魔女喰い2

魔女喰い(クリスマス・イブ)

俺は例のサイトにてコメント欄を利用したコミュニケーションを取り、実際に会って話をする段取りを付けた。

それはあるサイトで( #Xmas2014 )というハッシュタグイベントが開始された12月のことだった。

サイトでコメントをくれたのは男だった。その男の申し出に従い、合う場所が決まった。よりによって、世間がクリスマスムードで賑わっている12月24日。しかも、カップルが多いと言われている場所だ。

極端に外に出かけることを嫌う俺は、こんな日になぜ男と二人でここにいるのか。横浜みなとみらいでイルミネーションが煌めくクリスマスムードな世界に二人の男が肩を並べてベンチに腰を下ろしていた。

そこまでして、その男から情報を聞き出すことには意味があると考えたのだ。

その男はコメント欄でこう書き残した。

「俺は、これを見ていた。これは、魔女などという話ではなく、間違いなく殺人事件だったはずだ。この動画はなにも加工されてはいない」

俺と同じことを考えている人、しかも当時この現場を目撃した人物がいたのだ。

その人物に話しを聞くことは、インターネットで情報を吸い上げているだけの日常では得られないものがあると感じたのだ。

そして、カップルが行き交う中、二人でベンチに腰を下ろしているのだ。

このベンチに座って一休みしたがっているカップルの目線を気にしながら、俺はその男と会話を始めた。見た目は30後半に見える。実年齢は20代前半だという。お金を稼いで、女に貢いでいたのだ。その女に出会ったのがまさしくこのベンチで思い出の場所だった。仕事中に呼び出されては、駆けつけ足となって何度も酔っ払った彼女をマンションまで送っていたのだという。

その日も呼ばれていた。その男はいつも通りに待ち合わせ場所に着いたが、楽しそうに話す目線の先に知らない女がいたため、警戒して近づかずに遠くから様子を伺っていたという。

そこに魔女は居たのだ。

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