関税率表 第90.18項

第 90 類 光学機器、写真用機器、映画用機器、測定機器、検査機器、精密機器及び医療用機器並びにこれらの部分品及び附属品

90.18 医療用又は獣医用の機器(シンチグラフ装置その他の医療用電気機器及び視力検査機器を含む。)
-診断用電気機器(機能検査用又は生理学的パラメーター検査用の機器を含む。)
9018.11--心電計
9018.12--走査型超音波診断装置
9018.13--磁気共鳴画像診断装置
9018.14--シンチグラフ装置
9018.19--その他のもの
9018.20-紫外線又は赤外線を使用する機器
-注射器、針、カテーテル、カニューレその他これらに類する物品
9018.31--注射器(針を付けてあるかないかを問わない。)
9018.32--金属製の管針及び縫合用の針
9018.39--その他のもの
-その他の機器(歯科用のものに限る。)
9018.41--歯科用エンジン(同一の台上に他の歯科用機器を取り付けてあるかないかを問わない。)
9018.49--その他のもの
9018.50-その他の機器(眼科用のものに限る。)
9018.90-その他の機器

この項には、例えば、医師、歯科医、獣医又は助産師が通常その職業上の業務のみに使用する広範囲の機器を含み、診断用、予防用、治療用、手術用等のいずれであるかを問わない。また、解剖用、検屍用、切開用等の機器及び一定の条件のもとに、歯科用の機器(下記(Ⅱ)参照)も含む。この項の機器は、その材質を問わない(貴金属製のものを含む。)。
この項には、次の物品を含まない。
(a)外科用のカットガットその他の縫合材(殺菌したものに限る。)並びにラミナリア及びラミナリア栓(殺菌したものに限る。)(30.06)
(b)診断用又は理化学用の試薬(38.22)
(c)40.14 項の衛生用又は医療用の製品
(d)70.17 項の理化学用品又は衛生用のガラス製品
(e)卑金属製の衛生用品(特に、73.24、74.18 及び 76.15)
(f)マニキュア用又はペディキュア用のセット及び用具(82.14)
(g)身体障害者用又は病人用の車両(87.13)
(h)視力矯正用眼鏡、保護用眼鏡その他の眼鏡(90.04)
(ij)写真機(90.06)(この項の機器に恒久的に組み込まれるものを除く。)
(k)顕微鏡等(90.11 又は 90.12)
(l)肺機能、body mass index 等の計算に用いられる計算盤(90.17)
(m)機械療法用、酸素吸入用、オゾン吸入用、人工呼吸用、エアゾール治療用、マッサージ用等の機器(90.19)
(n)整形外科用機器、人造の人体の部分及び骨折治療具(動物用のものを含む。)(90.21)
(o)X線を使用する機器等(医療用のものであるかないかを問わない。)(90.22)
(p)体温計(90.25)
(q)血液、組織液、尿等の検査(診断のための検査であるかないかを問わない。)用機器(一般に 90.27)
(r)医療用又は獣医用の家具(手術台、検査台及び病院用ベッド)及び歯科用のいす(この項の歯科用の機器等を取り付けてないものに限る。)(94.02)

一方、この項には、職業上の業務に専ら使用する特殊な測定用機器(例えば、頭部測定器、脳の障害測定用のディバイダー、産科用骨盤計等)を含む。
医療用又は獣医用の機器の多くは、工具(ハンマー、木づち、のこぎり、のみ、鉗(かん)子、プライヤー、スパーテル等)又は刃物(はさみ、ナイフ、剪(せん)断器具等)であることに注意しなければならない。このような物品は、医療用に使用することが次のような理由により明らかに認められる場合に限り、この項に属する。すなわち、特殊な形状を有すること、殺菌のために取外しが容易であること、製法及び構成金属の性質が優れたものであること又は包装により明らかに認定することができること(分娩、検屍、婦人科、目又は耳の手術、獣医科の分娩等の特定の処置に供する器具のセットとして箱に収納してある場合が多い。)である。
この項の機器には、光学式装置を有するもの及び動力、伝達手段又は予防、治療若しくは診断の手段として電気を利用するものも含む。
この項には、レーザーその他の光子ビームの作用によって作動する機器及び超音波式機器を含む。

(Ⅰ)人間の医療用の機器
(A)同一名称で多くの用途に供する機器:例えば、次のような物品がある。
(1)針(縫合用、結紮(さつ)用、ワクチン接種用、血液検査用、皮下注射用等)
(2)ランセット(ワクチン接種用、採血用等)
(3)トロカール(穿刺に使用するもので、胆のう用のもの、はん用性のもの等)
(4)各種の外科用のナイフ及びメス
(5)消息子(前立腺用、ぼうこう用、尿道用等)
(6)鼻鏡、口腔鏡、喉頭鏡、直腸鏡、膣鏡等
(7)鏡及び反射鏡(目、喉頭、耳等の検査用のもの)
(8)はさみ、剪(せん)断器具、鉗(かん)子、プライヤー、のみ、木づち、ハンマー、のこぎり、削り器、スパーテル
(9)カニューレ、カテーテル、吸引管等
(10)焼灼器、電気焼灼器、小焼灼器等
(11)ピンセット及び包帯用、綿棒用、スポンジ用又は針用のホルダー(ラジウム針用ホルダーを含む。)
(12)けん引子(唇、あご、腹部、扁桃、肝臓等用のもの)
(13)拡張器(喉頭、尿道、食道、子宮等用のもの)
(14)カテーテル、針、組織拡張器、内視鏡及びアテローム切除器の位置決めに用いられるワイヤーガイド
(15)クリップ(縫合用等)
(16)各種の注射器(ガラス、金属、ガラス及び金属、プラスチック等から成るもの:例えば、注入用、穿刺用、麻酔用、鉗(かん)注用、創傷洗浄用、吸引用(ポンプ付きのものであるかないかを問わない。)、眼用、耳用、咽喉用、子宮用、婦人科用等のもの
(17)傷を閉じるためにステープルを挿入する外科用ステープラー
(B)特殊な診断用機器
ここには、次のような物品を含む。
(1)聴診器
(2)呼吸の数を測定する機器(基礎代謝を測定するためのもの)
(3)血圧計、血圧測定器及びオシロメーター(血圧測定用のものに限る。)
(4)肺活量計(肺の容積を測定するためのもの)
(5)頭部測定器
(6)骨盤計
(C)眼科用機器:これには各種のグループがある。
(1)外科的機器:例えば、角膜せん孔器及び角膜切開刀
(2)診断用機器:検眼鏡、頭バンド付き両眼ルーペ及び双眼鏡型の顕微鏡(本品は1個の顕微鏡、スリット付きの電球及び頭を置く台から成り、これらの全体は、調節可能な支持具に取り付けてあり、眼の検査用のものである。)、眼圧計(眼圧検査用のもの)及び開眼器
(3)視能矯正用又は視力検査用の機器:弱視矯正鏡、検影器(retinoscopes)、検眼鏡(skiascopes)、斜視計(strabometers)、角膜計(keratometers)、角膜鏡(keratoscopes)、瞳孔間の距離の測定器、検眼用の特別なフレームに取り付けるように作ったレンズセットのケース、検眼用のフレーム(検眼用レンズを納めたもの)、検眼用スケール及び視力表。
ただし、色盲検査に使用する紙製、板紙製又はプラスチック製の検眼用スケール及び視力表は属しない(49 類)。
この項には、また、電気加熱式の眼用圧迫包帯及び眼から金属の小片を取り去るための電磁石も含む。
(D)耳用機器
例えば、耳鏡。ただし、音さは医療用のものであるかないかを問わず、この項には属しない(92.09)。
(E)麻酔用機器
顔マスク、顔面あて器、器官内用の管等
(F)鼻腔、咽喉又は扁桃の処置用機器
鉗(かん)子(鼻軟骨矯正用)、徹照器(副鼻腔用及び鼻腔用)、扁桃切除刀、咽頭直視鏡、咽頭ブラシ等
(G)咽頭用、食道用、胃用又は気管切開用の機器
食道鏡、気管支鏡、胃洗浄用の胃ポンプ、挿入管等
(H)尿道用又はぼうこう用の機器
尿道切開刀、ぼうこう結石破砕用機器、ぼうこう結石吸引装置及び前立線切除用機器
(IJ)人工腎臓(透析)用装置
(K)婦人科用又は産科用の機器
膣けん引子、子宮摘出用機器、産科用聴診器、生殖器検査用特殊光学機器、鉗(かん)子、せん孔器、切胎用機器(胎児切断用)、破頭器及び砕頭器(子宮内で死亡した胎児の頭蓋を破砕する器具)、内臓検査用機器等
(L)携帯式気胸用機器、輸血用機器、人工ひる
この項には、殺菌したプラスチック製の密封容器で、空気を抜いて少量の血液抗凝固剤を加え、不可欠な給血管及びしゃ血針を取り付けてあり、人間の血液の採取、貯蔵及び運搬に使用するものを含む。ただし、ガラス製の特殊な血液貯蔵瓶は属しない(70.10)。
(M)足治療医用電気グラインダー
(N)鍼療法用の針(金製、銀製又は鉄鋼製)
(O)内視鏡
胃鏡、胸腔鏡、腹膜鏡、気管支検査用望遠鏡、ぼうこう鏡、尿道鏡、切除用内視鏡、心臓鏡、結腸鏡、腎臓鏡、咽頭鏡等。これらの多くは、遠隔操作機器を経由して手術するのに十分な大きさの操作用チャンネルを持つ。ただし、医療用でない内視鏡(ファイバースコープ)は属しない(90.13)。
(P)自動データ処理機械を組み込んだ機器で、専ら治療用の放射線の投射量及び投射位置を計算するために設計したもの
(Q)高圧室(減圧室としても知られている。):大気圧レベルより高い酸素管理のために特に装備した圧力容器。減圧症、空気塞栓症、ガスえそ、一酸化炭素中毒、難性骨髄炎、植皮、放線菌症及び exceptional blood loss anaemia の治療に使用される。
(R)ランプ:診断、プローブ照射等の目的のために特に設計されたもの。ペン型などの懐中電灯は、この項から除かれる(85.13)。同様に、明らかに医療用と認められない他のランプも除かれる(94.05)。

(Ⅱ)歯科用機器
このグループと(Ⅰ)項とに共通する機器(例えば、マスクその他歯科用の鎮痛用機器)のほか、このグループに属する主な機器には、次のような物品がある。
(1)外科用指ガード(連結式のものであるかないかを問わない。)、開口器、頬又は唇のけん引子、舌圧子及びクリップ
(2)各種の鉗(かん)子、ヘーベル、各種のピンセット(歯茎を露出した歯の抜歯用、合釘歯の位置合わせ用等)、刃物(切開用、包帯用、充てん用、くり出し用等)、歯根鉗(かん)子
(3)歯内療法用機器:ブローチ・リーマー、やすり、充填器、スプレッダー等
(4)骨用のはさみ及びやすり、あご及び上がく洞の切除用ののみ及び木づち、骨膜はく離器、メス、特殊なナイフ及びはさみ、歯科用の特殊なピンセット、エキスカベーター及び消息子
(5)歯肉及び歯窩(か)洗浄用の特殊器具、歯石除去具、スクレーパー及びエナメル質用ののみ
(6)各種の消息子、針(膿瘍(よう)用、皮下注射用、縫合用、脱脂綿用等)、脱脂綿ホルダー、
止血栓ホルダー、吸入器及び歯科用鏡
(7)金充填用具(ストッパー、木づち等)、歯牙用の充てん用具(セメント用又は樹脂用のへら、アマルガム充填器及び木づち、アマルガムキャリアー等)及び印象材用の皿
(8)歯科用のバー、ディスク、ドリル及びブラシ(歯科用エンジン又はハンドピースとともに使用するように特に設計したものに限る。)
この項には、また、歯科医師又は歯科技工士が歯科補綴(てつ)に使用する種類の工具及び機器も含み、例えば、次のような物品がある。ナイフ、へらその他の造型用工具、各種のプライヤー又はピンセット(クランプ及び歯冠の固定用、pivot の切断用等)、のこぎり、剪(せん)断器具、木づち、やすり、のみ、スクレーパー、研磨器、金属製の型(打ち伸ばすことにより金属製の歯冠を製造するためのもの)。ただし、この項には、はん用性の工具その他の物品(炉、型、ろう付け用具、溶融金属用の取鍋(べ)等)を含まない。これらは、それぞれ該当する項に属する。
この項には、歯科用鋳造機、歯科用平削り機及び義歯型用のトリマーを含む。
この項には、また、次の物品を含む。
(ⅰ)歯科用エンジン(自在アーム付きのもの):独立した台に設置したもの、壁に取り付けるもの又は下記(ⅱ)の機器に取り付けるもののいずれであるかを問わない。
(ⅱ)台上の完成した歯科用装置(固定式又は移動式のもの):最も一般的なものは、圧縮機、トランスフォーマー、制御盤その他の電気機器を組み合わせたものであるが、次の機器を取り付けたものも多い。自在アームドリル、たんつぼ及び口すすぎ器、電熱器、温風吹出し器、噴霧器、焼灼器皿、拡散光照明器、無影灯、ファン、ジアテルミー装置、X線機器等。
この装置の中には、ドリルの代わりに研磨材(通常、酸化アルミニウム)を使用する方式のものもある。研磨材は、通常、圧縮ガス(例えば、CO2)を使用して歯に投射される。
(ⅲ)たんつぼ式口すすぎ器:台、スタンド、自在アームのいずれに取り付けてあるかを問わない。これは、通常、温水供給器及び温水注入器と組み合わされている。
(ⅳ)重合装置(光又は熱)、アマルガム機器、超音波歯石除去器、電気手術装置等
(ⅴ)歯科治療用装置:レーザーを使用するのもの
(ⅵ)歯科用のいす(この項に属する歯科用機器を組み込んであるものに限る。)
ただし、この項の歯科用機器を組み込んでない歯科用のいすは、94.02 項に属する(照明器具のような機器を取り付けてあるかないかを問わない。)。
ただし、上記(ⅱ)項に記載した歯科用装置を構成する機器のなかには、単独で提示した場合にはこの項には属しないものがあることに注意しなければならない。当該機器はそれぞれ該当する項に属し、例えば、圧縮機(84.14)及びX線等を使用する機器(90.22)がある。90.22 項には、X線等を使用する機器で、独立したスタンド又は壁に取り付けて歯科用に使用するように設
計したものも含む。ただし、単独で提示するジアテルミー機器は、医療用電気機器とともにこの項に属する(下記(Ⅳ)参照)。
歯科用セメントその他の歯科用充てん材料は、30.06 項に属し、歯科用のワックス及び印象材(セットにし、小売用の包装にし又は板状、馬蹄(てい)状、棒状その他これらに類する形状にしたものに限る。)並びに焼いた石膏(こう)又は硫酸カルシウムから成るプラスターをもととしたその他の歯科用の調製品は、34.07 項に属することに注意しなければならない。

(Ⅲ)獣医用機器
このグループには、獣医用に設計してあるが、上記(Ⅰ)又は(Ⅱ)の物品に類似した多数の物品を含み、例えば、次のような物品がある。
(A)一般用途の機器(例えば、針、ランセット、トロカール、メス、鏡、消息子、はさみ、鉗(かん)子、ハンマー、有窓鉛匙(ひ)(キュレット)、けん引子及び注射器)
(B)特殊用途の機器(検眼鏡、開眼器、喉頭鏡、聴診器、鉗(かん)子、切胎器)
(C)歯科用機器
このグループには、また、獣医専用の機器を含み、例えば、次のような物品がある。
(1)乳房用機器:例えば、乳頭拡張器及び穿刺開口器(牛の乳頭を開かせるためのもの)及び牛の産じよく熱又は乳熱の処置用機器
(2)去勢用機器:去勢器、去勢用のクラム及びクランプ(雄牛の生殖線萎縮用)、去勢用のバイス及び鉗(かん)子、卵巣摘出器等
(3)分娩用機器:特殊な助産用のひも、head-collars、鉗子及びフック、機械式分娩補助具等
(4)種々の機器:人工受精器、尾部切断器、角切断器、動物の呼吸器官、消化器官、泌尿器、生殖器等の病気処置用の噴霧器、処置中に動物が動かないようにする特殊な拘束器具(口ばみ、足かせ等)、医薬品注入用の特殊な注射器、麻酔剤又は医薬品(抗血清、ワクチン等)を充てんして、自由に動く動物に対し、圧縮ガスで作動する銃又はけん銃を使用して遠方から発射する注射器、丸薬投与用機器、水薬投与用のくつわ、裂蹄(てい)用のフック(ひづめの割れを閉じる。)、ひなの雌雄鑑別用の内視鏡等
この項には、旋毛虫検査鏡(豚肉の検査用の光学機器)(90.11)、動物の整形外科用機器(90.21)及び動物用の手術台(94.02。対応する解説参照)を含まない。
獣医及び蹄(てい)鉄工が等しく使用する工具(例えば、ひづめ用やすり、つめ切り、皮むきナイフ、プライヤー、くぎ抜き、ハンマー等)は 82 類に属する。82 類には、また、家畜の焼印道具(パンチ、ひづめの上皮を焼き取る焼きごて等)及び剪(せん)断工具を含む。

(Ⅳ)シンチグラフ装置
これらの装置は、身体の一部をスキャンし、器官のイメージを作成し、または、機能を記録する。これは、シンチレーションカウンターが組み込まれた機器を含み、そこからのデータは診断目的のアナログ信号に変換される(例えば、ガンマ線カメラ及びシンチレーションスキャナー)。

(Ⅴ)その他の医療用電気機器
この項には、予防用、治療用又は診断用の医療用電気機器を含む。ただし、X線等を使用する機器(90.22)を含まない。このグループには、次のような物品を含む。
(1)診断用電気機器:次のような物品を含む。
(ⅰ)心電計:心筋の収縮により生じた電流を測定することにより、心臓の動きを心電図として記録する機器
(ⅱ)心音計:心音を心音図として記録するように特に設計したもの。心電計として使用する場合もある。
(ⅲ)心臓鏡:心電図及び心音図の同時観測を可能にするために、上記二つの計器と連動して使用する。
(ⅳ)rheocardiograph:心臓の動作による電気抵抗の変化を測定する電気機器
(ⅴ)脳波計:脳の検査用のもの
(ⅵ)脈波計:動脈の圧力及び容積を記録する。
(ⅶ)electrotonograph:動脈、静脈又は心臓内の圧力の変化を記録する。
(ⅷ)網膜電計:網膜のひずみを測定する。
(ⅸ)聴力計その他これに類する機器:周波数の変化により聴力検査を行う。
(ⅹ)臨床データを処理し又は視覚化するなどのために自動データ処理機械を組み込んだ又はそれと連係して作動する診断機器
(xi)超音波診断装置:超音波を使用して、器官を(例えば、ディスプレイに)表示するもの。
(xii)核磁気共鳴装置(NMR):人体の原子(例えば、水素原子)の磁気特性を利用して、人体内部の組織及び器官の特性を表示するもの。
(2)電気療法用機器:診断に使用するものを除き、この機器は、神経炎、神経痛、半身不随、静脈炎及び内分泌性貧血のような病気の処置に使用するものである。この機器のあるものは、下記(7)の電気外科用機器と組み合わされるものもある。
(3)イオン療法用機器:サリチル酸ナトリウム、サリチル酸リチウム、よう化カリウム、ヒスタミン等の活性医薬品を電流により、皮膚を透過して吸収させるもの
(4)ジアテルミー機器:熱を必要とする病気の治療に使用する(リューマチ、神経痛及び歯の疾患)。この装置は、高周波電流(短波、超短波等)を利用し、各種の形状(板、輪及び管)の電極を使用する。
(5)電気ショック療法用機器:精神病用又は神経性疾患用のもの
(6)心臓除細動器:電流の使用により、心臓の細動を除去する。
(7)電気外科用機器:これらの機器は、高周波電流を利用し、針、消息子等が電極となる。これらは、ランセット(電気ランセット)により組織を切り(電気切断)又は血液を凝固させる(電気凝固)ために使用する。ある種の複合機器は、操作ペダルにより、電気切開器又は電気凝固器として交互に切り変えて使用することができる。
(8)光線療法用機器:これは、可視スペクトルの内側又はより一般的にはそのすぐ外側の光線(赤外線又は紫外線)を利用してある種の病気の治療又は診断(特殊な照明により皮膚病を発見する。)に使用するものである。この機器は、通常、ランプを組み込んであるが、赤外線機器の場合、反射器と電熱抵抗体又は電熱板とを組み込んだものもある。
(9)人工保育器(乳児用のもの):基本的にはプラスチック製の透明な小室、電熱装置、安全装置、警報装置並びに酸素及び空気のろ過調節装置から成る。多くの場合、手押車に取り付けられ、乳児用体重計を自蔵している。
上記の機器とともに使用する電極その他の装置を収納したケースは、このグループに属する。
この項には、また、85.18 項に属する医療目的のものでない胎児用の聴音(prenatal listening)装置を除く(85.18 項の解説参照)。

部分品及び附属品
この類の注1及び注2の規定(この類の総説参照)に基づき、この項の機器の部分品及び附属品は、この項に属する。

号の解説
9018.12
この号には、電子式超音波走査型診断装置を含む。この装置は、変換器を通して人体内部に高周波の音波を送ることによって作動する。変換器は、人体と接触させ、超音波の発出とそのエコーの「聴取」を交互に行うものである。エコーは人体内部の器官によって反射した音波から生じ、その特性を解釈して、組織器官の位置、大きさ、形及び状態に関する情報を得ることができる。
一般には、組織のビデオ映像として表示された出力として、自動データ処理機械により、エコーの解釈が行われる。
この人体スキャンの方法は、妊婦の胎児を検査するのに使用される。また、胸、心臓、肝臓及び膀胱を検査するのにも適している。

9018.13
磁気共鳴映像法(MRI)は、強い磁場に置かれたときに、水素原子の原子核が配向するという原理に基づく。無線周波がこれらの原子に掃照されたとき、核の配列に遷移が生じる。無線周波が止められると、原子核は弱い電気信号を放射しながら、自発的に再配列する。人体は、主に水素原子で構成されているので、事実上人体のどの部分の像も、反射パルスから得ることができる。
水素は水の含有量を示しているので、反射パルスは組織を区別するのに使用される。これにより、骨髄と組織の像を得ることができる。
この号の診断用電子磁気共鳴画像診断装置は、巨大な電磁石、無線周波発生機及び測定の為の自動データ処理機械から成る。この装置は、外部の無線周波から完全に遮断された部屋に据え付けられなければならない。必要とされる強い磁場を得るために、電磁石は液体ヘリウムで冷却される。
水素は、人体に豊富にありかつ顕著な磁気特性のために、磁気共鳴画像診断の基本として使用される。その他、同様に、例えば、ナトリウム又はリンのような他の元素を使用することもできる。

9018.14
この号の電子式装置は、人体のガンマ線の分布像を得る為に使用される。この像は、シンチグラフ型走査機、特にガンマ線カメラのような適切な装置を用いることで得られる。
これらの装置で検査を行うためには、検査するべき器官にすばやく吸収される放射性化合物(トレーサー)を経口投与又は注射することが必要である。
放射性同位体がどこで吸収されたかを測定するために、目標とする器官(例えば、脳)を通過するトレーサーから放射される放射線の量を記録するガンマ線カウンターで人体走査する。
測定した放射線を自動データ処理機械により分析して、映像を作りだす。この映像は、器官中のどこで放射性同位体が検出されたかを示す暗い領域と明るい領域の組み合わせ又は色の対比である。この走査により、関係する器官の構造及び機能についての情報が得られる。
シンチグラフ装置の例は、ポジトロン放出断層撮影(PET)スキャナである。それは、コンピューター断層X線撮映法(CT)スキャナで使用される映像技術と原子核医療の原理を兼ね備えるものである(9022.12 号の解説参照)。


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