関税定率法基本通達 4-8(抜粋)

関税定率法基本通達4-8(4)イ(課税価格に含まれる輸入港までの運賃等)

法第 4 条第 1 項第 1 号の規定に関する用語の意義及び取扱いについては、次による。
(4) 「保険料」とは、輸入貨物の輸入港までの運送に関して実際に要した保険料をいい、当該輸入貨物の輸出港までの運送に係る保険料を含み、次に掲げる場合には、それぞれに定めるところによる。
イ 輸入貨物に保険が付されていない場合は、通常必要とされる保険料を見積もることとはならない。

関税定率法基本通達4-8(課税価格に含まれる輸入港までの運賃等)
法第 4条第 1項第 1号の規定に関する用語の意義及び取扱いについては、次による。

(1) 「輸入港」とは、本邦において外国貿易船又は外国貿易機から輸入貨物の船卸し又は取卸し(仮陸揚げを除く。以下「船卸し等」という。)がされた港をいう。
(2) 「輸入港に到着する」とは、単に輸入港の港域に到着することを意味するのではなく、輸入貨物の船卸し等ができる状態になることをいう。
(3) 「輸入港に到着するまでの運送に要する運賃」とは、輸入貨物を輸入港まで運送するために実際に要した運送費用をいい、当該輸入貨物の輸出港までの運送費用を含み、次に掲げる場合には、それぞれに定めるところによる。
イ 輸入貨物が運送契約に基づき運送された場合は、当該運送契約に基づき当該運送の対価として運送人又は運送取扱人等に最終的に支払われる費用をいい、次の(イ)から(ハ)に掲げる費用を含む。
なお、輸入貨物が最低運賃(Minimum Freight) 又はパーセル運賃(Parcel Freight)が適用される少量貨物である場合は、実際に支払われる当該最低運賃又はパーセル運賃をいう。
また、輸入貨物が積載数量を特約した航海用船契約に基づき運送された場合は、実際の積載数量が当該特約数量に満たなかったときであっても、当該契約に基づき実際に支払われた運賃をいう。ただし、実際の積載数量が特約数量より著しく少ない場合には、当該支払われた運賃に合理的な調整を加えて「通常必要とされる当該輸入港までの運賃等」(後記(8)参照)を計算する。
(イ) 輸入貨物を運送するために要した積付資材費、船舶改装費等の費用
(注) 当該費用が 2 回以上の運送のためのものであるときは、原則として、運送回数、数量等を考慮してあん分した当該運送に要した額
(ロ) 為替相場の変動による補てん金
(ハ) コンテナー賃借料(輸入港到着日(入港日を含む。)までの期間に対応する額が明らかな場合には、当該賃借料の額は、当該期間に対応する額によるものとし、輸入港到着日の翌日以降の期間に対応する額を含まないものとする。)
ロ 輸入貨物が運送貨物を積載しないで引渡港から輸入港まで自力運航により直行した船舶又は航空機である場合は、当該船舶又は航空機の燃料費、乗組員費等当該運航に要した費用をいう。
ハ 輸入貨物が買手の所有する船舶(航空機)又は買手が定期(期間)用船(機)し若しくは裸用船(機)した船舶(航空機)により運送された場合は、当該船舶(航空機)の減価償却費又は用船(機)料に、燃料費、乗組員費、保険料等の費用を加えたものをいう。ただし、当該運送の状況を勘案して、通常必要とされる費用の額を著しく超える費用の額がある場合には、当該著しく超える額を控除するものとする。
ニ 輸入貨物が用船契約に基づき船舶により運送された場合において、当該船舶が当該用船契約において約定された許容停泊期間を超えて停泊したことにより用船者が船主に対し支払う割増料金は、運賃に含まれるものとして取り扱う。ただし、実際の停泊期間が船舶の大きさ、港湾の状況等に応じて標準的な許容停泊期間と認められる期間を著しく超える場合であって、その発生原因からみて当該支払金を課税価格に算入することが適当でないと認められるような特別の事情があるときは、この限りでない。
ホ 輸入貨物が用船契約に基づき船舶により運送された場合において、当該用船契約において予定された航海日数を超える航海日数を要したことにより用船者が船主に対し支払う割増料金は、運賃に含まれるものとして取り扱う。ただし、実際の航海日数が船舶の性能、航路の状況等に応じて標準的な航海日数と認められる日数を著しく超える場合であって、その発生原因からみて当該支払金を課税価格に算入することが適当でないと認められるような特別な事情があるときは、この限りでない。
ヘ 輸入貨物の運送に関し、輸入港において発生する滞船料(発生の時点が輸入港到着後であるかないかを問わない。)及び早出料は、輸入港までの運賃の計算上考慮しないものとして取り扱う。
(注) 輸入港までの運賃(80)に輸入港において滞船料(10)が発生し運賃として 90 を支払う場合又は輸入港までの運賃(80)に輸入港において早出料(10)が発生し運賃として 70 を支払う場合における輸入港までの運賃はいずれも 80 となる。
(4) 「保険料」とは、輸入貨物の輸入港までの運送に関して実際に要した保険料をいい、当該輸入貨物の輸出港までの運送に係る保険料を含み、次に掲げる場合には、それぞれに定めるところによる。
イ 輸入貨物に保険が付されていない場合は、通常必要とされる保険料を見積もることとはならない。

ロ 輸入貨物に付された保険がFuller Condition による保険(分損担保を基本とし、これにより担保されない雨淡水濡れ担保、汗蒸れ担保等を付加するもの)等で、損害がなかった場合に保険料の一部が払い戻されることとなっており、かつ、納税申告時の状況により払い戻される保険料の額が明らかである場合は、当該払い戻される額を控除した保険料をいう。
ハ 輸入貨物に保険が付されている場合であって、当該輸入貨物に係る納税申告時に当該保険料の額が明らかでないことを理由として、輸入者が、輸入申告実績に基づき通常要すると認められる保険料の額として税関長が公示する額を当該輸入貨物に係る保険料として申告するときは、これを認めても差し支えないこととする。ただし、以下について留意する。
(イ) 当該輸入貨物に係る納税申告が行われた後に実際に要した保険料の額が申告額と異なることが明らかになったときは、関税法第 7 条の14((修正申告))の規定により当該納税申告に係る税額等を修正する申告がされなければ、同法第 7 条の 16((更正及び決定))の規定により当該税額等を更正することとなること
(ロ) 納税申告が上記の公示額により行われた場合で、上記(イ)により当該納税申告の修正又は更正が行われたときは、関税法第 12 条第 6 項((延滞税の免除))に規定する「やむを得ない理由により税額等に誤りがあつたため」に該当しないこと
(ハ) 納税申告が上記の公示額により行われた場合で、上記(イ)により当該納税申告の修正又は更正が行われたときは、関税法第 12 条の 2 第 3項第1号に規定する「正当な理由」に該当しないこと
ニ 上記ハに規定する「税関長が公示する額」の意義及び取扱いは、次による。
(イ) 「税関長が公示する額」とは、暦年(1 月から 12 月)の輸入申告実績に基づき通常要すると認められる保険料の額であり、当該輸入申告実績を基に関税局長が毎年決定することとする。
(注) 上記の額は、輸入申告実績における保険料又は C&F 価格に対する保険料比率の中央値(メディアン)を参照して決定する。
(ロ) 関税局長は、上記(イ)により決定される額を、その公示日及び適用対象期間並びに算出根拠も含めて税関長に通知することとする。
(ハ) 税関長は、上記(ロ)の通知を受けた場合には、公示日から当該額の適用対象期間が終わるまでの間、本関、各税関支署、各税関出張所及び各税関支署出張所において、当該額を公示することとする。
(5) 「その他当該運送に関連する費用」とは、輸入貨物の輸入港までの運送に付随して発生する積卸しその他の役務の対価として支払われる費用をいい、次に掲げる費用を含む。
イ 輸出国における積込み前の一時的保管料
例えば、輸出国の工場渡価格で購入された貨物が、船積予定船の到着遅延により、当該船舶が到着するまでの間一時的に輸出港で保管される場合の当該保管に要する費用
ロ 輸出の際に税関手続等に要した費用
ハ 輸出国において要したコンテナー・サービス・チャージ
(6) 輸入港までの運賃等は、買手により負担されるものであるか否かを問わず、現実支払価格に含まれていない限度において、当該現実支払価格に加算する。例えば、次に掲げる場合は、それぞれに定めるところにより取り扱う。
イ 輸入取引に係る契約において輸入貨物の輸入港までの運賃を売手が負担することとされている場合(CFR 又は CIF 契約等の場合)は、当該運賃は現実支払価格に含まれているものとして取り扱い、当該輸入貨物を輸入港まで運送するために実際に要した運送費用の額を確認することは要しない。ただし、買手が現実支払価格のほかに当該輸入貨物の輸入港までの運送費用を別途負担するときは、買手による当該別途負担額を当該現実支払価格に加算する。
ロ 輸入取引に係る契約において輸入貨物の輸入港までの運賃を買手が負担することとされている場合(FOB 契約等の場合)は、当該運賃は現実支払価格に含まれていないものとして取り扱い、当該輸入貨物を輸入港まで運送するために実際に要した運送費用の額を、その負担者を問わず、当該現実支払価格に加算する。
ハ 輸入取引に係る契約において船舶により運送されることとされていた輸入貨物が航空機によって運送された場合の取扱いは、法第 4 条の 6 第 1項((航空運送貨物に係る課税価格の決定の特例))の規定の適用を受ける場合を除き、次による。
(イ) 当該契約において売手が輸入港までの運賃を負担することとされていた場合(CFR 又は CIF 契約等の場合)は、当該運送方法の変更に伴う費用を買手が負担するときは、買手による当該負担額を現実支払価格に加算するが、当該運送方法の変更に伴う費用を売手が負担するときは、売手による当該負担額は現実支払価格に含まれているものとして取り扱う。
(ロ) 当該契約において買手が輸入港までの運賃を負担することとされていた場合(FOB 契約等の場合)は、当該運送方法の変更に伴う費用の額を、その負担者を問わず、現実支払価格に加算する。ただし、当該運送方法の変更に伴う費用が、当該契約における取決めに従って売手により負担される場合は、売手による当該負担額は現実支払価格に含まれているものとして取り扱う。
(7) 輸入港までの運賃等は、次に掲げるような輸入貨物の輸入港到着後の運賃等を含まない。ただし、当該輸入港到着後の運賃等の額が明らかでなく、当該明らかでない額を含んだものとしてでなければ把握できない場合は、当該明らかでない額を含んだ額を輸入港までの運賃等として取り扱う。
イ 輸入港における船卸し等の費用(例えば、船内荷役、沿岸荷役その他これらに類する荷役のための費用)
ロ 輸入港到着後に行われた船舶の復旧に係る費用
ハ 国内運賃
ニ 航海用船契約に基づき輸入貨物の運送をした船舶の復路の空船回漕料
ホ 輸入税保険(Duty Insurance)に係る保険料
ヘ 国内運送に係る保険料
ト 輸入貨物の運送に関連する「着払運賃取扱料」(Collect Charge)及び「立替手数料」(Disbursement Fee)
(8) 輸入港までの運賃等は、輸入貨物(法第 4 条の 6 第 1 項((航空運送貨物に係る課税価格の決定の特例))に規定する貨物に該当するものは除く。)の運送が特殊な事情の下において行われたことにより、当該輸入貨物の実際に要した当該輸入港までの運賃等の額が当該輸入貨物の通常必要とされる当該輸入港までの運賃等の額を著しく超えるものである場合には、当該通常必要とされる当該輸入港までの運賃等による(令第 1 条の 5 第 1 項)。
この場合において、「通常必要とされる当該輸入港までの運賃等」とは、当該貨物の種類及び数量並びに運送条件(運送手段の種類、運送経路等をいう。)等を勘案して、通常必要とされると認められる輸入港までの運送のための運賃等をいい、例えば、次に掲げる場合は、「通常必要とされる当該輸入港までの運賃等の額を著しく超えるものである場合」に該当するものとして、それぞれに定める運賃等を「通常必要とされる当該輸入港までの運賃等」として取り扱う。
イ 輸入貨物の輸入取引に係る契約(運送条項を含む契約に限る。)又は輸入貨物の運送契約の成立の時以後に、天災、戦争、動乱、港湾ストライキ等当該貨物の輸出者(売手を含む。)又は輸入者(買手を含む。)の責めに帰し難い理由により、当該契約に基づく運送方法及び運送経路により運送することができなかった場合・・・・・・実際の運送方法及び運送経路のいかんにかかわらず、当該契約が前提とする運送方法及び運送経路により運送されたものとした場合の通常の運賃
ロ 運送契約に係る揚港若しくは入港順位を変更し、又は積港若しくは揚港を追加したため割増料金を支払っている場合において、当該割増料金の額が、変更後の揚港で船卸し等をし若しくは変更後の入港順位で寄港し、又は追加後の積港若しくは揚港で積込み若しくは船卸し等をすることを条件として運送契約をしていたものとした場合に支払うことを要したと認められる割増料金の額(例えば、運送距離の増加により必要とされる額)を著しく超えることとなった場合・・・・当該支払うことを要したと認められる割増料金の額(後記(注) 参照)
この場合において、当該支払うことを要したと認められる割増料金の額は、原則として、当該変更又は追加に係る貨物の課税価格に含めるものとするが、運送委託者からこれと異なる運賃の計算について申出(運送委託者が複数の場合には、全運送委託者の合意に基づく申出)があり、課税上支障がないと認められるときは、当該申出に係る計算方法によって差し支えない。
(注) 当初から当該変更後又は追加後の条件により運送契約をしていたものとした場合に支払うことを要しなかったと認められる額(例えば、揚地変更に伴う荷繰りに要する費用)は、通常必要とされる運賃等に含まれない。


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