行脚ール!!第三話 反射板に恋をした
今日の行程
7時 16番札所
8時半 17番札所
10時半 18番札所
11時 19番札所
12時半 20番札所
14時 21番札所
15時 22番札所
16時半 23番札所
19時半 宿着
正直今日あった色々なことが今思うと些末なことのように思ってしまう。
20番鶴林寺に鶴がいたり、21番太龍寺と合わせて2回山に登らされたり、もはや遠い過去の話のように感じる。
問題が起きたのはロスタイム、つまり17時の納経終了後のことだ。
今日の行程でも記述してある通り、今日の最後は23番薬王寺。つまり23番で17時を迎えた(正確には17時ではないが、次までは行けないくらいの時間)ということだ。
では24番はどこにあるのか、実は24番は23番から南に国道を77km直進した室戸岬の先端にある。
77km。原付で約2時間半。
もしあなたが今日2時間残業するか、明日2時間早く会社に来るか選べと言われたら間違いなく前者を選ぶだろう。私もそうだ。何故なら夜の2時間は余暇時間だが、朝の2時間は睡眠時間だからだ。
というか何なら今までの2日間も普通に7時には最初のお寺に入れるように移動している。もし23番の近くで今日休んだら明日は朝4時半に宿を出なければ時間を無駄にすることになる。
16時半から始まる2時間半の行軍。17時には日が落ちる。山の中。1人。
私は脳がCORE2DUOなので運転しながらできることは考えることだけ、頭の中で色んなことを考えて気を紛らせていたが、もうほとんど何を考えていたか覚えていない。
もし脳内で考えたことをSiriが記録してくれていたら、きっと文庫本1.5冊くらいの分量にはなったと思う。少なからず弘法大師と対話を繰り返して寒さに震えながらバイクを走らせていた。
そんな真っ暗闇でも常に私の道筋を照らしてくれていたのは、路傍の反射板だった。頭がおかしくなった私は、反射板に思いを馳せた。この暗闇の中で唯一正しい道をさし示してくれているのが反射板で、もし反射板が無ければ海へ真っ逆さま。「あなたがいなければ生きていけていない」のならそれは逆説的に「恋」なのではないか。
でも明日からは暗くなる前に入れる宿を探します。
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