回文集
【回文1】2022/2/7
死が怖い。雌犬の尾の穂垂れ、夜、マサオ、車乗るの。丸くおさまる撚れた炎の縫い目、岩焦がし。
(しがこわいめいぬのおのほたれよるまさおくるまのるのまるくおさまるよれたほのおのぬいめいわこがし)
【回文2】2022/2/9
ワニの舌。綿でくるみ、ミルク出た。わたしの庭。
(わにのしたわたでくるみみるくでたわたしのにわ)
【回文3】2022/2/10
火の消ゆるあと、暗ひ土間。遠い音。窓開く。とある雪の日。
(ひのきゆるあとくらひどまとおいおとまどひらくとあるゆきのひ)
【回文4】2022/2/14
闇のなか、ずしりときやがる悪夢。煙くあるが、焼き鳥。静かな呑み屋。
(やみのなかずしりときやがるあくむけむくあるがやきとりしずかなのみや)
【回文5】2022/2/15
今、運動せい! 伊勢うどんうまい。
(いまうんどうせいいせうどんうまい)
【回文6】2022/2/16
いのちが軋む春は、蒸し器が血の井
(いのちがきしむはるはむしきがちのい)
【回文7】2022/2/16
身安らな遠い夜。よい音鳴らす闇。
(みやすらなとおいよるよいおとならすやみ)
【回文8】2022/2/17
ロダン、どうせ、伊勢うどんだろ。
(ろだんどうせいせうどんだろ)
【回文9】2022/2/17
馬と杖。ヌメヌメ湧き、うどん道極めぬ。メヌエット舞う。
(うまとつえぬめぬめわきうどんどうきわめぬねぬえつとまう)
【回文10】2022/2/19
「まずないのよ。海苔モダン焼き」 夢醒め、雪やんだ。森の夜の稲妻。
(まずないのよのりもだんやきゆめさめゆきやんだもりのよのいなずま)
【回文11】2022/2/19
イブ深夜に恋うた歌う「ひこにゃん」。シブい。
(いぶしんやにこひうたうたうひこにやんしぶい)
【回文12】2022/2/21
サンバで酔ったケロヨン、よろけ立つよ。「出番さ!」
(さんばでよつたけろよんよろけたつよでばんさ)
【回文13】2022/2/25
なんでや? わやでんな。
(なんでやわやでんな)
〔わやでんな ≒ めちゃくちゃになってますね〕
【回文14】2022/2/26
友と許可なく那覇で笑うゴルゴ。浦和では泣く、なかよき友と。
(ともときよかなくなはでわらうごるごうらわではなくなかよきともと)
【回文15】2022/2/26
うどんの伝道がやばそう! 蕎麦屋がうどんで呑んどう。
(うどんのでんどうがやばそうそばやがうどんでのんどう)
〔呑んどう(兵庫県南西部)=呑んでる〕
【回文16】2022/2/28
イカ玉「焼うどん、同期や!」「またかい・・・」
(いかたまやきうどんどうきやまたかい)
【回文17】2022/3/1
山高い。深き闇の氷霧。お好み焼き買ふ。イカ玉や。
(やまたかいふかきやみのこおりぎりおこのみやきかふいかたまや)
【回文18】2022/3/2
葛城やウマら空飛びトラ空舞う。ヤギ落下。
(かつらぎやうまらそらとびとらそらまうやぎらつか)
【回文19】2022/3/3
熱弁ふるう気前よいシャーマン。ほんまあやしいよ。絵巻売る分別(ふんべつ)ね。
(ねつべんふるうきまえよいしやあまんほんまあやしいよえまきうるふんべつね)
【回文20】2022/3/5
夜徹夜する似非(えせ)の群衆。もうやんぺ。あやしい「感動のうどん会」。シャーペンや羽毛寝具のセールスやってるよ。
(よるてつやするえせのぐんしうもうやんぺあやしいかんどうのうどんかいしやあぺんやうもうしんぐのせえるすやつてるよ)〔やんぺ=やめた〕
【回文21】2022/3/8
「食った! 脂のる素うどん」「どうするの?」「ラブアタック!」
(くつたあぶらのるすうどんどうするのらぶあたつく)
【回文22】2022/3/10
浦和。あやしい観光でウコン買い、シャア笑う。
(うらわあやしいかんこうでうこんかいしやあわらう)
【回文23】2022/3/14
夜深くなり、問ひ止まず。マヤ、ひとり泣く。変ふる夜。
(よるふかくなりとひやまずまやひとりなくかふるよ)〔変ふる(変うる)=変える〕
【回文24】2022/3/19
「着いた。さあ、うどん会館よ」 寛斎感動。「うどん会」参加。四回感動。麻タイツ。
(ついたさあうどんかいかんよかんさいかんどううどんかいさんかよんかいかんどうあさたいつ)
【回文25】2022/3/19
母がうどん会館経営権買い感動。「がはは」
(ははがうどんかいかんけいえいけんかいかんどうがはは)
【回文26】2022/3/21
稲子! さあ、大感動の夜芝居はここでやって! 徹夜で! ここは居場所のうどん会だ。朝こない。
(いなこさあだいかんどうのよしばいはここでやつててつやでここはいばしよのうどんかいだあさこない)
【回文27】2022/3/27
酔う義経。会話デマのみ、良識無視の旅楽しむ。紀州より美濃まで猥歌熱唱よ。
(ようよしつねかいわでまのみりようしきむしのたびたのしむきしうよりみのまでわいかねつしようよ)
【回文28】2022/3/30
とおいわよ 欠けた呑み屋のグラス 耶馬渓 こどく どこいけばやすらぐの? 闇の岳か よわい音
(とおいわよかけたのみやのぐらすやばけいこどくどこいけばやすらぐのやみのたけかよわいおと)
【回文29】2022/4/3
問題わずかかよ? 書の大家(たいか)。恥はかいたのよ、書(しょ)かかず猥談も。
(もんだいわずかかよしよのたいかはじはかいたのよしよかかずわいだんも)
【回文30】2022/4/7
カラスやニワトリ鳴く夜。キツネ、寝つきよくなり、とわにやすらか。
(からすやにわとりなくよきつねねつきよくなりとわにやすらか)
【回文31】2022/4/9
素人さ、しゃくとり虫。関西「感動のうどん会」参加し、「無理!」と悔しさ吐露し。
(しろとさしやくとりむしかんさいかんどうのうどんかいさんかしむりとくやしさとろし)[しろと=しろうと]
【回文32】2022/4/9
親鸞、来ず。かなしい喜劇。医師泣かず、混乱し。
(しんらんこずかなしいきげきいしなかずこんらんし)
【回文33】2022/4/10
さめたスタミナ。あのロココのうた歌うの、こころの穴満たすためさ。
(さめたすたみなあのろここのうたうたうのこころのあなみたすためさ)
【回文34】2022/4/11
うまいラーメン屋登録のあやしい「麺神」の晩餐会か。すんだら、ダンス。「快感! サンバのみが!」 眼医者、あの玄人やん。眼洗い、舞う。
(うまいらあめんやとうろくのあやしいめがみのばんさんかいかすんだらだんすかいかんさんばのみがめいしやあのくろうとやんめあらいまう)
【回文35】2022/4/12
よく何やら買う彼。「これあかんやつやんか! あれこれ買うからや!」に泣くよ。
(よくなにやらかうかれこれあかんやつやんかあれこれかうからやになくよ)
【回文36】2022/4/17
済んだの、暗い監査。明るく徹夜! 羅漢、天からやって来る。母さん、快楽のダンス。
(すんだのくらいかんさあかるくてつやらかんてんからやつてくるかあさんかいらくのだんす)
【回文37】2022/4/24
「焼いたミカン食べたんか」「みたいや」
(やいたみかんたべたんかみたいや)
【回文38】2022/4/28
「出島発つ吉川、ゆでたミカン食べたんか?」「見たで。湯、沸かしよった」「マジで?」
(でじまたつよしかわゆでたみかんたべたんかみたでゆわかしよつたまじで)
【回文39】2022/4/29
穴ん中、かなんなあ。
(あなんなかかなんなあ)
【回文40】2022/5/1
「みえみえの裏技・・・」「あほなこというなや! ここや、ナウいとこ!」 奈保、あざわらうの。笑み、笑み。
(みえみえのうらわざあほなこというなやここやなういとこなほあわざらうのえみえみ)
【回文41】2022/5/3
夜、悪寒、動悸。闇濃いよ。マリモの森、迷い込み、焼うどん香るよ。
(よるおかんどうきやみこいよまりものもりまよいこみやきうどんかおるよ)
【回文42】2022/5/4
「肉、焚く」「よし!」 夜の2時。うど、ゴマ、他人丼、手羽先、焼サバ、天丼、煮卵、同時にのるよ、食卓に。
(にくたくよしよるのにじうどごまたにんどんてばさきやきさばてんどんにたまごどうじにのるよしよくたくに)
【回文43】2022/5/7
槍、野に放たれ、切り札、スマイルか。明るい増田、振り切れたな。歯に海苔や。
(やりのにはなたれきりふだすまいるかあかるいますだふりきれたなはにのりや)
【回文44】2022/5/8
「うどん化委員会か。夜ね、マル秘、あやしい儀式! 市議、医者、アヒル真似るよ。快感! いい感動!」
(うどんかいいんかいかよるねまるひあやしいぎしきしぎいしやあひるまねるよかいかんいいかんどう)
【回文45】2022/5/15
うどん会ダンサー、カルいミイラ、「アメマ!」 豆洗い見入る母さん、大感動。
(うどんかいだんさあかるいみいらあめままめあらいみいるかあさんだいかんどう)
【回文46】2022/5/21
ネコとお手玉3回だ! 「お武家さんサーカス」 母さん叫ぶ。「お代官さま〜 伊達男ね!」
(ねことおてだまさんかいだおぶけさんさあかすかあさんさけぶおだいかんさまだておとこね)
【回文47】2022/5/30
「いかん! 産婆、とんだウソらしい。『笑うバクやイグアナいるわ。知多湾エリア』」
「なんや、ウソか。そうやんな。ありえんわ。たち悪いな」
阿久比(あぐい)役場裏、Y氏ら、相談と晩餐会。
〔阿久比:知多半島にある町〕
(いかんさんばとんだうそらしいわらうばくやいぐあないるわちたわんえりあなんやうそかそうやんなありえんわたちわるいなあぐいやくばうらわいしらそうだんとばんさんかい)
【回文48】2022/5/31
今、祈(うけ)う、モロボシ・ダンは市長。コンテナ技師、不思議な天候予知し、半田市ぼろ儲け。上手い。
〔祈(うけ)う:神意を知るために祈る〕
(いまうけうもろぼしだんはしちようこんてなぎしふしぎなてんこうよちしはんだしぼろもうけうまい)
※半田市は知多半島にある市ですが、この回文は完全なフィクションです。占いで気象予報をして収入を得る自治体があるとは思えません。
【回文49】2022/6/4
刺身、里芋、温泉バナナ食べた7番線。想いとさみしさ。
(さしみさといもおんせんばななたべたななばんせんおもいとさみしさ)
【回文50】2022/6/6
夜滝行き、今、上の人いない。酔ふ。「酔いしれ歌え! キス! ボスら留守だ!」 みな涙する。「ラスボス消えた。うれしいよ!」「上いないと、ひのえうま、いきいきだよ!」
(よだきいきいまうえのひといないえうよいしれうたえきすぼすらるすだみななみだするらすぼすきえたうれしいようえいないとひのえうまいきいきだよ)
【回文51】2022/6/8
「やん! 顔色、もお悪げ。脂っこいカツ丼、食べたん? どっか行こっ! ラブあげるわ!」 おもろいおかんや。
(やんかおいろもおわるげあぶらつこいかつどんたべたんどつかいこつらぶあげるわおもろいおかんや)
【回文52】2022/6/12
ストーム後、試験官、消灯し、怪談ものの問題か。周到よ。震撼、消しゴム落とす。
(すとおむごしけんかんしようとうしかいだんもののもんだいかしうとうよしんかんけしごむおとす)
【回文53】2022/6/19
「けだるいのだ・・・」 丹波のセミが店開く。セミ鳴かず静かな店。暗ひセミが店の番。ただのいるだけ。
(けだるいのだたんばのせみがみせひらくせみなかずしずかなみせくらひせみがみせのばんただのいるだけ)
【回文54】2022/6/25
いい! 和歌浦湾。ゼットン突然笑うの。かわいい。
(いいわかのうらわんぜつとんとつぜんわらうのかわいい)
【回文55】2022/7/9
「酔ったさ。ばらさのさ~」「ええやつやな、ブースカ! イカす、ウブなやつや! ええ!」「朝のさらばさ。発つよ」
(よつたさばらさのさあええやつやなぶうすかいかすうぶなやつやええあさのさらばさたつよ)
【回文56】2022/7/17
思惟衰え、勝てんな。城んなか、思てたとおりやん。ぶんぶん、槍、音立て、もお、かなん!「ロシナンテ、帰ろ。遠いし」
〔ロシナンテ:ドン・キホーテが乗っている馬〕
(しいおとろえかてんなしろんなかおもてたとおりやんぶんぶんやりおとたてもおかなんろしなんてかえろとおいし)
【回文57】2022/7/30
なんか いややわ。やばいな。ルールない場や。わやや。いかんな。
(なんかいややわやばいなるうるないばやわややいかんな)
【回文59】2022/8/16
生糸の苦しみ募るよ。夜の罪、シルクの吐息。
(きいとのくるしみつのるよよるのつみしるくのといき)
【回文60】2022/8/17
叫んだこと。「俺は大王、魚井だ! 晴れ男! ダンケ!」さ。
(さけんだことおれはだいおううおいだはれおとこだんけさ)
【回文61】2022/11/15
みやこの雅、今朝のにわか雨。赤ワニの叫び、闇の童(こ)、病み。
(みやこのみやびけさのにわかあめあかわにのさけびやみのこやみ)
【回文62】2022/11/15
やはり、どーもくん、「蜘蛛おどり」派や。
(やはりどおもくんくもおどりはや)
【回文63】2022/11/18
夜。「なに、かるいもんさ…」 明るくカルいハニワ課長、予知。「川にはイルカ来る! 母さんもイルカになるよ!」
(よるなにかるいもんさあかるくかるいはにわかちようよちかわにはいるかくるかあさんもいるかになるよ)
ハニワ課長:現・ハニワ部長。堺市のマスコットキャラクター。
【回文64】2022/11/19
「ん~、てか、はにたん、あんたには勝てん!」(んてかはにたんあんたにはかてん)
はにたん:高槻市のマスコットキャラクター(はにわ)
【回文65】2022/12/31
「あかんか? 俺、親子丼・・・。年末やんか~、あかんやつ、万年床や。俺、おかんか~」
(あかんかおれおやこどんねんまつやんかああかんやつまんねんどこやおれおかんかあ)
【回文66】2023/1/1
イカす! かあさん、年始、酔い、舞う! 「天丼て、うまいよ!」 新年サーカス会。
(いかすかあさんねんしよいまうてんどんてうまいよしんねんさあかすかい)[イカす:かっこいい]
【回文67】2023/1/1
怒る医者。「新年会、最低さ! 行かん! 念写強いる会」
(いかるいしやしんねんかいさいていさいかんねんしやしいるかい)
【回文68】2023/1/16
ダメだ! いかん! 鯖押し寿司、おばさん、買いだめだ。
(だめだいかんさばおしずしおばさんかいだめだ)
【回文69】2023/1/22
うどんすする音? ドトール、進んどう!
(うどんすするおとどとおるすすんどう)[進んどう=進んでる]
【回文70】2023/2/5
夜て、嫌! 画家辞めたい。悪魔憑き、怒鳴る絵。「太郎! うろたえるな!」 どきっ。幕開いた・・・。眼や! 輝いてるよ!
(よるていやがかやめたいあくまつきどなるえたろううろたえるなどきつまくあいためやかがやいてるよ)
【回文71】2023/2/12
「あ、淳(あつし)どん・・・ふろしき頭巾!」 はじけた田村殿。「呪いの色のドラム叩け! 自販機好き! 白ふんどしツアー!」
(ああつしどんふろしきずきんはじけたたむらどののろいのいろのどらむたたけじはんきずきしろふんどしつああ)
【回文72】2023/2/25
あかん、まじで! 闇のあやしいタウン。ドラえもん萌え、ラドン歌い、シャア呑み屋で自慢か~。
(あかんまじでやみのあやしいたうんどらえもんもえらどんうたいしやあのみやでじまんかあ)
【回文73】2023/2/27
鳥飛ぶ今朝。「マックス魔改造! 買うぞ、いかマスク!」 妻叫ぶ、鳥と。
(とりとぶけさまつくすまかいぞうかうぞいかますくつまさけぶとりと)
【回文74】2023/3/7
「違うよ、地球人! 饅頭、貴重!」「ガチ?」
(ちがうよちきうじんまんじうきちようがち)
【回文75】2023/3/7
強くないわよ、西向く侍。「おいら、無策。虫に弱い。泣くよっ!」
(つよくないわよにしむくさむらいおいらむさくむしによわいなくよつ)
【回文76】2023/3/8
「ウソみたい。美香、なんか、夏のタイ、暑いなあ・・・。穴いつ開いたの? ツナ缶、中身、傷みそう」
(うそみたいみかなんかなつのたいあついなああないつあいたのつなかんなかみいたみそう)
【回文77】2023/3/10
「あたたたたぁ! あたっ!」「番場よ。今夜にしよう、雪山野球」「よし! にゃんこ、四番バッター! あたたたたあ!」(あたたたたああたつばんばよこんやにしようゆきやまやきゆうよしにやんこよばんばつたああたたたたあ)[番場:番場蛮(侍ジャイアンツ)]
【回文78】2023/3/14
夜想。はかない極光。土手に木。さみしいダンスすんだ医師、岬にて慟哭。「『よき田舎』は噓や!」 [極光:オーロラ]
(やそうはかないきよくこうどてにきさみしいだんすすんだいしみさきにてどうこくよきいなかはうそや)
【回文79】(回文78の修正・補筆版)2023/3/17
寒鴉(かんあ)。降る雪、しんしん。
明るい歌うたう医師、苦痛、幾重(いくえ)。深い傷、かたくなに語らじ。
暮るれば、明るい夜さ。魚の目、みな開く。
はかない極光。土手に木。
さみしいダンスすんだ医師、岬にて慟哭。
「よき田舎」は暗ひ波。眼のなか、刺さる夜。
イルカ、暴れる。
クジラ、鷹に泣く鷹好き。イカ、笛、食い、美しい歌うたう。
イルカ、安心し、消ゆる不安か。
[寒鴉:冬のカラス 極光:オーロラ]
(かんあふるゆきしんしんあかるいうたうたういしくつういくえふかいきずかたくなにかたらじくるればあかるいよるささかなのめみなひらくはかないきよくこうどてにきさみしいだんすすんだいしみさきにてどうこくよきいなかはくらひなみめのなかささるよいるかあばれるくじらたかになくたかずきいかふえくいうつくしいうたうたういるかあんしんしきゆるふあんか)
【回文80】(回文79の修正・補筆版)2023/3/26
外科医「かあさん、絵描きなんだよ」
昼餉(ひるげ)、ささみ。
画家の母、庭に吐き。酔った。
「死ぬんかの。闇に消える、アトリエが」
見よ。血のいのち果てた遠き村。
しかし、終(つい)の乗り物、まだ来ず。はるけき庭に、母と子、立つ。
凍る木。
痛ましいシナリオ。暗い空き家。画家、のたうつ。「磨きなさい。呪い断つ鏡」
寒鴉(かんあ)。降る雪、しんしん。
明るい歌うたう医師、苦痛、幾重(いくえ)。深い傷、かたくなに語らじ。
暮るれば、明るい夜さ。魚の目、みな開く。
はかない極光。土手に木。
さみしいダンスすんだ医師、岬にて慟哭。
「よき田舎」は暗ひ波。眼のなか、刺さる夜。
イルカ、暴れる。
クジラ、鷹に泣く鷹好き。イカ、笛、食い、美しい歌うたう。
イルカ、安心し、消ゆる不安。
神がかった色の勇魚(いさな:クジラ)、気が満つ。歌の輝き、哀楽織りなし、医師、また生きる。
起こったことはハニワに聞けるはず。木霊の森の野、いつしか白む。木、音立て、ハチのいのち、よみがえり。
とある駅に宮の神主立つ。よきハニワに、母の鏡、捧げる日。予断なき火炎さ。赤い影。
[寒鴉:冬のカラス 極光:オーロラ]
げかいかあさんえかきなんだよひるげささみがかのははにわにはきよつたしぬんかのやみにきえるあとりえがみよちのいのちはてたとおきむらしかしついののりものまだこずはるけきにわにははとこたつこおるきいたましいしなりおくらいあきやがかのたうつみがきなさいのろいたつかがみかんあふるゆきしんしんあかるいうたうたういしくつういくえふかいきずかたくなにかたらじくるればあかるいよるささかなのめみなひらくはかないきよくこうどてにきさみしいだんすすんだいしみさきにてどうこくよきいなかはくらひなみめのなかささるよいるかあばれるくじらたかになくたかずきいかふえくいうつくしいうたうたういるかあんしんしきゆるふあんかみがかつたいろのいさなきがみつうたのかがやきあいらくおりなしいしまたいきるおこつたことははにわにきけるはずこだまのもりののいつしかしらむきおとたてはちのいのちよみがえりとあるえきにみやのかんぬしたつよきはにわにははのかがみささげるひよだんなきかえんさあかいかげ
(426文字)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?