関税率表 第27.10項

第 27 類 鉱物性燃料及び鉱物油並びにこれらの蒸留物、歴青物質並びに鉱物性ろう


(Ⅰ)一次製品 

 この項の前半部分には、27.09 項の解説に規定されている処理以外の処理により得られた物品を含む。
 この項には、次の物品を含む。
(A)抜頭原油(ある種の軽質留分を蒸留によって除去したもの)並びに石油又は歴青油(原油に限る。)の蒸留又は精製により、比較的広範囲の留分として得られた軽質油、中質油及び重質油:これらの油は、ほぼ液状ないし半固体状で、非芳香族炭化水素(例えば、パラフィン系、ナフテン系)を主成分とする。
 これらには、次の物品を含む。
(1)揮発油
(2)ホワイトスピリッツ
(3)灯油
(4)軽油
(5)燃料油
(6)スピンドル油及び潤滑油
(7)白灯油
 上記の留分は、例えそれらが更に不純物を除去するための処理(例えば、再蒸留又は酸、アルカリ、塩化亜鉛若しくは吸着粘土等による処理)を行ったものであってもこの項に属する。ただし、これらの処理が、化学的に単一な化合物又は商慣行上純粋なものとして取引するもの(29 類)を製造するものでない場合に限る。
(B)非芳香族成分の重量が芳香族成分の重量を超える類似の油:これらは、石炭の低温乾留、水素添加又はその他の方法(例えば、クラッキング、改質等)によって得られる。混合アルキレンは、主として溶剤又は希釈剤として化学合成に使用される。
 この項には、トリプロピレン、テトラプロピレン、ジイソブチレン、トリイソブチレン等と呼ばれる混合アルキレンを含む。これらは不飽和の非環式炭化水素(オクチレン、ノニレン並びにそれらの同族体及び異性体等)と飽和の非環式炭化水素との混合物である。
 これらは、プロピレン、イソブチレン若しくはその他のエチレン系炭化水素の極めて重合度の低い重合又は鉱物油のクラッキング生成物からの分離(例えば、分別蒸留)により得られる。
 混合アルキレンは、主として溶剤又は希釈剤として化学合成に使用される。また、これらは高オクタン価であるので適当な添加剤とともに揮発油中に混合されることがある。
 ただし、この項には、減圧蒸留法により蒸留した場合において 1,013 ミリバール(101.3KPa)に換算したときの温度 300 度における留出容量が全容量の 60%未満の液状の合成ポリオレフィンを含まない(39 類)。
 更に、この項には、石油精製又はその他の処理により得られたもので重量において芳香族成分を主成分とする油を含まない(27.07)。
(C)特定の用途に適するために種々の物質が加えられた上記(A)及び(B)の油:石油又は歴青油が基礎的な成分をなすもので、かつ、石油又は歴青油の含有量が 70%以上のものに限るものとし、この表の他の項に該当するものを除く。
 これらには、例えば、次のような物品がある。
(1)アンチノック剤(例えば、四エチル鉛、ジブロムエタン)又は酸化防止剤(例えば、パラブチルアミノフェノール)を少量添加した揮発油
(2)潤滑油と様々な量のその他の物品(例えば、植物性油脂のような潤滑性を増すための物品、酸化防止剤、防錆剤(ぼうせいざい)、シリコーンのような消泡剤)との混合物から成る潤滑剤。これらの潤滑剤は、混成油、高荷重油、黒鉛を混合した油(石油又は歴青油に黒鉛を懸濁したもの)、シリンダー上部潤滑剤(upper cylinder lubricants)、繊維油剤及び約 10~15%のアルミニウム、カルシウム、リチウム等のせっけんと潤滑油から成る固形の潤滑剤(グリース)を含む。
(3)トランスフォーマー及び回路遮断器用油(潤滑性を利用しないもの):特に精製した油に酸化防止剤(例えば、ジターシャリブチルパラクレゾール)を添加し安定化したもの
(4)切削油:切削工具等及び加工材料の冷却に使用する。これらは重質油に約 10~15%の乳化剤(例えば、アルカリスルホリシノリエート)を添加したもので、水中エマルジョン型として使用する。
(5)洗浄油:モーター、エンジンその他の装置の洗浄に使用する。これらは重質油で通常機械の運転中に形成されるガム、炭素沈着等の除去を容易にするため少量のペプタイジング(解膠(こう))剤を添加物として含む。
(6)離型油:鋳型から陶磁製品、コンクリート柱等を容易に除去するために使用する。これらには、例えば、約 10%の植物脂を含有した重質油を含む。
(7)液圧ブレーキ用の液等:潤滑性を増すため、重質油に酸化防止剤、防錆剤(ぼうせいざい)、消泡剤等を加えたものである。
(8)石油又は歴青油の含有量が全重量の 70%以上のバイオディーゼルの混合物。ただし、石油又は歴青油の含有量が全重量の 70%未満のバイオディーゼル及びその混合物は、38.26 項に属する。

(Ⅱ)廃 油 

 廃油とは、この類の注2の石油及び歴青油を主成分とする廃棄物である(水と混合しているかいないかを問わない。)。
 廃油には、次の物品を含む。
(1)一次製品として再利用できない廃石油その他これに類する廃油(例えば、使用済みの潤滑油、作動油及びトランス油):主として熱交換器、トランスフォーマー又はスイッチギヤーのような電気機器からポリ塩化ビフェニル(PCB)、ポリ塩化テルフェニル(PCT)及びポリ臭化ビフェニル(PBB)を排出することにより生ずるこれらの化学品を含有する廃油
(2)石油貯蔵タンクから得られた汚泥:主として石油及び一次製品の製造において使用された濃度の高い添加剤(例えば、化学品)を含有するもの
(3)水に乳化又は水と混合している状態の廃油:例えば、流出油、貯蔵タンクの洗浄から得られる油又は使用済みの切削油
(4)インキ、染料、顔料、ラッカー及びワニスの製造、調合及び使用により生じた廃油

 この項には、次の物品を含まない。
(a)加鉛ガソリンの汚泥及び鉛アンチノック剤の汚泥:加鉛ガソリン及び鉛アンチノック剤の貯蔵タンクから得られ、主として鉛、鉛化合物及び酸化鉄からなる。実用的な量の石油は含んでおらず、通常、鉛又は鉛化合物の回収に使用される(26.20)。
(b)石油又は歴青油の含有量が全重量の 70%未満の調製品:例えば、34.03 項の紡織用繊維のオイリング又は加脂処理用調製品その他の調製潤滑剤及び 38.19 項の液圧ブレーキ液(hydraulic brake fluids)
(c)石油又は歴青油を様々な割合で含有する調製品(石油又は歴青油の含有量が全重量の 70%以上のものも含む。)で、この表の他の項においてより特殊な限定をしているもの又は石油若しくは歴青油以外の物品が基礎的な成分を成すもの:このようなものには、34.03 項の調製防錆剤(ぼうせいざい)がある。これは、ラノリンのホワイトスピリット溶液で、基礎的な構成物質はラノリンであり、ホワイトスピリットは単に溶剤として作用し、塗布後には蒸発してしまうものである。更に、別の例として、消毒剤、殺虫剤、殺菌剤等の調製品(38.08)、鉱物油用の調製添加剤(38.11)、ワニス用の配合溶剤及び配合シンナー(38.14)並びに 38.24項のある種の調製品(例えば、ペトロール(ガソリン)エンジンの起動液(ジエチルエーテ
ル並びに全重量の 70%以上の石油及びその他の成分から成る液体で、ジエチルエーテルが基礎的な成分を成すもの))がある。 

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