関税率表 第92.07項

第 92 類 楽器並びにその部分品及び附属品

92.07 電気的に音を発生し又は増幅する楽器(例えば、オルガン、ギター及びアコーディオン)
9207.10-鍵(けん)盤楽器(アコーディオンを除く。)
9207.90-その他のもの

この項には、電気的又は電子的に音を発生し又は増幅する楽器(すなわち、たとえ取り付けてある振動装置がかすかな音を発生することができても、電気的又は電子的な構成部分がなければ、通常聴くための演奏をすることができないもの)を含む。この点で、これらの楽器はある種の他の楽器(例えば、ピアノ、アコーディオン及びギター)と異なっている。一方、ピアノ等は電気式の音声変換装置及び増幅装置を装備していることもあるが、当該装置がなくても類似の通常の型式の楽器と同様な方法で演奏するのに適した独立した楽器である。電気式自動ピアノは除外される(92.01)。
この項の楽器は、次の各部分が基礎となる。
(A)電磁式音響発生機
これを使用したシステムの一例において、発生機は駆動軸(駆動軸を一定速度で駆動する同期電動機にフレキシブルな継手で連結している。)を有し、この駆動軸に沿って各種の大きさの歯車を対に置き、各歯車がトーンホイールと呼ばれる歯車を駆動する。装置に電気を通じさせると、同期電動機は、トーンホイールの回転速度を変換する。この速度は、歯車の直径に応じて変化する。一端にコイルを巻いた永久磁石が、各トーンホイールのわきにこれと平行して置かれている。トーンホイールが回転すると、その縁に沿って一定間隔で取り付けた歯が磁石の極の下を通過し、それによる磁場の変化によってコイルに弱い電流を誘導する。
あらかじめ周波数を定めたこの弱い電流を電気的に増幅し拡声器に送る。
この原理は、主として、オルガン型の楽器に使用される。
上記のほか、ハーモニウムタイプのものは、フリーリードが永久磁石の極を横切って動きその振動が磁石に巻いたコイルの磁場を変動させる。その誘導起電流を増幅し、拡声器に送るものである。
(B)静電式音響発生機(各種の型式のもの)
(1)緊張線式音響発生機
緊張線に電流を通じさせておき、ハンマーで打つと振動が起こり、線とそれに近接した金属部分(スタッド)との間の電気容量に変化が生ずる。この電気容量の変化は、正確に線の振動に比例するので増幅すると忠実に再生できる。
(2)振動リード式音響発生機:緊張線の代わりにリードに通電するもの
(3)可変コンデンサー式音響発生器:電動機によりコンデンサーを一定速度で回転させるもの
(C)電子管発振式音響発生機(ガス放電管発振器を含む。)
(D)光電式音響発生機
せん孔円盤を透過する光線が光電池に投射する型式のもので、円盤スクリーンに正確な計算に基づいて孔を開けておけばそれに対応する電流の変化を得ることができ、それを増幅して所要の音を出すことができる。
これらの楽器のあるものは電磁式、静電式、電子式、無線式又は光電式のピアノ、オルガン、アコーディオン、カリヨン等と呼ばれるが、通常その登録商標名で知られることの方が多い。この楽器は単にレジスターを変換するだけで、ほとんどの楽器の音を忠実に再生することができ、そのような楽器で連続した単音を出すものを「モノホン」、複合音を出すものを「ポリホン」(例えば、オルガン)と呼ぶこともある。
ある楽器は、単独で演奏することもあるほか、通常のピアノに合わせて演奏するものもあり、この場合は、この楽器を右手で演奏している間、ピアノ伴奏は左手で演奏する。このような楽器は、ピアノとともに提示するかしないかを問わず、この項に属する。
電気式機器又は電子式機器(特に増幅器及び拡声器)は、この項の楽器の通常の演奏に不可欠のものであるが、楽器に組み込んでないときには、この項には属しないで、それぞれ該当する項に属する(85 類)。ただし、楽器に組み込んであるもの及び楽器と同一のキャビネットに収納するものは、輸送の都合上別梱包となっている場合でも、この項の楽器とともにその所属を決定する。
この項には、1時間ごと、30 分ごとに等自動的に鳴るある種の電子式チャイムとともに使用する通常の時計(時刻を示す文字板を有する。)を含まない(91 類)。


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