精油(溶剤抽出によっても得られる。)は、特に揮発性の芳香物質で構成されている点でこの項に分類されるエキスとは異なる。レジノイドは有機溶剤又は超臨界流体(例えば、加圧した二酸化炭素)抽出により、乾燥した天然の非多孔性植物又は動物性の樹脂状物質から得られるという点でこの項のエキスとは異なる。オレオレジン抽出物は(1)天然の多孔性の植物原材料(通常は香料又は芳香性植物である。)からの溶剤抽出又は超臨界流体抽出のいずれかによって得られ、また(2)揮発性の芳香成分とともに不揮発性の香味成分を含んでおり、これらの成分が香料又は芳香性植物の特
徴的な香気又は芳香を決定づけている、という点でこの項に規定されるエキスと異なる。
更に、この項には、この表において、より特殊な限定をした項に属する次の植物性生産品は含まない。
(a)天然ガム、樹脂、ガムレジン、及びオレオレジン(13.01)
(b)麦芽エキス(19.01)
(c)コーヒー、茶又はマテのエキス(21.01)
(d)アルコール飲料となっている植物性液汁及びエキス(22 類)
(e)たばこエキス(24.03)
(f)しょう脳(29.14)並びにグリチルリチン及びグリチリゼート(29.38)
(g)血液型判定用試薬として使用されているエキス(30.06)
(h)なめしエキス(32.01)
(ij)染色エキス(32.03)
(k)天然ゴム、バラタ、グタペルカ、グアユール、チクルその他これらに類する天然ガム(40.01)
(B)ペクチン質、ペクチニン酸塩及びペクチン酸塩
ペクチン質(通常ペクチンとして商慣行上知られている。)は多糖類であり、その基本構造は、ポリガラクツロン酸である。これらは、植物、特に果実及び野菜の細胞内に存在し、商慣行上は、りんご、なし、マルメロ、かんきつ類、てん菜等のかすから抽出される。ペクチン質は、主としてジャムその他のプリザーブの調製において膠化剤に供される。これらは液状でも粉状でもよく、また糖類(しょ糖、ぶどう糖等)又はその他の物品の添加により標準化(使用に際し一定の力価を確保するために)してあるかないかを問わない。時には、くえん酸ナトリウム又はその他の緩衝用塩を含んでいる。
ペクチニン酸塩は、ペクチニン酸の塩(部分的にメトキシ化されたポリガラクツロン酸の塩)であり、またペクチン酸塩は、ペクチン酸の塩(脱メトキシ化されたペクチニン酸の塩)である。これらはペクチンと同様の性質及び用途を有している。
(C)寒天その他植物性原料から得た粘質物及びシックナー(変性させてあるかないかを問わない。)
植物性原料から得た粘質物及びシックナーは、冷水で膨張し、温水に溶解し、均一化し、膠(こう)質化した形状をなし、又冷却した状態では一般に無味な塊状をなす物品である。
これらは、主にゼラチンの代替物として、食料品の調製、織物又は紙の仕上げ、液体の清澄、細菌培養基並びに医薬用及び化粧品製造等に使用される。これらは化学的処理(例えば、エステル化、エーテル化、硼砂、酸類又はアルカリ類により処理)により変性させてあってもよい。
これらの物品は、糖類(しょ糖、ぶどう糖等)又はその他の物品(使用に際し一定の力価を確保するため)の添加により標準化してあるかないかを問わずこの項に含まれる。
最も重要なものとして次の物品がある。
(1)寒天:これは主として印度洋及び太平洋において見出されるある種の海草から抽出することによって得られる。通常乾燥した繊維状、フレーク、粉末又は酸処理によって得た膠質状である。これは商業上は“gelose”又は Japanese vegetable gelatin(又は moss)及び Alga spinosa とも呼ばれている。
(2)ローカストビーン(Ceratonia siliqua)又はグアーシード(Cyamopsis psora-lioides又は Cyamopsis tetragonoloba)の胚乳粉:これらの粉は、その粘性(粘性、溶解性等)を改善し又は安定させるために、化学的処理により変性させてあるかないかを問わず、この項に含まれる。
(3)カラギーナン(carrageenan):カラギーン(Irish moss 又は pearl moss とも呼ばれる。)から抽出したもので、通常繊維質の糸状、フレーク状又は粉状である。この項には、化学的処理によって carrageenan から得た粘質物(例えば、“sodium carrageenate”)を含む。
(4)シックナー:加圧下、水による処理その他の方法により水溶性になったレジン又はガムレジンから得られる。
(5)タマリンド(Tamarindus indica)の種の子葉の粉末(Cotyledon flour):この粉末は、熱処理又は化学的処理により変性させてあってもこの項に含まれる。

この項には、次の物品を含まない。
(a)生鮮又は乾燥の海草その他の藻類(通常 12.12)
(b)アルギン酸又はアルギン酸塩(39.13)


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