関税率表 第28.15項

第 28 類 無機化学品及び貴金属、希土類金属、放射性元素又は同位元素の無機又は有機の化合物


(A)水酸化ナトリウム(かせいソーダ) 

 水酸化ナトリウム(かせいソーダ)(NaOH)は、商慣行上のソーダ(炭酸ナトリウム)(28.36)と混同してはならない。
 水酸化ナトリウムは、例えば、炭酸ナトリウムに石灰乳を反応させてかせい化するか又は塩化ナトリウムの電解によって得られる。溶液の状態又は無水の固体で提示される。水溶液を蒸発させると、水酸化ナトリウムの薄片又は塊状の固形物となる。純品は、ペレット状又は立方体状でガラス製容器に保存する。
 固体の水酸化ナトリウムは皮膚や粘膜を侵す。潮解性があり、水によく溶けるので密閉した鉄鋼製の容器に貯える。
 水酸化ナトリウムは強塩基で、工業用途も広い(例えば、化学木材パルプ(リグニンの除去)の調製、再生セルロースの製造、綿のマーセライズ加工、タンタル又はニオブの冶(や)金、硬せっけん製造、フェノール系化合物(フェノール、レゾルシノール、アリザリン等)を含む多くの化学品の製造)。
 この項には、ソーダ法又はサルフェート法により木材パルプを製造する際に残留物として得られる廃液(sodalyes)を含まない(38.04)。これらの廃液から 38.03 項のトール油が得られ、水酸化ナトリウムが再生される。
 この項には、水酸化ナトリウムと石灰との混合物で「ソーダ石灰」と称するものも含まない(38.24)。

(B)水酸化カリウム(かせいカリ) 

 水酸化カリウム(かせいカリ)(KOH)は、上記の水酸化ナトリウムに非常に類似している。
 これは、炭酸カリウム(28.36)及び商慣行上のカリ(この名は、ある国においてカリウム塩(特に塩化物)にあいまいに適用されている。)と、区別しなければならない。
 通常、天然の塩化カリウム(31.04)の水溶液の電解又は炭酸カリウムに石灰乳を反応させてかせい化する(「カリ石灰(limepotash)」を生ずる。)ことによって得られる。純粋なものは、アルコール処理により又は水酸化バリウムと硫酸カリウムの複分解によって得られる。
 水酸化カリウムは、50%程度に濃縮した水溶液(potashlye)又は塩化カリウム等の不純物を含む固体として提示され、水酸化ナトリウムと同様の方法で貯蔵し、これと類似の性質を有する。
 この物品は、軟せっけんの製造、金属被覆又は再塗装のための酸洗い、漂白、過マンガン酸カリウム等の製造に使用する。また、焼しゃく剤(棒状)として医薬品に使用する。石灰と混合する場合は、30.03 項又は 30.04 項に属する。

(C)過酸化ナトリウム 

 過酸化ナトリウム(二酸化二ナトリウム)(Na 2 O 2 )は、ナトリウムの加熱によって得られる潮解性の著しい白色又は黄色の粉末で比重は約 2.8 である。水で発熱しながら分解し、過酸化水素を生ずる。ケーキ状にし、金属製容器に密せんをして貯える。
 せっけんの製造、織物の漂白、有機合成における酸化剤として、潜水艦等の空気浄化に使用する。過酸化水素製造用の触媒(少量の鋼又はニッケル塩等)と混合した過酸化ナトリウムは、38.24項の調製品となる。

(D)過酸化カリウム 

 過酸化カリウム(二酸化二カリウム)(K 2 O 2 )は、その製法、性状、用途等が過酸化ナトリウムに類似している。 

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