関税率表 第38.01項

第 38 類 各種の化学工業生産品

38.01 人造黒鉛及びコロイド状又は半コロイド状の黒鉛並びに黒鉛その他の炭素をもととした調製品(ペースト状、塊状、板状その他半製品の形状にしたものに限る。)
3801.10-人造黒鉛
3801.20-コロイド状又は半コロイド状の黒鉛
3801.30-電極用の炭素質ペーストその他これに類する炉の内張り用のもの
3801.90-その他のもの

(1)人造黒鉛(電気黒鉛)は炭素の一変形である。当該製品は、通常、電気炉で、こまかく粉砕したコークス(普通は石油コークス、しかし、時には無煙炭コークス、レトルトコークス、ピッチコークス等)と炭素質の粘結剤(例えば、ピッチ又はタール)との混合物を触媒(例えば、シリカ又は酸化鉄)の作用下で黒鉛化に充分な高温(2,500~3,200 度)に加熱して作られる。最初に混合物は加圧下で横断面が四角又は円形の塊(green block)として押出し又は成型される。この塊は、約 1,000 度程度に予熱してから黒鉛化するか又は直接黒鉛化する。
この方法により得られる物品は、見掛け比重が約 1.5~1.6 で、かつ、X線試験では黒鉛の均質な微細結晶構造を有していることを示す。化学分析により、当該物質が黒鉛であることを確認できる(黒鉛酸の沈殿)。
普通の品質の人造黒鉛のほか、この項には次の物品を含む。
(a)原子炉用の人造黒鉛:特殊処理した人造黒鉛で、ほう素の含有量が 100 万分の1以下であり、また、全熱中性子吸収断面積が5millibarns/atom 以下である。この品質のものは非常に灰分が少なく(100 万分の 20 以下)、原子炉の減速材又は反射材として使用する。
(b)含浸人造黒鉛及び不浸透性人造黒鉛:これは人造黒鉛の見掛け比重及び気体に対する不浸透性を増加するために、最初に真空中でタール、樹脂、砂糖液その他の有機物を染み込ませ、次に再加熱してこれら添加物の炭素質を黒鉛化したものである。
染み込ませる工程は、高い見掛け比重(1.9 以上)又は高度の不浸透性を得るため数回くり返して行われる場合がある。含浸黒鉛は原子炉用となり得る。
この項の人造黒鉛は通常、粉、フレーク、塊、板、棒等の形状である。塊及び板は切断し、かつ、高度の機械仕上加工(精密仕上げ及び適当な表面仕上げ)の後、85.45 項の炭素ブラシその他の電気用炭素製品及び原子炉の部分品に使用する。
この項には、また、人造黒鉛の回収にのみに適するくず、廃物及び使用済の物品を含む。
この項には、次の物品を含まない。
(a)天然黒鉛(25.04)
(b)レトルトカーボン(又はガスカーボン):ときには誤って「人造黒鉛」と呼ばれることがある(27.04)。
(c)表面加工、表面仕上げ、特別な形への切断、旋盤加工、穴あけ、フライス削り等の加工をし又は製品の形にした人造黒鉛。これらは、電気用以外の目的に使用する種類のもの(例えば、フィルター、円板、ベアリング、鋳型及び耐酸れんが)は通常 68.15 項に、また電気用に供する種類のものは 85.45 項に属する。
(d)人造黒鉛をもととし、セラミックとして焼成した耐火製品(69.02 及び 69.03)
(e)塊、板、棒及びこれらに類する形状にした人造黒鉛の半製品で、銀粉を含有するもの(71.06)
(2)コロイド状又は半コロイド状の黒鉛
(a)コロイド状の黒鉛は、天然又は人造黒鉛の微細粒子を水その他の媒体(例えば、アルコール、鉱油)中にコロイド状に懸濁したもので、少量のタンニン及びアンモニアが懸濁安定剤として添加されてもよい。コロイド状の黒鉛は、通常半流動体であって主として潤滑剤の製造に使用し又はその高い電気伝導性のために使用する。
(b)半コロイド状の黒鉛:水その他の媒体中に半コロイド状に懸濁した黒鉛で、グラファイトオイルの製造又はグラファイト被膜の形成に使用する。
このカテゴリーには、黒鉛を何らかの媒体に、コロイド状又は半コロイド状に懸濁したもので、黒鉛を基礎的な成分とするもののみを含む。
(3)黒鉛その他の炭素をもととした調製品(ぺースト状、塊状、プレート状その他の半製品の形状にしたものに限る。)
(a)炭素の塊、板、棒及びこれらに類する半製品で、金属黒鉛質その他の品質のもの
これらの用語は、電気機器又は電気工学機器用の炭素ブラシの製造に使用する種類の塊、板等の一連の半製品で炭素質材料(炭素質だけのもの及び他の物質と配合したもの)をもととするものを含む。これらには、一般に次のような種類のものがある。
(ⅰ)カーボン:微粉砕したコークス又はランプブラック(lamp black)と天然又は人造黒鉛の粉状にしたものとの混合物をピッチ又はタールのような炭素粘結剤とともに、真の「黒鉛化」を起こすには不充分な温度(1,000~1,200 度)で焼成して得られる。
このようにして得られた製品の組織は、均質ではない。顕微鏡観察では、黒鉛の粒と無定形炭素の粒との混合物であることを示し、化学的分析では、黒鉛酸の沈殿は、人造黒鉛から生じる沈殿より少ない。
(ⅱ)金属黒鉛質のもの:粉末にした黒鉛と卑金属(銅、カドミウム又はこれらの合金)の粉末との混合物を焼結(凝結、成型、焼成)に類する方法で処理して得る。金属の含有率は 10~95%である。
(ⅲ)プラスチックを混合した天然又は人造黒鉛の粉末を成型することにより得られる品質のもの
上記の材料から得られたもののうち、特に塊及び板は通常寸法が200×100×35 ミリメートル及び 150×70×30 ミリメートルである。これを切断し、高度の機械仕上げ(精密仕上げ、表面研磨)をした後、主に、85.45 項の電気ブラシの製造に使用する。
上記の半製品で、銀粉を含むものは、71.06 項に属する。この項には、また特別な形状に切断し、表面加工し、表面仕上げ等をした塊を含まない(通常、68.15 項又は 85.45項)。また、無定形炭素又は天然黒鉛をもととし、陶磁製品と同様に焼成した耐火製品を含まない(69.02 又は 69.03)。
(b)電極用の炭素質ペースト
これらの物品は、主として無煙炭とコールタールピッチ(粘結剤として作用する。)の混合物から成る。通常、小さい塊状になっていて、これが金属製容器の上部から挿入されて、炉の熱で軟化する。炭素ペーストはこのようにして容器内で成型されて、炉内で使用するためのエンドレスの電極として完成される。このため、もはや、使い古した既成の電極を交換するために炉を停止する必要はなくなる。この種の物品で良く知られているものはセーダーバーグペースト(soderberg paste)である。
類似のペーストは、炉の内張りに使用し、その場で固化する。
このカテゴリーには、更に、ペースト状の黒鉛で、黒鉛粒子(大部分が5マイクロメートル(ミクロン)を超える。)と鉱物油の混合物から成るものを含む。これらは大型機械の表面処理用又はグラファイトグリースの製造用のいずれにも適している。


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