関税率表 第59.03項解説


第 59 類 染み込ませ、塗布し、被覆し又は積層した紡織用繊維の織物類及び工業用の紡織用繊維製品


 この項には、プラスチック(例えば、ポリ(塩化ビニル))を染み込ませ、塗布し、被覆し又は積層した紡織用繊維の織物類を含む。
 このような物品は、1平方メートルについての重量を問わず、また、当該プラスチックの性状が密又は多泡性であり次の要件を満たす場合に、この項に属する。
(1)染み込ませ、塗布し又は被覆した織物類にあっては、当該染み込ませ、塗布し又は被覆したことを、肉眼により判別することができること。この場合において染み込ませ、塗布し又は被覆した結果生ずる色彩の変化を考慮しない。
 染み込ませ、塗布し又は被覆したことを、肉眼により判別することができない紡織用繊維の織物類及び染み込ませ、塗布し又は被覆した結果生ずる色彩の変化によってのみ判別することができる紡織用繊維の織物類は、通常、50 類から 55 類まで、58 類又は 60 類に属する。
 このような織物類には、防しわ性、防虫性、防縮性又は防水性(例えば、防水ギャバジン及び防水ポプリン)を付与することのみを目的として物質を染み込ませたものがある。また、紡織用繊維の織物類にプラスチックを部分的に塗布し又は被覆することにより図案を表したものも、50 類から 55 類まで、58 類又は 60 類に属する。
(2)硬質でないこと、すなわち、温度 15 度から 30 度までにおいて、直径が7ミリメートルの円筒に手で巻き付けたとき、き裂が生じないこと。
(3)紡織用繊維の織物類をプラスチックの中に完全に埋め込んでないこと及び紡織用繊維の織物類の両面をすべてプラスチックで塗布し又は被覆してないこと。
 上記(2)又は(3)の要件を満たさない物品は、通常 39 類に属する。ただし、プラスチックで両面を塗布し又は被覆した紡織用繊維の織物類であっても、塗布し又は被覆したことを肉眼により判別することができないもの又は染み込ませ、塗布し又は被覆した結果生ずる色彩の変化によってのみ判別することができるものは、通常、50 類から 55 類まで、58 類又は 60 類に属する。
 58.11 項の物品を除くほか、紡織用繊維の織物類と多泡性のプラスチックの板、シート又はストリップとを結合したもので、紡織用繊維の織物類が単に補強の目的で使用されているものは 39 類に属する(39 類総説の「プラスチックと紡織用繊維との結合物品」の最終節参照)。
 この項の積層した織物類とプラスチックの接着剤で層状に単に接着した織物類とを混同してはならない。断面にプラスチックの層が認められないこれらの織物類は、一般に 50 類から 55 類までに属する。
 この項に属する紡織用繊維の織物類の多くのものは、通常、着色されたプラスチックで表面層が形成されており、その表面がなめらかにされたり又は革の面等に類似するように浮出し模様をつけたもの(レザークロス)がある。
 この項にはまた、浸せきした織物類(59.02 項のものを除く。)で、ゴムを使用して粘着力を高めるため、染み込ませたもの及び熱可塑性物質の目に見える程度の粒子を吹き付けて付着させた紡織用繊維の織物類(熱及び圧力を加えると他の織物類又は材料と接着することができる。)を含む。
 この項には、また 56.04 項の糸、ストリップその他これらに類する物品(プラスチックを染み込ませ、塗布し又は被覆したものに限る。)から成る織物類を含む。
 この項の織物類は、各種の用途に供される。例えば、室内用品、ハンドバッグ、旅行用具、衣類、スリッパ、がん具等の製造、製本用材料、接着テープ、電気器具製造等に使用される。

 この項には、次の物品を含まない。
(a)58.11 項のキルティングした紡織用繊維の物品
(b)床用敷物として使用するためにプラスチックを塗布し又は被覆した紡織用繊維の織物類
(59.04)
(c)壁面被覆材の特性を有する染み込ませ又は塗布した紡織用繊維の織物類(59.05)
(d)プラスチックを染み込ませ、塗布し、被覆し又は積層した紡織用繊維の織物類で、11 部総説(Ⅱ)の規定により製品にしたもの 

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