関税率表 第84.43項

第 84 類 原子炉、ボイラー及び機械類並びにこれらの部分品

84.43 印刷機(第 84.42 項のプレート、シリンダーその他の印刷用コンポーネントにより印刷に使用するもの)、その他のプリンター、複写機及びファクシミリ(結合してあるかないかを問わない。)並びに部分品及び附属品
-印刷機(第 84.42 項のプレート、シリンダーその他の印刷用コンポーネントにより印刷に使用するもの)
8443.11--オフセット印刷機(巻紙式のものに限る。)
8443.12--オフセット印刷機(枚葉式で事務所用のものに限るとし、広げた状態でシートの一方が 22 センチメートル以下、他方が 36 センチメートル以下のもの)
8443.13--その他のオフセット印刷機
8443.14--凸版印刷機(巻紙式のものに限るものとし、フレキソ印刷機を除く。)
8443.15--凸版印刷機(巻紙式以外のものに限るものとし、フレキソ印刷機を除く。)
8443.16--フレキソ印刷機
8443.17--グラビア印刷機
8443.19--その他のもの
-その他のプリンター、複写機及びファクシミリ(結合してあるかないかを問わない。)
8443.31--印刷、複写又はファクシミリ送信のうち二以上の機能を有する機械(自動データ処理機械又はネットワークに接続することができるものに限る。)
8443.32--その他のもの(自動データ処理機械又はネットワークに接続することができるものに限る。)
8443.39--その他のもの
-部分品及び附属品
8443.91--印刷機の部分品及び附属品(第 84.42 項のプレート、シリンダーその他の印刷用コンポーネントにより印刷に使用するものに限る。)
8443.99--その他のもの

この項には、次の物品も含む。
(1)前項のプレート又はシリンダーを使用して印刷する全ての機械
(2)その他のプリンター、複写機及びファクシミリ(結合してあるかないかを問わない。)
この項には、紡織用繊維、壁紙、包装紙、ゴム、プラスチックシート、リノリウム、革等に同一の図案若しくは文字を繰り返して印刷し又は地色を印刷する機械を含む。
(Ⅰ)印刷機(第 84.42 項のプレート、シリンダーその他の印刷用コ
ンポーネントにより印刷に使用するもの)
これらの中で最もよく使用されるものは輪転機(rotary press)である。最も単純な型式では、一般に版盤の代わりに2枚の半円筒形のプレート(版)のついたシリンダー(活版印刷)、彫刻したシリンダー(グラビア印刷)又は印画されたシリンダー(オフセット印刷)のいずれかで構成される。カラー印刷用の輪転機は、いくつかの印刷用シリンダーにインクローラーが並べて取り付けられている。すべての印刷用、押圧用及びインク供給用の機構は回転式であるので、輪転機は、黒色又はカラーのいずれであっても、また片面印刷又は両面印刷であっても、連続印刷及び枚葉印刷の両方に使用できる。輪転機は次の2つのサブカテゴリーに分けられる。
(1)巻取印刷機(reel-fed press)
大きな輪転機にはいくつかの印刷ユニットを一つのフレームに備えたものがあり、これは新聞又は定期刊行物のすべてのページを一連の操作で印刷することができ、最終的には印刷機と連動した各種の補助機械によって、全ページが排紙され、切断され、折り畳まれ、組み合わされ、とじられ、そして積み重ねられる。
(2)枚葉印刷機(sheet-fed press)
枚葉紙はグリッパーにより印刷ユニットへ給紙される。枚葉印刷機は、給紙装置、1又はそれ以上の印刷ユニット及び排紙機構を有している。給紙装置では、枚葉紙が束から取り出され、整列され、印刷ユニットに送り出される。排紙機構では、印刷された枚葉紙は、取りまとめられ、束にされる。
このグループは可動のプレート(又はプラテン)を使用した印刷機及びシリンダー印刷機も含む。

上記の印刷機械(特に小型又は中型の輪転機)においては、印刷ユニットに一連の組立てユニットが併置して取り付けられるので、例えば、紙のリールから始まって複雑な製品(例えば、箱形、包装紙、ラベル及び切符)までを単一又は連続した操作の工程で作り上げることができる。
典型的な印刷機のほかに、この項には、次のような特殊印刷機も含む。
(ⅰ)すずはく製の箱その他の容器に印刷する機械
(ⅱ)時計の文字板その他特殊な形状を有する物品に印刷する機械
(ⅲ)コルク、管、ろうそく等に印刷する機械
(ⅳ)衣類にマーク付けをする機械
(ⅴ)書籍のページの背丁の印刷機
(ⅵ)番号印字機、日付打ち機等(96.11 項の手動式の日付印その他これに類するスタンプを除く。)
文字、記号等を有する鉄片又は帯により作用するもので、インクを使用するか使用しないかを問わない。
(ⅶ)事務用小型印刷機
印刷活字又はオフセット式で作動するもの。これらは、作動原理及び外観が謄写機に類似しているため謄写機と誤って呼ばれることがある。
このグループには、次のカラー印刷機も含む。すなわち、特別な美術本、トランプ類、幼児用絵本等を最初に白黒に印刷した後、ステンシル又はステンシルプレートを使用して彩色するもので、色彩は、ブラシ、ローラー又は噴射式でつけられる。
紡織用繊維、壁紙、包装紙、リノリウム、革等に同一の図案若しくは文字を繰り返して印刷したり又は地色を印刷する機械には、次のような物品を含む。
(1)ブロック印刷機:この機械は、ブロック(通常、浮彫りの図案が彫刻されている。)が機械内を通過する際に、布、壁紙等に繰り返し押圧されることにより連続的な模様を印刷するものである。この機械は、別々の図案の印刷(例えば、スカーフ上又はハンカチ上)に使用することもある。
(2)ローラー印刷機:この機械は、通常大きな圧力ローラー(pressure bowl)及びその周囲に設置された一連の彫刻した着色ローラー(この各々に、color trough、インクローラー、ドクターブレード(注:余分なインクをかき取る刃)等が備わっている。)から構成されるものである。
(3)スクリーン印刷機:印刷されるものがステンシルスクリーンの帯とともに機械を通り抜け、その際ステンシルを通して着色される。
(4)たて糸なせん機:これは、織る前に巻棒からほどいた平行なたて糸(シート状になっている。)に模様をなせんするものである。
(5)糸なせん機(yarn printing machine):これは、糸又は糸に紡ぐ前の段階の粗紡糸に着色するものである。

(Ⅱ)その他のプリンター、複写機及びファクシミリ(結合してあるかないかを問わない。)
このグループには次の物品を含む。
(A)プリンター
このグループには文書、文字又は画像を印刷媒体(print media)に印刷する装置で上記(Ⅰ)以外のものを含む。
これらの装置は自動データ処理機械、フラットベッドスキャナー、ネットワーク等からデータを受け取る。これら装置の多くはデータを蓄積する記憶装置が組み込まれている。
この項の製品は、レーザー、インクジェット、ドットマトリックス、熱転写等の方法により文字や画像を印字する。以下の2種類がもっとも普及している。
(1)静電式プリンター:静電式プリンターは、静電荷、トナー及び光を用いて印刷を行う。
陽電気を荷電させた感光面(通常はドラム)の特定の部分の電荷をレーザーや発光ダイオード(LED)等の光で消し、感光面に画像と同じ形の陽電荷パターンを残す。負電気を荷電されたトナーは静電引力により、感光面に付着し、原稿と同じ画像を再生する。トナーは負電気の働きで、感光面より強い陽電荷を持つ印刷媒体に付着した後、熱と圧力で印刷媒体に定着する。
(2)インクジェットプリンター:インクジェットプリンターは、インク滴を印刷媒体に吹き付けることにより画像を形成する。
この項にはこの表の他の物品に組み込むため、又は、接続するために用いられるプリンターで単独で提示されるプリンターを含む(例えば 84.70 項の金銭登録機用のレシートのプリンター)
(B)複写機
このグループには原稿の複製を作成する以下の装置を含む。
(1)デジタル複写機:デジタル複写機は、走査(scan)した原稿を、電荷結合素子(CCD)やフォトダイオードセンシングアレー(photo-diode sensing array)等の感光面で光学的映像からデジタル記号化された電気信号に変換し、記憶装置内に蓄える。その後、上記(Ⅱ)(A)のプリンターと同じ方式で作動するプリントエンジンが蓄積されたデータを用いて必要とされる数の複写を作成する。デジタル記号化された映像が記憶装置に蓄えられるため、複数の複写を作成する場合でも原稿の走査は一度だけで済む。下記(D)に自動データ処理機械やネットワークに接続できる機器が説明されている。
(2)感光式複写機(複写の都度原本の光学的映像を感光面に投影する必要があるもの)。以下の種類のものが最も普及している。
(a)静電式の感光式複写機:原本の映像を感光面に直接複写する方式(直接式)又は原本の映像を感光面に媒体を介して複写する方式(間接式)のものがある。
直接式のものにおいては、例えば、酸化亜鉛又はアントラセンを塗布した基板(通常は紙)に光学的映像を投影し、静電気を荷電させる。そして、静電気によるその潜像に粉状の染料を付着させて現像した後、熱処理によって基板に定着させるものである。
間接式のものにおいては、セレンその他の半導体物質を塗布し、静電気を荷電させたドラム(又はプレート)に光学的映像を投影する。そして、静電気による潜像に粉状の染料を付着させて現像した後、この像を静電界の作用により、通常の紙に転写し、熱処理によって紙に定着させるものである。
(b)化学乳剤の塗布層を利用する機器:感光面は通常、銀塩又はジアゾ化合物(後者の場合、紫外線を大量に含む光で露光するように意図されている。)の乳剤から成る。現像行程及び焼付け行程は、乳剤の性質及び機器の型式により各種の方法(湿式現像、乾式現像、加熱処理、アンモニア蒸気による現像、転写法等)がある。
原本(マイクロフィルム、不透明な文書等)を複写したものには、原本と同一サイズのもの又は拡大し若しくは縮小したものがある。これらには、謄写機(オフセット)の原版として利用されるものもある。
このグループには密着式の感光式複写機及び感熱式複写機も含む。
(C)ファクシミリ装置
ファクシミリ(又はファクス)は、ネットワークを利用して文書や図形を送受信し、文書や図形の原本の再生を印刷する。下記(D)にコピー機の機能を持つものが説明されている。
(D)印刷機、複写機又はファクシミリ装置の複合機
印刷、複写、ファクシミリ送信のうち2以上の機能を有する機械は、通常、多機能機と呼ばれる。これらの機械は、自動データ処理機械又はネットワークに接続することができる。
「自動データ処理機械又はネットワークに接続できるもの」とは、下記号の解説による。

部分品及び附属品
部分品の所属に関する一般的規定(16 部の総説参照)によりその所属を決定する場合を除くほか、この項には、この項の機械の部分品及び附属品を含む。
部分品及び附属品には、例えば、専ら印刷機とともに作動するように設計され、かつ、印刷工程の途中又は後で枚葉又はロール状の紙の給紙、取扱い又はそれ以外の操作を行う補助機械(単独で提示されるかされないかを問わない。)が含まれる。
これらの機械は、通常、印刷機そのものとは分離されており、次の物品が含まれる。
(1)ストックエレベーター、パイルエレベーター及び給紙トレイ又はドロワー(drawer):印刷前の紙を印刷可能な状態で保管しておくもの。
(2)自動給紙機:枚葉印刷に使用するものであり、紙を一枚ずつつかんで完全に位置合わせをして印刷機に給紙するものである。
(3)排紙機構:給紙機と同じような機構であるが、反対の工程を行うものである(すなわち、印刷された紙を受け取り積み上げる)。
(4)ソーター:複数枚の印刷された文書を積み上げて揃えるもの。
(5)折畳み機:のり付け機、せん孔機及びとじ機:これらの機械はしばしば印刷機の排紙口で使用され、(新聞紙、折込み広告、定期刊行物等の)印刷されたページの折畳み又はとじ込みに使用される。
ただし、これらが専ら印刷機と連係して使用するように設計されてない場合には、この項には属しない(84.40 又は 84.41)。
(6)連続番号印字機:数字のロールで番号を打つ小さな附属機械
(7)印刷業用金付け機:この機械は、金下インキで印刷する印刷機械から出てきたばかりの紙の上に、金属粉をふりかけるものである。
この項には、静電式の感光式複写機用のドラム、プレート、ガイドローラー及び据付け型のオイル供給パッドも含む。

この項には、次の物品を含まない。
(a)紡織用繊維製、ゴム加工した紡織用繊維の織物製、フェルト製、ゴム製等のシリンダーブランケット及びシリンダーカバー(構成する材料により該当する項に属する。)
(b)ラベル張付け用の機械(瓶、缶、箱、袋又はその他の容器に使用するもの)及び包装機械(84.22)
(c)補助的な印刷装置を有する機械(例えば、ある種の充てん用機械又は包装機械(84.22)及び紙又は板紙のある種の加工機械(84.41)。これらの機械の印刷装置が単独で提示された場合には、当該印刷装置がこの項の機械の行う工程の内のどれか一つによって印刷するものであれば、この項に属する。
(d)汚れ防止用の噴射機(84.24)
(e)ゼラチン式又はステンシル式の謄写機、あて名印刷機(84.72)
(f)パターン発生機(84.86)
(g)マイクロフィルム、マイクロフィッシュその他のマイクロフォームに文書を記録するための写真機(90.06)
(h)通常の写真用密着焼付け機(90.10)
(ij)90.17 項の製図機器
(k)ラベル型押し器具(手動式のものに限る)(96.11)

号の解説
8443.11、8443.12 及び 8443.13
これらの号には、模様を浮彫り又は凸版ではなく平面に複写した印刷版(オフセット印刷工程)により印画、印字する印刷機械を含む。印刷される画像(image)は、水と油性物質との相互消散(反発)作用の原理により形成されるものである。この印刷は、常に回転機械によりなされるが、印刷媒体を直接印刷する材料に接触させず、画像を順に転写するブランケットと称するゴム製のシリンダーへ上に中間転写することにより印刷される。この号の機械は、金属シリンダーに取り付けられた印刷版の非印刷部分を連続的に湿らせるために使用する装置及びブランケットを有していることに特徴がある。オフセット印刷機は、ロール又はシートにより紙が供給される。
8443.14 及び 8443.15
活字印刷は、インク活字の凸版から一定圧力の下に印刷面に転写することによる印刷手法である。活字は個々の文字、線又は映像プレートから成り、全て同じ高さである。
ただし、これらの号には、フレキソ印刷機を含まない。
8443.16
フレキソ印刷は、簡単な作業(包装紙書式、リーフレット等の印刷)用に活版印刷の原理を使用した印刷手法であり、印刷版はシリンダーに直接結合したゴム又は熱可塑性物質からできている。これらの機械は、他の印刷機に比べ簡単で軽量である。これらの機械は、アルコールその他の揮発性溶剤をもととしたインクを使用して一色以上を一巻きの紙に連続して印刷するものである。
8443.17
グラビア印刷においては、印刷版に彫り込まれた部分又はエッチングされた部分にたまった異なった量のインクが圧力により印刷される表面に移しかえられる。この印刷方法は、線を刻み込む線の彫込み及びエッチング(研磨した銅板に彫刻又は酸を使用して深さの異なる線を刻み込む。)に基づくものである。版の表面はインクがないが、線の中には映像を写しだすのに十分な量のインクがたまる。
グラビア印刷の原理は、線の彫込み及びエッチングの原理に類似したものであり、平板の代わりに回転シリンダーを使用する。画像又は記号は、機械的又は光科学的な方法により銅めっきしたシリンダー状の版の上に転写される。
8443.31 及び 8443.32
「自動データ処理機械やネットワークに接続できるもの」とは、その装置にネットワークや自動データ処理機械に接続するのに必要な構成機器が全て組み込まれていて単にケーブルを接続するだけで機能できるものをいう。ケーブルを接続するための追加の構成機器(例えば、カード)を組むことができることは、これらの号の条件を満たすことにならない。一方、構成機器にケーブルが接続されるものであるが、そのままでは自動データ処理機械やネットワークにアクセス出来ない又は有効な接続が出来ないもの(例えば、スイッチを設置する必要のあるもの)であっても、これらの号から除外されるものとはならない。


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