関税率表 第30.02項

第 30 類 医療用品

30.02 人血、治療用、予防用又は診断用に調製した動物の血及び免疫血清その他の血液分画物及び免疫産品(変性したものであるかないか又は生物工学的方法によって得たものであるかないかを問わない。)並びにワクチン、毒素、培養微生物(酵母を除く。)その他これらに類する物品
-免疫血清その他の血液分画物及び免疫産品(変性したものであるかないか又は生物工学的方法によって得たものであるかないかを問わない。)
3002.11--マラリア診断試験キット
3002.12--免疫血清その他の血液分画物
3002.13--免疫産品(混合してないもので、投与量にしてなく、かつ、小売用の形状又は包装にしてないものに限る。)
3002.14--免疫産品(混合したもので、投与量にしてなく、かつ、小売用の形状又は包装にしてないものに限る。)
3002.15--免疫産品(投与量にしたもの又は小売用の形状若しくは包装にしたものに限る。)
3002.19--その他のもの
3002.20-人用のワクチン
3002.30-動物用のワクチン
3002.90-その他のもの

この項には、次の物品を含む。
(A)人血(例えば、人血をアンプルに封入したもの)
(B)治療用、予防用又は診断用に調製した動物の血
このような用途に調製していない動物の血は 05.11 項に属する。
(C)免疫血清その他の血液分画物及び免疫産品(変性したものであるかないか又は生物工学的方法によって得たものであるかないかを問わない。)
これらには次の物品を含む。
(1)免疫血清及び他の血液分画物(変性したものであるかないか又は生物工学的方法によって得たものであるかないかを問わない。)
血清は、血液が凝固した後に分離された液体分画物である。
この項には、特に血液(血管内皮細胞を含む。)から得られる物品(正常血液からの血清、正常人免疫グロブリン、血液分画物及びその切断型変異体(部分)で酵素の特性又は活性を有するもの、血漿、トロンビン、フィブリノーゲン、フィブリン及びその他の血液凝固因子、トロンボモジュリン、血液グロブリン、血清グロブリン並びにヘモグロビン)を含む。このグループには、また、生物工学的方法によって得られた変性トロンボモジュリン(例えば、sothrombomodulin alfa (INN)及び thrombomodulin alfa (I
NN))並びに変性ヘモグロビン(例えば、hemoglobin crosfumaril (INN)、 hemoglobin glutamer (INN) 及び hemoglobin raffimer (INN)のような架橋したヘモグロビン)を含む。
この項は、更に、血液アルブミン(例えば、人間の全血の血漿を分画して得られたヒトアルブミン)で、治療用又は予防用に調製したものを含む。
免疫血清は病原性のバクテリア及びビールス、毒素又はアレルギー現象等の原因により病気(diseases or ailments)に対し免疫となり又は免疫になっている人血又は動物の血液から得られるものである。免疫血清はジフテリア、赤痢、え疽、髄膜炎、肺炎、破傷風、ぶどう状球菌又は連鎖状球菌の感染、蛇のかみ傷、植物毒、アレルギー性疾患等の際に使用する。免疫血清は診断(試験管内のテスト(in vitro test)を含む。)のためにも使用する。特定免疫グロブリンは、免疫血清を精製した製品である。
この項には治療用又は予防用に調製してない血液アルブミン(35.02)又はグロブリン(血液グロブリン及び血清グロブリンを除く。)(35.04)を含まない。また、この項には、ある国では「血清」又は「人造血清」と呼ばれるもので血液から分離したものでない医薬品(塩化ナトリウムその他の化学品をもととした等張液及びアレルギー性疾患に対して使用する花粉の懸濁液を含む。)を含まない。
(2)免疫産品(変性したものであるかないか又は生物工学的方法により得たものであるかないかを問わない。)
診断用、治療用あるいは免疫学的試験に使用する物品はこのグループに属するものとみなす。これらは次のように定義される。
(a)単クローン抗体(MAB):特定免疫グロブリンで、選択され、クローニングしたハイブリドーマ細胞を培地あるいは腹水中で培養して得られる。
(b)抗体フラグメント:抗体たんぱく質の活性部分で、例えば特定の酵素切断の方法によって得られる。この種の物品には、一本鎖(scFv)抗体を含む。
(c)抗体複合体及び抗体フラグメント複合体:少なくとも1つの抗体又は抗体フラグメントを含む複合体であり、最も簡単なものは以下の組合せである。
(ⅰ)抗体-抗体
(ⅱ)抗体フラグメント-抗体フラグメント
(ⅲ)抗体-抗体フラグメント
(ⅳ)抗体-他の物質
(ⅴ)抗体フラグメント-他の物質
(ⅳ)及び(ⅴ)の複合体には、例えば、たんぱく質の構造に酵素(例えば、アルカリフォスファターゼ、ペルオキシダーゼ又はベータガラクトシターゼ)又は染料(フルオレセイン)を共有結合させたものが含まれ、これらは直接的な検出反応に使用される。
この項には、また、インターロイキン、インターフェロン(IFN)、ケモカイン、ある種の腫瘍壊死因子(TNF)、成長因子(GF)、赤血球生成促進因子及びコロニー刺激因子(CSF)を含む。
(D)ワクチン、毒素、培養微生物(酵母を除く。)及びこれらに類する物品
これらの物品には、次の物品を含む。
(1)ワクチン
最も典型的なワクチンは、ウイルス又はバクテリアを生理食塩水、油(lipovaccines)その他の媒体に懸濁した微生物起源の予防用調製剤で、これらの調製剤は普通免疫性を破壊することなく、その毒性のみを弱めたものである。
その他のワクチンには、組み換えワクチン、ペプチドワクチン、糖質ワクチンが含まれる。これらのワクチンは、通常、抗原、抗原認識部位または抗原(ペプチド、組み換え体又はたんぱく質又はその他からなる複合体)の認識部位をコードする遺伝子を含む。
「抗原認識部位」は、生体における免疫反応を誘発する抗原の一部である。これらのワクチンの多くは、特定のウイルスまたはバクテリアを対象としている。これらのワクチンは、予防用又は治療用に使用される。
この項にはまた、ワクチン又はトキソイドから成る混合物(例えば、ジフテリア、破傷風及び百日ぜきワクチン(DPT ワクチン))を含む。
(2)毒素(toxin)(毒):トキソイド(toxoid)、クリプトトキシン(crypto-toxin)、プロトキシン(例えば、topsalysin(INN))及び抗毒素(anti-toxin)
(3)培養微生物(酵母を除く。):これらには、乳製品(ケフィア、ヨーグルト、乳酸)の調製に使われる乳酸発酵菌、酢の製造用の酢酸発酵菌、ペニシリンその他の抗生物質を製造するためのかび及び技術的用途(例えば、植物成長助剤)の培養微生物を含む。
乳酸発酵菌を少量含むミルク又はホエイは、4類に属する。
(4)人、動物又は植物に対するウイルス(virus)及び抗ウイルス(anti-virus)
(5)バクテリオファージ(bacteriophage)
この項には、また微生物を起源とする診断用試薬(この類の注4(d)に規定する物品を除く。30.06 項参照)を含む。酵素(レンネット、アミラーゼ等)及び微生物を起源とする酵素(streptokinase、streptodornase 等)(35.07)並びに生きていない単細胞微生物(ワクチンを除く。)(21.02)を含まない。
(E)診断用キット
診断用キットは、その重要な特性がこの項の物品のいずれかにより与えられている場合に本項に分類される。このようなキットの使用により起こる一般的な反応には、凝集、沈殿、中和、補体との結合、赤血球凝集、酵素・免疫吸着分析法(エリサ法)等を含む。pLDH(変性乳酸脱水素酵素)に対する単クローン抗体を基としたマラリア診断用キットはこの項に分類される。この重要な特性は、反応における特異性を最も大きく左右するひとつの成分により与えられる。

この項の物品は投与量にしたもの又は小売用にしたものであるかないかを問わず、ばら荷のもの(bulk)又は小さな包装にしたものであるかないかを問わずこの項に属する。

号の解説
3002.13
3002.13 号の混合してない免疫産品は、不純物を含有していてもよい。「不純物」とは、物品中に存在し、専ら製造工程(精製工程を含む。)に直接起因する物質をいう。不純物は、製造工程中の種々の要因から生じ、主として次のようなものである。
(a)未反応の出発原料
(b)出発原料中に存在した不純物
(c)製造工程(精製工程を含む。)で使用した試薬
(d)副産物


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