令和2年11月の酒

“これが健康の秘訣だ”
“こうすれば元気になる”
“それは非効率な生活だ”
“実は間違った考え方だ”

ネット広告とも見分けが付かないほどの無責任な情報が溢れている。そして振り回される。自分が今まで生きてきた習慣を 順序を 安穏を 乱される。

科学は事実だ。科学は素晴らしく重要である。
ただし例外はある。科学にも例外はある。
性格 身体 文化 生命
1m mぽっちのズレでも ズレはズレ。
当てはまらないことがほとんどである。

なのに
なのに
なのに
NANO2

正解のように
絶対のように
間違えがないかのように
堂々と
自信満々に
私たちを惑わせる
私たちを混乱させる

あぁ、弱いのか!
私に軸がないのか 信念がないのか!

日常が高速で流れる
この歌が何かも分からないまま
次の曲が流れ始める

日常が高速で流れる
テレビのコメンテーターによる
脳が解釈する暇を与えない
無機質な正論のように

日常の一瞬一瞬に
美しさはあって

そこに
人生の楽しさがあったはずだ

君は今
目の前を通り過ぎる女性の表情に
物語を感じるか

君は今
定食屋の母ちゃんの手に
人生の深さを感じるか

時は過ぎる
幼少よりも早く
故郷よりも早く
時は“流れる”
私とは無関係に

時の中の私なのか
私の中の時なのか

女の前で 情けない格好で
双眼を赤く染めながら
「今は間違いなく
時の中に いるんだ」

情けない男!
だがその通りだ

吉祥寺の 地下にある焼鳥屋で
尼崎の物書きの本を読みながら
「あぁ、懐かしいなぁこれ」
と、酎ハイを飲みつつ。

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