折りたたみ傘
やっと、ついに決意ができた。
長い間といっても四年ほど使った
折りたたみ傘を手放す決意ができたのだ。
この傘は本当にいつも一緒だった。
戻ることのない青春の日々を
華麗に彩る雨からも守ってくれるような
そんな存在だった。
恋じゃないと否定し続けて、
やっと長い長い片思いにピリオドを打つために
この傘を手放すことにした。
青春と呼べる全ての時間に、
一人思いを寄せていたあの君からもらった
大切な傘だ。
有名な鳥のシルエットがあしらわれた
紺色の傘。
自分じゃ絶対に選ばないような
少し子供っぽいデザインも
なんだか君らしくて気に入っていた。
わざわざ選んでくれたのだから
気に入らないわけがないのだが。
手放すといっても捨てることはできなかった。
壊れているわけでもないし、
新しい顔を買ったわけでもない。
決意ができたという話だ。
きっと降水確率が50%以上の日には
カバンに入っているだろう。
それでも今までは
どんなに日差しが照りつけているような日にも
カバンの中に絶対に入っていたものだ。
四年間も。
次は何色の傘を買おうかなんて
考えるにはまだ少し早いが、
大丈夫きっと思い出になる。
いつかあの鳥を見て
ふと思い出せるくらいの
淡い淡い色に変わっているはずだ。
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