20/3/12 リヴァプール VS アトレティコ マドリード(CL R16 2nd Leg) レビュー
アトレティコホームで迎えた1stレグはアトレティコが枠内シュート0で抑え1-0で勝利。
リヴァプールホームで迎えたら2ndレグの一戦。
スタメンはこちら。
リヴァプールはボーンマス戦で攻守共に精彩を欠いたファビーニョに代わりヘンダーソン。
アトレティコはセビージャ戦欠場のロディが復帰。この試合で負傷したモラタに代わりコスタ。1stレグからトリッピアーとフェリックスが復帰。
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目次
1.しわ寄せの保護(DF)ショック
- 狙われたロディサイドのチャンネル -
2.立ち直り中
- LSHコケから始まるアトレティコの修正 -
3.思い出ファーストレグ
- 流石のリヴァプールと背負い過ぎたリスク -
4.何度目のオブラクか?
- 絶対的守護神の存在が引き寄せたモノ -
5.ファンタスティック四色パン
- 総力戦が生んだ差 -
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1.しわ寄せの保護(DF)ショック
- 狙われたロディサイドのチャンネル -
1stレグ完璧に封じ込められたリヴァプールがこの2ndレグでどんな攻撃でアトレティコを崩そうとするかはこの試合の一番のキーであった。
まずリヴァプールが狙ったのは
①どちらか片側のチャンネルを空けさせる事。
なぜ両方じゃないかと言うと
逆サイドはボックスに入ってフィニッシュに人数掛けれる様にする為
その中でロディのサイドを選んだ理由は幾つもの要素が噛み合ったからだと考えた。
①ロディの方が釣り出され易い事。
②ボックス内にマネとワイナルドァムの方がフィニッシュで良い為。
③精度が高いファンダイクから対角線のボールを送りたい為。
④サラーのドリブル、シュートとクロスを活かす為。
という訳で
「ロディのサイドのチャンネル攻略作戦」
所謂、右側偏重攻撃だ。
リヴァプールは普段フィルミーノがライン間に降りてサラーとマネが内に入る事が多いが、この日サラーはピッチの大外に立った。
リヴァプールとしてはサラーとロディの一対一を作ってロディを引っ張り出したい。
だがアトレティコは基本4バックがボックス内を締めてサイド攻撃にはSHが対応するので、リヴァプールはショートパスで繋いでサラーに届けてもLSHのサウールに対応される事が多いだろう。
なので一発でロングボールでサラーに届ける設計を作る。
ヘンダーソンが最終ラインに降りて後ろ3枚が幅を取り、アトレティコの2トップ脇またはヘンダーソンから対角線のロングボールを送り込む。
LCBのファンダイクは足元が非常に上手い。
彼からサラー、またはアーノルドへそこからサラーに送って、サラーVSロディの状況を作る。
ロディは吊り出され、後ろでサポートするアーノルドにサウールが対応せざるを得なくなり、チャンネルが空くとそこにチェンバレンが侵入。
素早く作られるサラー、アーノルド、チェンバレンのトライアングルをロディとサウールの数的不利な状況で受けるのは厳しい。
かと言ってCBフェリペかCHトーマスが更に引っ張り出されるのは中が薄くなり危険である。
なんとか耐えて前半を乗り切れるかとしたとこだが、そのしわ寄せはやっぱり来る。
再三のチャンスをリバプールは逃さない。
前半42分
アーノルド→サラー→チェンバレン→ワイナルドァム先制点。
トータルスコア1-1。
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2.立ち直り中
- LSHコケから始まるアトレティコの修正 -
後半開始からのポイントは
シメオネがロディのサイドの守備をどう修正するか?
だろう。
早速シメオネは修正。
コケをLSH、サウールとトーマスのポジションチェンジ。
一番守備範囲の広いコケはロディのサポートしながら次に守備範囲の広いサウールとチャンネル管理して、前半2VS3の数的不利を打開しようとした。
リヴァプールが右偏重で来るならアトレティコは左に守備の機動力が高い選手を置こうではないかと。
そして途中から(後程、記述)
リバプールのSBにトップが、WGにSHが付いてアトレティコはSBがボックスを締めれる様に修正もした。
56分には
ジエゴ コスタ OUT ジョレンテ IN
ジョレンテがRSH、コレアがCFに。
この交代もアトレティコファンなら笑みが出る交代(笑)
シメオネはこの試合最初から120分も視野に入れていたはず。
復帰後からまだ先発が無かったコスタはこの辺でお役御免が妥当な中、怪我のモラタはもしものこと考えて、まだ早く最後に取っておきたい。
また延長も見据えるシメオネにとって一番は「守備の強度を落とさない事」
献身的でもあるコレアをファンダイク対応にしてフィードに規制をかける役割を担った。
また後半途中から左サイドからも工夫した攻撃を仕掛けるリヴァプールに対し(後程記述)、RSHにジョレンテを入れて中盤4人をボランチタイプにした。
リバプールのスタミナが落ちてネガトラが緩みアトレティコがボール保持出来る様になると2トップは前残りに変更。
前掛かりになるリヴァプールで2VS2の状況がより出来る様になり決定機を生み出せるかもしれない。
60分にはフェリックスのシュート
アトレティコらしい交代。
また1stレグから通して、フィルミーノのライン間降りを封じたコンパクトさと中央で2CBの前で立ちはだかったのはそうトーマス。
(たこすさんが呼びかけたアトレティコ選手紹介のトーマスを自分がさせて頂きました!)
リヴァプールのネガトラを突破する持ち運びと長短織り交ぜたパス。
世界よ!見たか!!
またアトレティコは無駄に繋がず危ないと思ったら即座にロングボール。
ターゲットはコスタ。コスタはなるべくゴメスと競り合う。
オブラクからは前半アーノルドと身長差のあるサウールもターゲットに。
2トップは縦関係でスペースで受けたフェリックスはドリブルしながら苦しくなればファールを貰おうとした。
「それよりもリヴァプールのカウンタープレスを回避し、また自陣から攻撃させる。」
とにかくそれがアトレティコにとっては大事だった。
リヴァプールが完全に押しこみながらもアトレティコは無失点。延長へ。
90分で決着が付かなかった事。これが一番この試合の分岐点となったとこだと個人的に考える。
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3.思い出ファーストレグ
- 流石のリヴァプールと背負い過ぎたリスク -
いやーしかし今世界で一番強いチーム、リヴァプールは流石ですよ。
マネを中心としたカウンタープレスは凄いし、右偏重でのチャンネル攻略でしっかり前半に点を奪う。
さて後半。
右サイドの攻撃にも変化を付けてくる。
サラーが右ハーフスペースに降りてきて右のチャンネルにチェンバレンだけで無くフィルミーノも狙う様になってきた。
フィルミーノは本当に多彩だ。
ライン間は狭くなかなかスペースが無い。
フィルミーノは更にアトレティコ2トップ脇まで降りてくる。左大外にマネとロバートソンが立ち、ハーフスペースをワイナルドァムがランニングする事でトーマスを引き付ける事によりチェンバレンやアーノルドへのパスコースが開通。
そこからミドルシュート。
(なのでその後アトレティコは2トップも守備で下がってきた。)
リヴァプールは右サイド偏重で攻める中で冴え渡ったカウンタープレスが後半途中から陰りを見せてくる。
特にRCHチェンバレンはチャンネルに侵入しながら奪われるとネガトラに移行をより繰り返し行う必要があったので疲労が見えてきた。
82分
チェンバレン OUT ミルナー IN
また息を吹き返す。
とにかくリヴァプールは相手選手の間を取るのが非常に上手い。
レギュラークラスの選手は訓練されて脳内にしっかりインプットされている。
瞬時の判断も早い。
後半もロバートソンのポスト含めリヴァプールがいつ点決めてもおかしくなかった。
最後どれだけ詰めれるか、どちらが先に体を入れれるか、どちらが先に足を出せるか。
ボックス内でのお互いの気迫、集中力。
世界最高峰を見た。
この試合、ロディとアドリアンの一瞬の判断ミスは失点に繋がった。
勿論、批判も大事でそれが次の成長に繋がる。
ただ自分には過剰な批判は出来ない。
それ以上のパフォーマンスにもはやミスでしか点が入らない証明だったとも思う。
さて試合に戻る。
1stレグからのアトレティコの鉄壁の守備がリヴァプールに強く印象付けられただろう。
チャンネル攻略にCHを深く侵入させる。
アンカーも前掛かりになれば、アトレティコ2トップとリヴァプール2CBで2VS2の状況になる。
WGが大外でCHがチャンネル深くに侵入すれば密集度は薄まる。
疲労と共にカウンタープレスが弱まれば一気にリヴァプールゴール前へ。
1stレグから見せたアトレティコの鉄壁がこの状況を引き寄せたかもしれない。
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4.何度目のオブラクか?
- 絶対的守護神の存在が引き寄せたモノ -
アトレティコの守備には何かに支えられた様なほとばしる自信を感じる。
リヴァプールはその守備を超えても最後に強烈な壁がそびえ立つ。
僕たちアトレティコファンが何回も神と崇めた男。
その名はヤン オブラク
リヴァプールはこの試合で実に34本のシュートを打ち、そのうち枠内に11本飛ばしたがオブラクが9本ストップ。
ビッグセーブあり、抜群の安定感と言うべきセーブあり。
1stレグは枠内シュート0だったリヴァプールだが、この日もオブラクだからもっとコースを狙わないと。という意識が働いたかもしれない。
オブラクの存在が最後の精度をより難しくしたと言える。
今日も彼は神様だった!!
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5.ファンタスティック四色パン
- 総力戦が生んだ差 -
アトレティコはこの日選手交代でリヴァプールの先手をいった。
ジョレンテ、ヴァルサリコ、モラタ、ヒメネスとスタミナ管理しながらそれぞれ4人のカラーを活かした交代だっだ
(最後は5-4-1)
ジョレンテは56分に入って2得点1アシスト。
2点目はフィルミーノをヴァルサリコと2人で挟んで奪ってから、モラタに渡りゴール前までスプリントして決める。
フレッシュなジョレンテがしっかりと仕事をした。
リヴァプールは最初のミルナー以降はファビーニョ、オリギ、南野は後手感が否めない。
レギュラークラスの力はリヴァプールが上だろう。しかしベンチとの差を少し感じる。
試合が120分になって総力戦になった事もアトレティコ有利に働いた要因だろう。
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アトレティコファンの僕にとってはいまだに興奮が収まらないものだった。
が、それと同じく一瞬たりとも目が離せない、お互いの修正が繰り返される素晴らしい試合を見れた喜びが大きかった。
感謝!!
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