魔女喰い2

魔女喰い (始まり)

この事件が起きてから2週間が過ぎ、今回で5人目の犠牲者だ。

若くて美しい女性がベッドに寝た状態で、両手は胸の前で合わさり横たわって死んでいた。

大きな外傷がなく、合わさった手の上にバラの花が一輪置かれていた。

自殺か他殺か事故死なのか誰もがわからなかった。
誰が名づけたか不明だがこの事件は「魔女喰い事件」と言う名目で内々に捜査が進んでいた。

ただ、明らかにわかっていることが一つだけあった。

この事件が発生した死亡推定時刻には、必ず同一人物が接触しているという事実である。

どの事件においても、マンションの防犯カメラからに一緒にマンションへ入っていく一人の人物がいる。

長髪のその女性は、死亡推定時刻が過ぎた後に一人でマンションから出て行くことを全ての防犯カメラで確認が取れていた。

その女性を重要参考人として人物の特定に急いでいるが、健闘むなしく特定することが出来ずにいた。

この事件はこれで終わりではないのだろう。これが始まりなのかもしれない・・・

あれから防犯カメラの映像と何日間格闘しただろうか。より鮮明になればなるほどおかしなことがわかってくる。

二人で仲良く同じマンションに入っていくように見える防犯カメラの映像では辻褄の合わないことが多数あった。

電話をしながら帰宅している女性の強張った顔が3人。何かに怯えるようにそわそわと周りを見渡しながら帰宅する2人。どちらも友達と一緒にそこにいるようには見えない行動ばかりだ。話しかけもせず、話しかけられもせず。まるでその女性が見えていないかのような、そんな振る舞いをしている。

「魔女喰い事件」とは誰が名づけたか、当たらずも近しと思わずにはいられない。

今日に至ってもまだ、人物の特定が出来ていない。どの防犯カメラにも顔が映し出されていないという原因があった。長髪なためか顔が髪の毛にかかりはっきりとしていない。

推定、18歳から25歳。身長、145cmから150cm。体重40kgから45kg。若そうという事以外で特に目立った特徴もなく。服装は地味目。傍にいても気づかれないほどの存在感の無さという人物像だ。

もしかしたら、近くに居たとしても気づくこともなく日々が過ぎていくのだろう。それぐらい影が薄そうな人物だ。

始まりは突然に…

「マジでてめぇ使えねぇな!迎えに来いっていつも言ってんだろ!!殺すぞ!こらー!てめぇ今日来れなかった分、十万円おごりだからな!ふざけんなバーカ!」

一方的な物言いをしながら、女性は携帯電話を切った。

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