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おとうさん、ガンかもしれない

はじまりは数ヶ月前。お風呂に入っていたときだ。体をナイロンのタオルでガリガリ洗っていたとき、左乳首に刺すような痛みが走った。ん?と思ってもう一度擦るともう痛くない。気のせいだとその日は終わる。

精神疾患あるあるだが僕は週に1〜2度しかお風呂に入れない。入る気にならない。その時も久しぶりにお風呂に入った。やっぱり痛い。強くなり擦りすぎたか?まぁ大した痛みじゃないからほおっておこう。
現にこの事を再び気にするまで2ヶ月かかった。
その時のツイートがこれだ↓

僕は不眠症。夜中に何度も目が覚める。眠れないので眠剤を飲むし、精神科の薬をなんだかんだと寝る前だけで5〜6錠飲むからトイレにも起きる。で、つい先日のこと。寝ぼけながらトイレに座っていると(我が家は妻のお願いで男性陣も座っておしっこをする)なんとなく胸をさわってみようと思い寝ぼけ眼で左胸を触る。

ん?なんか固くねえか?

右胸を触る。柔らかい……
何度となく繰り返しているうちによくわかんなくなってきたが、不安だけが確実に大きくなる。
五連勤で疲れきって寝ている妻に一応「しこりみたいのある」とだけ告げ寝ぼけた妻の慰めを胸にパソコンを開く

乳がん   男性

Webライターの本領発揮だ。

男性の乳がん発症率は1パーセント。
しこりがあり、痛みは無い。乳首の変形が見られ、女性化乳房という現象がみられることがある。

いまのところしこりがある「ような気がする」だけだ。大丈夫。
そのまま朝を向かえる。息子にも事の顛末を話す。「大丈夫だよ」それしかかける言葉はない。それしか欲しい言葉はない。

僕は元々長生きしたいという気持ちがない。
病気のせいもあるが、太く短く。六十くらいで、と思っていた。それがちょっと早くなっただけだ。再来年桜島で長渕剛のコンサートがあるのでそれまではと思ったあするが、その程度だ。
もうひとつ、いまは(いまだけじゃないが)金がない。息子が就職すれば金が必要だし、先日車も買った。俺がガンになり生命保険が降りれば丸く収まる。

空元気。

風呂に入った。左の乳首だけが陥没してる。不自然な形で。

気にするな、気にするな。

髭と頭を剃る予定だったが、やめた。いつもはしないシャンプーをして上がる。

おっパイ膨らんでないか?

僕は179cm 90kg。デブだ。おっパイも出てる。
でもデブのおっパイは普通鎖骨のすぐ下から膨らむ。胸部の真ん中あたりからポコンと出てる。触っ感じも脂肪の柔らかさではなくかあちゃんのと同じな感じだ。感じだ…感じだ……
乳首だって元に戻っている。今日今期最低気温のせいじゃない。

逆三角に点が並ぶと顔に見えるように、どうしても繋がってしまう。

乳がん   受診   何科

幸いにも次の日精神科で行っている総合病院の外科が新患受付の日だった。

息子を駅まで送って病院へ。整理券を取り新患待ち合い。天気が悪いと調子を崩す僕はパニック寸前だ。いつも持ち歩くノートに状況をメモをして係の人に見せる。少し慌てたように見えた職員に案内され外科の受付へ。既に患者でいっぱいなのに看護師が走って来て処置室へ。看護師に左胸を触られたあと医者も来た。
医者が「ここ痛い?」とピンポイントで押したところに激痛が走る。医者が看護師に耳打ちする。
「検査しますね」
ヌルヌルした感触をこらえつつエコー検査。
左の脇の下を撮っているときに痛みが走る。

執筆とバイトといつもの不眠から来る眠気と診察疲れでぐちゃぐちゃな脳みそで家族のグループLINEに経過報告を入れる。心配した妻が仕事前に病院に来ると言って聞かない。妻も疲れている。大丈夫だからと必死に止める。

「こちらどうぞ」

乳房らしき白黒の画像が並んだ画面の前にさっきの医者が座っている。

「しこりはありませんでした」

ほおおおおおおおんとうですかあああああ

ではなんで痛いんですか?

女性化乳房といって、おっぱいが女性のそれになっています。女性っておっぱい押すと痛いんですよ。

え?そうなの?
とアホな僕は横に立つ看護師の顔をみる。「私に聞かないでください!」

原因は女性ホルモンが増えたことです。一般的に肝臓や膵臓が悪くなるとなると言われています。おとうさんの場合は肝臓に問題がないので精神科の薬が影響していると考えられます。一応精神科の先生にお手紙書いておきますね。

この先どうなって、どうすればいいんですか?

何かいたずらするものでもないので、このままほおっておいて大丈夫です。
よほど膨らんで見た目の不都合があれば、精神科の薬を調整しますが、しばらく様子見て大丈夫です。



てなわけでガンではありませんでした。
おっぱい膨らんできてました。
デブで気が付きませんでした。
ハゲなのに女性ホルモンだそうです。

ちょっと触ってみましたw
かあちゃんのと同じでしたw
これでかあちゃんのご機嫌を伺いながらそっとお触りしなくてもよくなりそうです。
温泉入るの前を隠さないと恥ずかしくなりましたが、夜中にこっそりシークレットタブを開かなくてよくなりそうです。
生命保険降りたらバイクの免許取って、旅に出てとか思ってましたがその楽しみは自分のおっぱいをさわることでがまんします。



というわけでおとうさんは死にません。
残念でした。
もう少し生きてやります。

ではさようなら またね


罵詈雑言のコメントお待ちしております(´;ω;`)

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