関税率表 第85.18項

第 85 類 電気機器及びその部分品並びに録音機、音声再生機並びにテレビジョンの映像及び音声の記録用又は再生用の機器並びにこれらの部分品及び附属品

85.18 マイクロホン及びそのスタンド、拡声器(エンクロージャーに取り付けてあるかないかを問わない。)、ヘッドホン及びイヤホン(マイクロホンを取り付けてあるかないかを問わない。)、マイクロホンと拡声器を組み合わせたもの、可聴周波増幅器並びに電気式音響増幅装置
8518.10-マイクロホン及びそのスタンド
-拡声器(エンクロージャーに取り付けてあるかないかを問わない。)
8518.21--単一型拡声器(エンクロージャーに取り付けたものに限る。)
8518.22--複数型拡声器(同一のエンクロージャーに取り付けたものに限る。)
8518.29--その他のもの
8518.30-ヘッドホン及びイヤホン(マイクロホンを取り付けてあるかないかを問わない。)並びにマイクロホンと拡声器を組み合わせたもの
8518.40-可聴周波増幅器
8518.50-電気式音響増幅装置
8518.90-部分品

この項には、単独で提示するあらゆる種類のマイクロホン、拡声器、ヘッドホン、イヤホン及び可聴周波増幅器を含み、当該機器がたとえ特定の目的に使用するように設計されていても(例えば、電話機用のマイクロホン、ヘッドホン、イヤホン及び無線受信機用の拡声器)、そのことを考慮に入れる必要はない。
この項には、また、電気式音響増幅装置を含む。

(A)マイクロホン及びそのスタンド
マイクロホンは、音の振動をそれに対応する電流の変動又は振動に変換し、送信、放送又は録音することができるようにするものである。それらの作動原理に応じて次の物品が属する。
(1)炭素マイクロホン:これは振動板が音波により振動するとき、炭素粒にかかる圧力の差異に応じて、炭素粒の電気抵抗が変化することによるものである。炭素粒(又は粉)は二つの電極間の容器に詰められている。電極のうち一つは、振動板の一部を構成するか又は振動板に固定してある。
(2)圧電型マイクロホン:振動板によって伝達された音波の圧力により、特定形状に切断した結晶片(例えば、石英又は水晶)にひずみが生じ、そして、当該結晶に電荷が発生する。この種の素子は、ギター、ピアノ、管弦オーケストラ楽器等のような音響楽器のピックアップに用いられる“接触型”マイクロホンにしばしば使用される。
(3)可動コイル型又はリボン型のマイクロホン(ダイナミックマイクロホン):音の振動が、磁界内に置かれたコイル又はアルミニウム製のリボンに伝達され、電磁誘導により電気信号が発生するものである。
(4)静電容量型又は静電(コンデンサ)型のマイクロホン:2枚の板(又は電極)を有し、両者の間には間隙があり、1枚は固定され(背面板)、他の1枚は振動することができる(振動板)ものである。音波は、2枚の板の間の静電容量の差異を生じさせる。
(5)熱式又は熱線型のマイクロホン:加熱された抵抗線を有しており、音波の作用でその温度が変化し、結果としてその抵抗が変化するものである。
この項には、また、一本以上の無線マイクロホンと無線受信機を組み合わせた無線マイクロホンセットを含む。無線マイクロホンは、受信した音波に対応する信号を、無線伝送回路及び内部又は外部アンテナにより発信する。受信機は、発信された無線電波を受信するための一つ以上のアンテナ及び無線電波を電気音声信号に変換するための内部回路を有しており、また、一つ以上の音量調節つまみ及び出力プラグを有する場合がある。
マイクロホンには多くの異なった用途がある(例えば、演説、電話、録音、航空機又は潜水艦の探知器、溝、ざんごう等の聴取(trench listening)装置及び心臓鼓動の探知)。
通常、マイクロホンから出力される電流はアナログ信号であるが、マイクロホンには出力をデジタル信号にするアナログ-デジタル変換機を有するものがある。マイクロホンは、増幅器を接続して感度を上げることがある(通常、プリアンプと呼ばれる。)。また、音質調整用にコンデンサーを取り付けることもある。マイクロホンには、作動するために電力の供給が必要なものがある。この電力は、ミキシングコンソール又は音声記録装置により供給されるか、又は別のパワーパックの場合もある。パワーパックは、単独で提示された場合、この項には属さない(通常、85.04)。
更に、音波を集中させるための装置が備えられることもあり、演説等に使用する場合には、テーブル、机等若しくは地面に置けるように又はつり下げられるように特別なスタンドを有することがある。このようなスタンド又は装置は、マイクロホンとともに使用するか又はマイクロホンに取り付けるように特に設計してある場合には、たとえ単独で提示されても、この項に属する。
他方、この項には、一脚、二脚、三脚その他これらに類する物品(96.20)は含まない。

(B)拡声器(エンクロージャーに取り付けてあるかないかを問わない。)
拡声器の機能はマイクロホンの機能の逆である。これは、増幅器から出力される電気的な変動又は振動を空気に伝えられる機械的振動に変換して音を再生するものである。
拡声器には、次の型式のものを含む。
(1)可動鉄片型又は可動コイル型の拡声器:可動鉄片型拡声器では、軟鉄製の接片又はリードが永久磁石の作る磁界内に置かれ、かつ、電流が流れているコイルの作用を受ける。磁界はこの電流とともに変動し、接片又はリードに固定された振動板がこの変動に対応する空気の振動を発生させる。可動コイル型の拡声器は、基本的には永久磁石又は電磁石の作る磁界内に置かれ、かつ、変動する電流からエネルギーを得るコイルから成る。このコイルは振動板に堅く接続されている。
(2)圧電型拡声器:ある種の天然又は人造の結晶に電流を流すと、その結晶が機械的変形をうけるという原理に基づいたものである。このような拡声器は通常「クリスタルスピーカー」として知られる。
(3)静電型拡声器(コンデンサ型拡声器):これらは、2枚の板(又は電極)の間の静電反応により、1枚が振動板として働く。
整合トランス及び増幅器が拡声器とともに取り付けられることがある。通常、拡声器が受信する電気入力信号はアナログであるが、入力信号がデジタルの場合がある。このような拡声器は、デジタル-アナログ変換機及び増幅器を有し、機械振動が空気に伝えられる。
拡声器は種々の型式のフレーム、シャシ又はキャビネット(音響学的に設計してあることが多い。)に取り付けられるほか、家具に取り付けられることもある。これらは、全体の主たる機能が拡声器としての働きにある場合には、この項に属する。単独で提示されるフレーム、シャシ、キャビネット等も、それらが、主として拡声器を取り付けるように設計したものと認められる場合には、この項に属する。94 類の家具類でその本来の機能に加えて拡声器も収納することができるように設計してあるものは、94 類に属する。
単独で提示された場合、自動データ処理機械に接続するよう設計された拡声器は、この項に属する。

(C)ヘッドホン及びイヤホン(マイクロホンを取り付けてあるかな
いかを問わない。)並びにマイクロホンと拡声器を組み合わせ
たもの
ヘッドホン及びイヤホンは比較的弱い音声信号を発生させるために使用する電気音響受信器である。前述の拡声器と同様に、これらは電気的効果を音響効果に変換するものでその原理は両者とも同じであるが、唯一の違いは、両者の有するエネルギーにある。
この項には、電話用又は電信用のヘッドホン及びイヤホン(マイクロホンを取り付けてあるかないかを問わない。)、特殊なのど当てマイクロホンと永久固定式のイヤホンとから成るヘッドセット(例えば、航空用のもの)、通常、電話交換手により使用される電話用のマイクロホンとスピーカーとを組み合わせたハンドセット並びにラジオ受信機、テレビジョン受信機、音声再生機又は自動データ処理機械に接続されるヘッドホン及びイヤホンを含む。
この項には、また、マイクロホンと拡声器を組み合わせたもの(結合したものもある。)を含む。
個人で聞くものには、ヘッドホン又はイヤホンを含む組み合わせもある。これらの組み合わせは、増幅器を含む中央制御装置に、プラグでつないだり、接続するように設計されている。これらの組み合わせの各ユニットは、会議の参加者により使用されることもある。
この項には、通常、マイクロホン、ヘッドホン、スピーカー、リスニングコーン、電源スイッチ及び音量調節つまみ並びに電池から成る胎児用の聴音装置を含む。胎児及び母親の心音をこの装置により聞くことができる。この装置には録音装置は付属しない。この装置は、医療目的のものではない。
しかしながら、医学、外科又は獣医学の専門家により使用されるタイプの電気診断装置は、90.18項に属する。

(D)可聴周波増幅器
可聴周波増幅器は、可聴周波数の電気信号を増幅することに使用する。大多数のものはトランジスター又は集積回路を使用してあるが、熱電子管を使用してあるものもある。増幅器は、その中に組み込んだパワーパックから電力の供給を受け、当該パワーパックは、送配電系統又は特に携帯式増幅器の場合には蓄電池若しくは電池から、電力を供給される。
可聴周波増幅器への入力信号は、マイクロホン、レーザー光ディスク読取機、ピックアップカートリッジ、磁気テープ用ヘッド、チューナー、フィルムのサウンドトラック用ヘッドその他可聴周波数による電気信号源からもたらされる。
一般に出力信号は拡声器に導かれるが、これがすべてではない(前置増幅器(プリアンプ)は次の増幅器に供給したり又は1個の増幅器に組み込まれる。)。可聴周波増幅器は、増幅器の利得を変化させる音量調整器を有することがあり、また通常は周波数応答を変化させる(低音強調、高音強調等)調整器も有する。
この項には、電話の中継器又は測定用の増幅器として使用する可聴周波増幅器を含む。
高周波増幅器又は中間周波増幅器は、独立した機能を有する電気機器として 85.43 項に属する。

(E)電気式音響増幅装置
この項には、また、マイクロホン、可聴周波増幅器及び拡声器から成る増幅用セットを含む。
この種の装置は、公共の興行、演説システム、宣伝車、警察車又はある種の楽器等とともに広く使用される。また、大型の貨物自動車(特にトレーラーを有するもの)においてエンジンの音にさえぎられて聞き取れない背後からの異常騒音又は信号音を運転手が聞き取ることができるようにするためにも、同様のシステムが使用される。

部 分 品
部分品の所属に関する一般的規定(16 部の総説参照)により、その所属を決定する場合を除くほか、この項の物品の部分品は、この項に属する。

この項には、次の物品を含まない。
(a)ヘッドホン(マイクロホンを備えたものを含む。)を組み込んだ操縦士用の帽子、ヘルメット類(65.06)
(b)電話機器(85.17)
(c)90.21 項の補聴器


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