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大人の音楽教室のコロナ対策まとめ。クラスター対策はバッチリ?

大人の音楽教室業界にも、コロナウイルス(COVID-19)の嵐が吹き荒れています。

密室で同じ楽器を触って演奏する音楽教室は、コロナウイルス、とくに毒性の強いデルタ株、感染力の強いオミクロン亜種の影響を受ける筆頭。
地方を中心に、警戒ムードのお客さんの受講控えで、続々倒産する教室が出てきています。

50代の女性は、先月26日に発熱やせきなどの症状が出たあと、いったん熱が下がったため、印西市の系列の音楽教室に行って1対1の個人レッスンで7人の子どもにピアノを教えたということです。

その後、再び熱が出てウイルス検査を行ったところ、感染が判明しました。

早くこの影響が収まってくれるのを願うばかりですが、今回は大人の音楽教室に2022年までどのような影響が出てきているのか、またそれに対する先生や生徒の反応、対応方法を解説していきます。

また実際にどういう教室を選べばコロナウイルス対策として安全なのかについても、触れていきたいと思います。

大人の音楽教室はコロナで倒産が続出

地方の音楽教室はもともと経営状態がかなりギリギリのところが多く、業界専門家の間では今後10-20年以内に過半数の店舗は無くなるのではないかと言われています。

コロナウイルス関連の給付金でなんとか耐えていた大人の音楽教室が多かったですが、1年耐えきれずに、また経営見直しの良い機会でもあるということで、2021年の初頭くらいに一斉に廃業が相次ぎました。

コロナウイルスで廃業したのは
・岐阜県最大級の大人の音楽教室「上野楽器」(負債5億4000万円)
・大阪の代表的老舗である大人の音楽教室「井村楽器」(負債3億円)
・川越の代表的楽器店「栗原楽器」(負債1億円)
などとなっています。

また大手でも、
・カワイ 売上23%減、赤字額8億円(コロナウイルスによる店舗閉鎖)
・ヤマハ 売上27.9%減 赤字額17億円(コロナウイルスによる休講連鎖)
など、歴史的な赤字拡大が続いています。

群馬交響楽団は、オーケストラで実施している音楽教室を、2021年から感染対策のため中止しました。

大人の音楽教室での感染拡大

ヤマハ大人の音楽教室では、口元がボタンであけしめできるオリジナルマスクを使って指導をしています。
マイクなど口に触れるところは、自分専用のものを使うようにしっかり指導も行われており、安心感があります。

一方新潟県の合唱団では、歌うときには運営側が十分な感染対策を行っていたにも関わらず、その前後で多数の方が同じ施設に密集して過ごした過程で、数十人に一斉に感染が広がり、クラスターとなりました。

また、感染拡大のなかで、現場の教室の先生も臨時対応に追われています。

ヤマハ音楽教室の先生方は、レッスン外でのコロナ関連対応が業務外として扱われ、休業補償もなかったとして労働組合を新規に結成しました。

たくさんの音楽教室経営者が、コロナ下で危うくなった先生方の雇用を守るために動いてくださっています。


大人のオンライン音楽レッスンの猛追

コロナ下の音楽業界で世界中で一斉に話題になったのが、ギターの世界的メーカー「フェンダー」が、社長交代をきっかけに一気にオンラインレッスンをメイン事業に切り替えたことでした。

これまでのフェンダーの社長はいわゆるギター畑のひとでしたが、新社長はウォルト・ディズニー社の元重役。
「なんで、フェンダーは新しいプレーヤーを作る努力を全くせずに、勝手にギターが弾きたくなったひとだけを商売相手にしているんだ?」という素朴な疑問をもとに、一斉にオンラインレッスンの仕組みに巨大な投資を行いました。

投資はコロナ下で見事に成功し、一瞬で会員数は100万人を突破。世界最大のギターレッスン事業者となりました。

日本国内でも、「フォニム」という東大発の大人向けオンライン音楽レッスンがあっという間に1位となり脚光を浴びています。
最近では、「レミオロメン」が講師として参画するなど、コロナをきっかけに音楽教室として以前では考えられなかったことが起きています。

大人向け音楽教室は、東京以外では「クラシックピアノ」「シニアの歌」以外の講座は元々とても開講数が少ない状態でした。
オンラインレッスンが盛んになることで、今後5年から10年ほどで、大人の趣味の音楽教室はさらに変化が加速することでしょう。

大人の音楽教室のコロナ対策

サックスレッスン

サックスレッスンでも、検温、アルコール消毒、休憩の換気が基本です。つけたまま口元をボタンで開け閉めできるマスクを使用するヤマハなどの教室もあります。

合唱のコロナ対策

合唱のレッスンでは、検温、アルコール消毒、休憩に加えて、歌う間にもマスクを付けたまま実施することで、クラスターの発生率を大きく減少させることができます。これまで国内で確認された合唱のコロナ感染では、そのほとんどがマスク非着用での合唱となっていました。

ピアノレッスンのコロナ対策

鍵盤の消毒はもちろんのこと、次々入れ替わりで入ってくる生徒同士の接触で、レッスン時には気をつけている場合でも感染拡大が発生します。

生徒同士のレッスン間隔は普段は0分=同時ですが、5分〜10分ほどレッスン間隔を開ける対策が必要となっています。

やってはいけない大人の音楽レッスンのコロナ対策

大人の音楽教室に現在多く見られている対応が、アクリルパーテーションによるレッスン室の仕切りですが、これはコロナ感染を拡大させる原因です。

海外では、アクリル板が空気をよどませることで、室内の換気が完了するまでに何倍も時間がかかるようになることが分かってきています。

現在の大人の音楽教室では多数がアクリル板を設置しているため、見かけた場合は撤去をお願いするのがおすすめです。

音楽教室が現在唯一できるコロナ対策は、マスク着用のまま演奏すること、演奏後は濃度の高いアルコールで手と楽器全体を拭くこと、先生と生徒ができるだけ離れて換気扇を最大にすることだけです。

詳しくは国のガイドラインをご覧ください。