この国の福祉とは

 昨日は10時から20時まで働き、今日は7時半の電車に乗りまた働く。残業代は出ない。福祉、しかも自治体からの委託を受けている団体の実態がこれだから、日本という国は先が見えない。

 事実、うちの団体で将来を見据えている若者は平日は身を粉にして働き、土日を返上して学校に通ったり勉強して資格を取り、ここで長くは働けないと思っている。
辞めていくのは優秀で若い人ばかり。

 若い人を育てようという気はあまり無いし、研修もいかにお金をかけずに済むかで決めているように見える。まず人を育てようという気があまり無い。初年度から責任者を1人でやらせるし、チューターなどもつかない。日誌のやり取りすらない。

 こう言ってはなんだけど、年齢給だから後から入社しても、福祉の経験がなくても、若い人より給料をもらっている人がたくさんいる。何もしなくてももらえる給料は変わらないし、給料と時間だけで見れば、やればやるだけ損する仕事なのかもしれない。

 だけどわたしはこの団体のために働いている訳ではない。わたしはわたしのために働く。子どもたちが心を開いてくれることが自分の喜びでもあるから働く。給料は変わらなくても、同じ時間働くなら少しでも子どもの心が開く瞬間に出会いたいから。

 わたしは今年29歳になる。この仕事は3年目。やりがいはあるし向いているとも思う。だけど昼過ぎに出勤して家に帰るのは日付を跨ぐ寸前。残業代も出なければボーナスだって無いに等しい。長い目で見た時にずっと続けられる仕事なのかは疑問だ。

 若い人が仕事にやりがいを感じながらも辞めていく。損しているのは法人であり、子どもたちであることに気づいているのか?

 そろそろ自治体からの委託費だけに頼るのは辞めたほうがいい。もしくは自治体から残業代やボーナスをを含めた額で委託費をもらわないと。適切な人件費を自治体は国はわかっていない。この仕事を甘く見過ぎている。この国の福祉に対する態度はいつ変わるのか?

 高齢社会で子どもを生み育てることの大切さを言葉だけで訴えられても、それだけで子どもが育つわけないし、親だって支援者だって育てられない。いつまで自分たちの責任を、個人や家庭、支援職になすりつけるのか?

 そんなことを考えながら今日も明日も、自分のために、目の前にいる子のために、その家族のために働く。

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