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最安値では買えないモノがあるんだよね

主に自宅で仕事をこなしている私は、午後3時のおやつ時を超えたあたりで駅前の市場に買い物に行く。高円寺駅前の「高野青果」といえば、緑黄色野菜がザルに盛られたどこか懐かしい光景を、街に来た人ならば目にしたことがあるはずだ。

いかにも地域最安値の雰囲気を出しているが、実のことを言うと、高野青果が最安値じゃない商品も多い。近所にある激安スーパーのほうが安価な食材もママある。

しかし、私は、イチ商品あたり数十円のプレミアムを支払ってでも高野青果に買いに行く。無数に積まれた旬の食材がぷんと香りを放つ、ほんの数十平方の空間をうろうろきょろきょろしていると、食に対して淡泊な欲望しかないはずの私ですら「今日はナスを田楽にしよう」とか「うどんには長ネギを入れて鍋焼き風にしよう」とか、イマジネーションが膨らんでゆく。

何を食べたいのか忘れてしまう今日この頃。うっかりすると毎日パスタを食べているとかね。市場の香りが欲望のレパートリーをストレッチさせてゆく。心のくつろぎは日々の食事から。

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