関税率表 第28.53項

第 28 類 無機化学品及び貴金属、希土類金属、放射性元素又は同位元素の無機又は有機の化合物

28.53 りん化物(化学的に単一であるかないかを問わないものとし、りん鉄を除く。)、その他の無機化合物(蒸留水、伝導度水その他これらに類する純水を含む。)、液体空気(希ガスを除いてあるかないかを問わない。)、圧搾空気及びアマルガム(貴金属のアマルガムを除く。)
2853.10-塩化シアン
2853.90-その他のもの

(A)りん化物(化学的に単一であるかないかを問わないものとし、りん鉄を除く。)
りん化物は、りんと他の元素との化合物である。
この項に属するりん化物の最も重要なものは、構成元素の直接作用によって得られるもので、次の物品がある。
(1)りん銅(りん化銅):反射炉又はるつぼで製造される。通常黄灰色の塊又は非常に脆い結晶状の小インゴットである。この項には、りん銅及び銅のマスターアロイでりんの含有量が全重量の 15%を超えるもののみを含む。この基準を超えないものは、一般に 74 類に属する。
りん銅は、銅の最良の脱酸剤で、当該金属の硬度を増大させ、融解した金属の流動性を改善する。りん青銅の製造に使用する。
(2)りん化カルシウム(Ca3P2):栗色の小さな結晶又は灰色の粒状塊で、水により分解し、りん化水素(自然発火する。)を発生する。炭化カルシウムと共に海上信号用(ブイ用の自然発火炎)に使用する。
(3)りん化亜鉛(Zn3P2):ガラス状の断面を持つ灰色の粉で有毒。湿った空気中でホスフィンを出し変性する。殺鼠剤、殺虫剤、医薬(りんの代用として)等に使用する。
(4)りん化すず:非常に脆い銀白色の固体で、合金製造に使用する。
(5)その他のりん化物:例えば、りん化水素(固体、液体、気体)及び砒素、ほう酸、けい素、バリウム又はカドミウムのりん化物

この項には、次の物品を含まない。
(a)りんと酸素の化合物(28.09)、りんとハロゲンの化合物(28.12)又はりんと硫黄の化合物(28.13)
(b)白金及びその他の貴金属のりん化物(28.43)
(c)りん鉄(72.02)
(B)蒸留水、伝導度水その他これらに類する純水
この項には、蒸留水、再蒸留水、電気浸透水、伝導度水その他これらに類する純水(イオン交換体で処理した水を含む。)のみを含む。
天然水は、たとえろ過、消毒、精製又は軟水化したものであってもこの項には属しない
(22.01)。医薬品として投与量にし又は小売用の包装にしたものは、30.04 項に属する。
(C)その他の無機化合物
無機化学品は、他の項に該当するものを除き、この項に属する(類注2に掲げる炭素の化合物を含む。)。
この項には、次の物品を含む。
(1)シアン及びそのハロゲン化物:例えば、塩化シアン(chlorcyan)(CNCl)、シアナミド及びその金属誘導体(カルシウムシアナミド(31.02 又は 31.05)を除く。)
(2)非金属の酸化硫化物(砒素、炭素、けい素のもの)及び非金属の塩化硫化物(りん、炭素等のもの):チオホスゲン(CSCl2)(塩化チオカルボニル、二塩化硫化炭素)は、二硫化炭素に塩素を作用させて得られる赤色の液体で、窒息性、催涙性があり、水で分解する。有機合成に使用する。
(3)アルカリアミド:ナトリウムアミド(ソーダアミド)(NaNH2)は、ナトリウム-鉛合金に加熱したアンモニアを作用させるか又は溶解したナトリウムにアンモニアガスを作用させて得られる。桃色又は緑色の結晶性塊で、水で分解する。有機合成、アジ化物、シアン化物の製造等に使用する。
カリウム及び他の金属のアミドも含む。
(4)よう化ホスホニウム(phosphonium iodide):例えば、りん、よう素及び水の相互作用により得られる。還元剤である。
(5)三塩化シラン (SiHCl3):塩酸とけい素との反応により得られる。煙霧シリカ(fumed silica)及び非常に高純度のけい素の製造に使用される。
(D)液体空気及び圧搾空気
商慣行上、液化した空気は、鉄鋼製又は黄銅製の真空層に覆われた容器に入れて提示する。
液体空気は、ひどい火傷をおこし、柔らかい有機物を硬くする。分別蒸留して酸素、窒素及び希ガスを得るために使用する。急速に蒸発するため、実験室で冷却剤として使用する。木炭その他の物質と混合して鉱業用の強力な爆薬となる。
この項には、次の物品も含む。
(1)希ガスを除去した液体空気
(2)圧搾空気
(E)アマルガム(貴金属のアマルガムを除く。)
水銀は、各種の卑金属(アルカリ金属、アルカリ土類金属、亜鉛、カドミウム、アンチモン、アルミニウム、すず、銅、鉛、ビスマス等)とアマルガムを作る。
アマルガムは、水銀と金属を直接作用させる方法、水銀電極を使って金属塩を電解する方法又は水銀を電解(陰極にその金属を使用)する方法によって得られる。
電解法又は低温蒸留法で得られたアマルガムは、高温で得られたものに比べて反応性が大きいため、発火合金の調製に使用する。これらは、また、貴金属の冶(や)金にも使用する。
(1)アルカリ金属のアマルガムは、純粋の金属よりも少ない発熱で水を分解する。したがって、アマルガムの方が金属よりも強力な還元剤である。ナトリウムアマルガムは、水素製造に使用する。
(2)アルミニウムアマルガムは、有機合成の還元剤として使用する。
(3)銅アマルガムで少量のすずを添加したものは、歯科用に使用する。銅アマルガムは金属セメントで、熱すると柔らかくなり、型どり及び陶磁器の修復に適する。
(4)亜鉛アマルガムは、腐食を防ぐために電池に使用する。
(5)カドミウムアマルガムは、歯科用及び焼結した金属からタングステン線を製造するのに使用する。
(6)アンチモンすずアマルガムは「ブロンジング(bronzing)」プラスターに使用する。
貴金属を含むアマルガム(卑金属と結合したものであるかないかを問わない。)は含まない(28.43)。水銀化合物(化学的に単一であるかないかを問わないものとし、アマルガムを除く。)は、第 28.52 項に属する。


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