関税率表 第85.42項

第 85 類 電気機器及びその部分品並びに録音機、音声再生機並びにテレビジョンの映像及び音声の記録用又は再生用の機器並びにこれらの部分品及び附属品

85.42 集積回路
-集積回路
8542.31--プロセッサー及びコントローラー(記憶素子、コンバーター、論理回路、増幅器、クロック回路、タイミング回路その他の回路と結合しているかいないかを問わない。)
8542.32--記憶素子
8542.33--増幅器
8542.39--その他のもの
8542.90-部分品

この項の物品は、この類の注9(b)において規定されている。
集積回路は、受動素子又は受動部品及び能動素子又は能動部品を高密度に組み合わせ、一つのユニットとしたものである(「受動」又は「能動」とみなされる素子又は部品に関しては、85.34項の解説の第1段落参照)。ただし、この項には、受動素子のみから成る電子回路を含まない。
集積回路とは違い、個別の部品が単一の能動的電気機能(この類の注9(a)に規定する半導体デバイス)又は受動的電気機能(抵抗器、コンデンサー、インダクター等)を有することもある。個別の部品は、不可分のものであって、かつ、システムの基本的な電子構成部分である。
ただし、いくつかの電気回路要素から成り、多くの電気機能を有する構成部品(例えば、集積回路)は、個別の部品とはみなさない。
集積回路は、記憶素子(例えば、DRAM、SRAM、PROM、EPROM 及び EEPROM(又は E2 PROM))、マイクロコントローラー、制御回路、論理回路、ゲートアレイ、インターフェース回路等を含む。集積回路には、次の物品を含む。
(Ⅰ)モノリシック集積回路
これは、半導体材料(例えば、ドープ処理したけい素)の基本的には内部に又は当該材料の表面に、回路素子(ダイオード、トランジスター、抵抗器、コンデンサー、インダクター等)を生成させ、かつ、不可分の状態にした回路である。モノリシック集積回路には、デジタル式、線形(アナログ式)及びデジタルアナログ混合式のものがある。
モノリシック集積回路は、次のような状態で提示される。
(ⅰ)実装したもの。端子又は導線を有するものであり、陶磁器、金属又はプラスチックに封入してあるかないかを問わない。ケーシングの形状は、円筒形、平行六面体等である。
(ⅱ)実装してないもの。チップのもの(通常、長方形で、通常横の長さが数ミリメートル程度のもの)
(ⅲ)切り分けられていないウエハー。チップ状に切断していないもの
モノリシック集積回路は、次のものを含む。
(ⅰ)金属酸化物半導体(モス型のもの)
(ⅱ)バイポーラ式による集積回路
(ⅲ)バイポーラ式とモス型を組み合わせた集積回路
金属酸化物半導体(MOS)、特に相補型金属酸化物半導体(C-MOS)及びバイポーラ式はトランジスター工業において一般的な技術である。これらのトランジスターは、モノリシック集積回路の基本的な構成要素であり、集積回路に特性を与える。バイポーラ式集積回路を用いたシステムは最大論理速度を与える。他方、MOS 型集積回路を用いたシステムは、各部品を高密度に配列することができ、又更に、C-MOS 型集積回路は消費エネルギーが最低である。
このため、これらは電力供給量に制限がある場合又は冷却に関する問題が予想される場合に使用される。バイポーラ式集積回路の速度と C-MOS 型集積回路の集積密度と低電力を有するBIMCOS 型においては、バイポーラ式と MOS 型との間の相補関係はより明確になる。
(Ⅱ)ハイブリッド集積回路
これは、薄膜回路又は厚膜回路を形成した絶縁基板上に作られた超小形回路である。この製造工程により、ある種の受動素子(抵抗器、コンデンサー、インダクター等)を同時に製造することができる。ただし、この項のハイブリッド集積回路であるためには、半導体が、チップ状であるか又は(例えば、特に設計した超小形のケーシングに)封入してあるかを問わず、表面に組み込まれて配線してなければならない。ハイブリッド集積回路には、別々に製造した受動素子を半導体の場合と同様の方法で基板の膜回路に組み込んだものを含む。通常、これらの受動素子は、チップ状のコンデンサー、抵抗器又はインダクターのような構成部分品である。
数層の積層(通常は陶磁製)を熱により接着して一つの集合体とした回路基板は、この類の注9(b)(ⅱ)に規定する単一の基板とみなす。
ハイブリッド集積回路の構成部品は、実用上不可分の状態に組み合わされている。すなわち、理論的には素子のあるものを除去し又は取り変えることはできるが、それを行うには長時間かつ複雑な作業を必要として通常の製造条件のもとでは経済的には成立しないものである。
(Ⅲ)マルチチップ集積回路
これは、2以上の相互に接続したモノリシック集積回路を、実用上不可分の状態に組み合わされた回路。絶縁基板が1以上であるかないか、また、リードフレームがあるかないかを問わないものとし、その他の能動又は受動回路素子を含まない。
マルチチップ集積回路は、通常、次のような構成をとる。
-並置して搭載された二以上のモノリシック集積回路
-一方を他方の上に積み重ねた二以上のモノリシック集積回路
-上記の構成の組み合わせた三以上のモノリシック集積回路
これらのモノリシック集積回路は、組合せ又は相互接続により、一体化され、封止等によって実装されることもある。これらは、実用上不可分の状態に組み合わされている。すなわち、理論的には素子のあるものを除去し又は取り変えることはできるが、それを行うには長くかつ複雑な作業を必要として通常の製造条件のもとでは経済的でない。
マルチチップ集積回路の絶縁基板は、誘電領域を有していることもある。これらの領域は、個別の回路素子以外の手段により受動機能を与えるため、特定の材料から構成されることや特定の形状にすることもある。この誘電領域が基板上に存在する箇所は、主としてモノリシック集積回路の相互接続の方法による。これらの基板は、最低部のチップ又はダイの上に置かれる場合、「インターポーザ」又は「スペーサ」と呼ばれることもある。
モノリシック集積回路は、接着剤、ワイヤーボンド又はフリップチップ技術のような、様々な方法で相互に接続される。
(Ⅳ)マルチコンポーネント集積回路(MCO)
これらは、この類の注9(b)(ⅳ)に規定する回路及び素子を組み合わせたものである。
マルチコンポーネント集積回路(MCO)は、一以上のモノリシック集積回路、ハイブリッド集積回路又はマルチチップ集積回路と、シリコンベースセンサー、シリコンベースアクチュエーター、シリコンベースオシレーター、シリコンベースレゾネーター及びこれらを組み合わせたもの、85.32 項、85.33 項、85.41 項に属する物品若しくは第 85.04 項に属するインダク
ターの機能を有する一以上のコンポーネントを結合した回路である。
この類の注9(b)(ⅳ)の条件に合致する限り、MCO に MCO を組み込んだ(contain)ものを含む。
全ての分離(交換可能な)ユニットで、85.04 項、85.32 項、85.33 項若しくは 85.41 項に属さないもの又はシリコンベースセンサー、シリコンベースアクチュエーター、シリコンベースレゾネーター、シリコンベースオシレーター若しくはこれらを組み合わせたものの定義に該当しないものは、MCO の定義に含まれない(例えば、トランスフォーマー(85.04)、磁石(85.05))。
ただし、掲げられているものとは異なる他の素子で、本来若しくは必然的に MCO(又は集積回路(IC)のパッケージ)の一部となるもの(例えば、基板(印刷回路として機能するかしないかを問わない。)、金線又は誘電領域)又はその構造及び機能のために必要なもの(例えば、モールドコンパウンド又はリードフレーム)は、MCO の一部又は素子と認められる。
MCO を構成する集積回路及びコンポーネントは、組み合わせて相互接続され、一体化したもの(ピン、リード、ボール、ランド、バンプ又はパッドを通して外界に共通接続(common connection)する固有の又は独立した技術的ユニット(technical unit)として存在するコンポーネント)の内部又は表面に物理的、電気的又は光学的に結合及び相互に接続されており、一以上の絶縁基板の上にあるかないか、リードフレームがあるかないかを問わず、封入又はその他の方法によってパッケージ化されていてもよい。
コンポーネントは、実用上不可分の状態に組み合わされていなければならない。すなわち、理論的にはある素子を除去し又は取り替えることはできるが、通常の製造条件の下では経済的に成立しないものである。
MCO は、しばしば、端子又はリードによりサポートキャリア(例えば、印刷回路基板(PCB)又はその他のキャリア(例えば、厚膜、薄膜、絶縁した金属基板等))の内部又は表面に実装され又は電気的インターフェースに接続されている。MCO のパッケージは、数種の構成材料から成り、各種のデザイン及び形状のものがあり、機械的又は環境的影響から、ユニットを
保護することができる。
MCO は、その固有の機能に必要な種々の特徴(例えば、パッケージがソリッド(solid)である、穴、窓又は膜を有している等)及びアタッチメントを有している。MCO は、これらの種々の特徴及びアタッチメントにより、物理量又は化学量をもたらした外部からの入力を受け、それらのデータをシリコンベースセンサー、シリコンベースアクチュエーター、シリコンベースオシレーター、シリコンベースレゾネーターと関連付けて処理することで出力する。
MCO は、コンピューター用、通信用(例えば、携帯回線網用の電話機)、消費者用、 工業用又は自動車用を含め幅広く使用される。
この項には、受動素子のみから成る膜回路を含まない(85.34)。
この項には、不揮発性半導体記憶装置、「スマートカード」及び音声又はその他の現象の記録用のその他の媒体を含まない(85.23 項及びこの類の注5参照)。

ハイブリッド集積回路、マルチチップ集積回路及びマルチコンポーネント集積回路(MCO)について上記(Ⅱ)、(Ⅲ)及び(Ⅳ)に記載された組合せにしたもの(実用上不可分の状態に組み合わせたもの)を除くほか、この項には、次のようにして成形したアセンブリーを含まない。
(a)支持物(例えば、印刷回路により形成されたもの)の上に一以上の単一のコンポーネントを実装したもの
(b)電子超小型回路に、ダイオード、トランスフォーマー又は抵抗器のような、一以上のその他のデバイスを加えたもの
(c)単一のコンポーネントを組み合わせたもの、又は、マルチチップ集積回路及びマルチコンポーネント集積回路を除く電子超小型回路を組み合わせたもの
(d)一以上のモノリシック集積回路、ハイブリッド集積回路、マルチチップ集積回路又はマルチコンポーネント集積回路と、この類の注9(b)(ⅳ)に規定されていないコンポーネント(例えば、トランスフォーマー(85.04)、磁石(85.05))とを組み合わせたもの
これらのアセンブリーは、次によりその所属を決定する。
(ⅰ)一つの完成した機器(完成品とみなされるものを含む。)となるアセンブリーは、当該機器が属する項に属する。
(ⅱ)その他のアセンブリーは、機械の部分品の所属に関する一般的規定(特に 16 部の注2(b)及び注2(c))によりその所属を決定する。
特に、ある種のメモリーモジュール(例えば、SIMM(Single In-line Memory Modules)及びDIMM(Dual In-line Memory Modules))がこれに該当する。これらのモジュールは、16 部注 2 の規定に基づきその所属を決定する(この類の総説参照)。

部 分 品
部分品の所属に関する一般的規定(16 部の総説参照)によりその所属を決定する場合を除くほか、この項の物品の部分品は、この項に属する。



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