関税率表 第35.05項

第 35 類 たんぱく系物質、変性でん粉、膠(こう)着剤及び酵素

35.05 デキストリンその他の変性でん粉(例えば、糊(こ)化済でん粉及びエステル化でん粉)及びでん粉又はデキストリンその他の変性でん粉をもととした膠(こう)着剤
3505.10-デキストリンその他の変性でん粉
3505.20-膠(こう)着剤

この項には、次の物品を含む。
(A)デキストリンその他の変性でん粉:熱、薬品(例えば、酸、アルカリ)又はジアスターゼの作用によりでん粉を変化させることによって得られた物品及びでん粉を酸化、エステル化又はエーテル化等により変性させたものである。架橋でん粉(例えば、りん酸-2デンプン)は、変性でん粉の重要なものの一つである。
(1)デキストリン:酸又は酵素による加水分解により、でん粉を分解することによって得られる。最終製品はマルトデキストリンである。ただし、そのようなでん粉分解物のうち、ぶどう糖として計算した還元糖の含有量が乾燥状態において全重量の 10%以下のもののみをデキストリンとしてこの項に属する。
また、デキストリンは、でん粉をばい焼することによっても得られる(少量の化学薬品を加えてあるかないかを問わない。)。薬品を添加しないものは、ばい焼でん粉(roasted starch)として知られている。
デキストリンは、製造工程及び使用したでん粉の種類によって白色、黄色又はかっ色の粉末となる。これらは水に溶ける(必要があれば適当に加温する。)がアルコールには溶けない。
(2)可溶性でん粉(soluble starch 又は amylogen):でん粉とデキストリンの中間段階のものである。湯ででん粉を煮たり又は冷たい希薄酸液に長時間つけて作る。可溶性でん粉に微量のカオリンが含まれていてもこの項に含まれる。これらは、主に製紙工程中、セルロースパルプに添加するために使用する。
(3)糊(こ)化済でん粉及び膨潤化(swelling)したでん粉:でん粉に水を加えて湿らせ、多少ともゼラチン化した塊が得られるまで熱処理し、これを乾燥し、粉砕して粉末にしたものである。この物品は、押出し、次いで粉砕して粉末にする方法によって得られる。
これは、製紙工業、繊維工業、冶(や)金(鋳物用中子の粘結剤の調製に使用する。)、食品工業及び飼料製造用等に供する。
(4)エーテル化又はエステル化でん粉(エーテル化又はエステル化により変性したでん粉):エーテル化でん粉には、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基又はカルボキシメチル基を有するものを含む。エステル化でん粉には、主に製紙工業又は繊維工業に使用する酢酸でん粉及び爆薬の製造に使用する硝酸でん粉を含む。
(5)その他の変性でん粉:
(ⅰ)ジアルデヒドスターチ
(ⅱ)ホルムアルデヒド又はエピクロヒドリンにより処理したでん粉。外科用手袋用の粉等として使用する。
一般に、この項の変性でん粉は、特性の変化、例えば、溶液及びゲルの透明度、ゲル化又は結晶化への傾向、保水力、凍結-解凍の安定性、糊(こ)化する温度又は粘度の最高点に基づいて、11 類の変性していないでん粉と区別することができる。
(B)でん粉又はデキストリンその他の変性でん粉をもととした膠(こう)着剤
(1)デキストリングルー(dextrin glues):デキストリンの水溶液又はデキストリンと他物質(例えば、塩化マグネシウム)を混合したものがある。
(2)スターチグルー(starch glues):でん粉をアルカリ(例えば、水酸化ナトリウム)で処理して得られる。
(3)膠(こう)着剤(glues):未加工でん粉、ほう砂及び水溶性のセルロース誘導体から成るもの又は未加工でん粉、ほう砂及びでん粉エーテルから成るものがある。
上記の物品は、通常白色、黄色又は茶かっ色の、無定形の粉末又はガム状の塊であることから、これらの中には「ブリティッシュガム(British gum)」又は「スターチガム(starch gum)」と呼ばれるものがある。これらは、主に膠(こう)着剤として絵の具工業、繊維工業、製紙工業及び冶(や)金に使用する。

この項には、次の物品を含まない。
(a)でん粉(調製していないもの)(11.08)
(b)でん粉分解物で、ぶどう糖として計算した還元糖の含有量が乾燥状態において全重量の 10%を超えるもの(17.02)
(c)小売用にした膠(こう)着剤で正味重量が1キログラム以下のもの(35.06)
(d)でん粉又はデキストリンをもととしたつや出し剤及び仕上げ剤で製紙工業、繊維工業又は皮革工業及びこれらに類する工業において使用する種類のもの(38.09)


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