見出し画像

大人が未経験でピアノを始めても劇的に上手くなれる方法

大人になってからピアノを練習してみたくなったけれど、何から始めればいいのかわからないという方も多いのではないでしょうか。

本記事では、ピアノ教室の運営側に勤めた経験があって、実際に生徒の側としても各地の転勤先で受講してきた筆者の立場から、大人のピアノ初心者にオススメの勉強法を解説したいと思います。


大人と子供では、ピアノの練習方法は違ってきます

ピアノは、ほかの楽器に比べて大人になってから始めるひとも相当多いイメージがありませんか?
鍵盤楽器は、コツをつかまないと全く音すら出ないという楽器ではありません。そのため、柔軟な子どものうちに独特な方法を習得しないとにっちもさっちも行かないということは避けられます。

管楽器や弦楽器にはこの類の楽器もあって、運が悪いと一念発起して始めたのに何の成果も出ずに撤退する羽目になりかねませんが、ピアノの場合は時間がどれくらいかかるかはかなり人によって異なりますが、必ず一定のレベルに皆さんたどり着きます。

そういう前向きな気持ちを持ちつつ、ただし何を考えずに適当に弾いていても子どもほどの柔軟性をもって成長できるというわけではありませんので、大人ならではのできることを武器にする戦略が必要です。

大人ならではのピアノの武器とは何かというと、

  1. 自分で考えて使えるお金が多少なりともある

  2. 頭を使って練習計画を立てられる

  3. いろいろな学習リソースを探して頼ることができる

ことが挙げられます。
これまでに何百人ものピアノ学習者の学習ルートを見てきました。どんな練習をしたひとが3年で結構な腕前になって、どんなひとはたとえ15年かかっても納得行く結果にならなかったか、違いを以下で書いていきたいと思います。

大人のピアノ初心者最大のNGパターン:「アクセスのよくない音楽教室に通う」

まずはピアノを始める前に、楽器一般の5割がいわゆる音楽性で、残りの5割は筋トレのようなものだということを有名音楽家がみな述べていることを把握しておきましょう。

つまり、どんなに自分にぴったり合った講師の教室でも、3ヶ月に1回だけ通ってまとめて10時間教えてもらっていたのでは、筋肉運動として成果が出ないということになります。

理想的な練習頻度は毎日ですが、大人から趣味で始めるひとの場合は、30分間の練習を2日に1回でもいいのでなるべく高頻度でやるというのが目標になります。そして、オンラインのレッスンでこれもなるべく頻繁に講師のフィードバックやアドバイスをもらいましょう。

教室でピアノの先生に教えてもらっている時間の9割は、なにか特に凄いことをしてもらっている時間ではありません。やることは、①間違っている音を直される ②もう自分でも頭では分かっていて、でも身体がついてこないことを指摘される という時間が95%くらいを占めます。

結局は、自分の家での練習方法次第なのです。

子どもの場合は先生という生身の存在に応援してもらったり、場合によってマナーなどの指導をしてもらうようなメリットがあります。また、英会話なら最終的には臆せず目の前の人間とコミュニケーションをとれるようになることが最終目的なのですから、画面越しでないことにも大きなメリットがあるでしょう。

しかし、ピアノを大人としてうまくなりたい場合、上達の肝は最もいい先生に出会い、かつ高頻度で軌道修正をしてもらうことです。子どもの脳のように、2週間に1回、一瞬やっつけの練習をしただけでも、いずれ奇跡的に脳の回路が繋がってそれなりに弾けるようになるという戦略は捨てましょう。よほど都会のど真ん中にいて、高額な予算を出してプライベートスクールに通えるひと以外の基本戦略は、独学を中心に据えて頻繁にピアノに触れ、オンラインのコーチに定期的に自分のフォームのクセを直してもらうことです。

あえて強いことをいうと、近くの大人向けの大手教室にとくに計画無く通っても、直接先生と会話することのメリットがあまり無いので、思ったほど上手くなることはピアノに関してはありません。教室での交流を目的にしているなど別の目的もあるからOKなのか、いやいやもっと早くこの曲が弾きたい!なのか、自分の目的をあらためて考えてみましょう。

1番最悪なのは、いまいち通学の足が向きにくい音楽教室にとりあえず通って、レッスンの頻度も隔週などで低いので当然練習がうまく行かず、何となく気まずい思い出とともに1年後に挫折するパターンです。


楽譜というものを深刻にとらえすぎない

https://twitter.com/kabo_piano/status/1347902723107115009?s=20

子どものうちは、楽譜をちゃんと読めないとピアノの先生に注意されるということもあります。これは子どもの教育という意味で考えれば意味のないことではないのですが、今あなたは大人としてピアノをスタートするので、少しここは開き直りが必要です。


現在の五線譜は、あまり合理的な音楽の表現方法でもないことが研究者によって多数証明されています。そう、大してわかりやすい記述の仕方ではないので、すぐにあなたが直感的に理解できないのは当然なのです。

もともと楽譜は貴族に献上するために作られたフォーマットですから、やたらとピカピカに、うやうやしく、豪華絢爛に見えるようにして渡す必要がありました。こんなに大げさな線や棒でぐちゃぐちゃと記す必要があるのかなあと思っているあなたの直感は正しいです。

今は楽譜が必要とされた16世紀でもなく21世紀で、いまあなたは趣味でピアノを始めるので、もっと早くてオススメの方法があります。それは、動画で見よう見真似で弾いてしまうことです。

まず、映像内で特定の3音くらいを自分で決めて、固定して瞬時に場所を直感的に見つけられるようになりましょう。ピアノは鍵盤数が88もありますが、何度も見ていれば感覚で「これが真ん中のド」「これがファ♯」「これがラ」とすぐ見破れるようになります。

そうすればもうお手の物、一生楽譜とはおさらばで、先生の手元を動画でつぶさに観察しましょう。先に曲のメロディを耳で覚え、次に再生を5秒ずつ止めて、同じ動きを再現するのです。ただし、この手段で弾けるようになったら、あとから楽譜はついでに目に入れておきましょう。いやがおうでも、数カ月後にはだいたい楽譜も読めるようになってしまうはずです。

先生に嫌がられることもなく、穴のあくほど手の動きを観察できるのも、ピアノオンラインレッスンのいいところです。教室に通っている学習者が1回だけお手本を見ているときに、あなたは30回お手本を見てあっという間に追い抜いてしまいましょう。

学習リソースを頼る

子どもの頃何かを習うといえば、古くて読みにくい教本を広げて、やたら鉛筆書きを入れることだったかもしれません。最近あなたが最後に行った旅行先の情報を調べたときもそうでしたか?最近車を買ったときも、自動車大全みたいな本を広げましたか?・・おそらく、ネット上のコミュニティや動画のわかりやすい情報を頼りながらより効率的な決定をしたと思います。

ピアノについても、2013年頃からかなりたくさんの革新的な学習法が登場してきました。もうアメリカでは、2020年以降実に6割くらいの楽器愛好者は音楽教室には通っていません。みんな、アプリや動画で勉強しているのです。過半数のひとがです!

現代では、最寄りの教室に一人だけ所属している先生に教わって、最寄りの教室主催の発表会に2万円払ってよしみで出演して終わり、という学習スタイルはスタンダードでないことを覚えておきましょう。

まるで個人にテーラーメイドで設計してもらえる旅行プランのように、世界中から世界中から自分にぴったりのレッスンをオンラインで選んで、また同じような音楽の嗜好をもったアマチュア同士で集まる発表会や同好会を地元で探してお互いに感想をシェアしあい、自分のブログやSNSを開いて毎日の練習成果や悩みを共有するのがこれからのスタンダードのピアノ練習法です。

ピアノの学習アプリのスタンダードとして、Yousicianがあります。
また、英語の分かるかたなら世界的な動画レッスンのUdemyがおすすめです。

36万人が高く評価している講座が、世界のどこからでも受けられます。

英語の講座は厳しいという方の場合、時間の定めなく受けられるピアノレッスンで日本で1番生徒数が多いのはフォニムです。プロの奏者が自分の演奏に日々アドバイスや感想を届けてくれるのが目玉となっています。

無料のYouTube動画でも、とても質が高くて見入ってしまうようなものがたくさんあります。


独学用の本も、対面レッスンより質の良いものがたくさんあります。

ちょっと本が小さいので譜面台に置いて練習できないのが玉にきずですが、周りでも実際に無理なく続けられたというひとの多い名著です。本についているコードから、スマートフォンでお手本動画の視聴ができます。

大人だから買える文明の利器に頼ってしまう

せっかくピアノを始めるのだから、少しだけ奮発して良いピアノを手に入れることも視野に入れているという方もいるでしょう。

初心者のピアノ練習は、すでに大型のアコースティックピアノが家にあるという方以外は、絶対に練習サポート機能の充実した電子ピアノで始めるべきです。

自分の演奏を本体の機能で録音できるし、機種によっては自分の弾いている音が画面でわかります。
ヘッドフォンで夜も練習できるからピアノにふれる時間も自然と伸びるし、「転調」機能があるので、「ド」を弾いたときに自動でたとえば「ファ」を鳴らして、同じ曲が全然違う曲調に聞こえるように弾く勉強だってできます(今はまだ、どういうことを言っているかわからないかもしれません!)。左手を先に録音して、右手を後から重ねて理解するような練習もできるでしょう。

本格的なタッチが勉強できるので木製ピアノにしましょうというのは、基本的にはセールストーク。今の電子ピアノは本物のピアノと趣味の範囲では変わらず、むしろメリットが大きいです。お部屋の模様替えだって、業者を呼びつけなくても一人でできるので、のちのち安心です。

主観的な電子ピアノメーカーのイメージとしては、

初心者向け1位:カシオ
G-shockの時計の会社でもあるので、絶妙に工業製品としてコスパの良いピアノを出している。
ヤマハが主に20-30万円のピアノを売りたいと考えているのに対して、カシオは直球に5-10万円のピアノで1番いいものを作ろうとしている。
結果的に、初心者向けの価格帯で比較したときには1番総合的な満足度の高い製品が多い。

初心者向け2位:ヤマハ
予算を上げたときのスピーカーの質や、背面の木材の反響板、キーボードのタッチなどはほかの追随を許さないものがある。反面、低価格帯のピアノは高級ピアノとのすみわけが実施されているため、耐久性や天板のデザインなど「?」なものも。あれもこれも機能がついていて、何となくゴテゴテして弾いていて落ち着かないものも多い。機能がたくさん付きすぎて、そもそもピアノの起動に時間がかかる機種も多いので、ちょっとストレスに感じることも多かった。

初心者向け3位:ローランド、カワイ
ローランドはスタイリッシュなピアノが多く、機能もシンプル。ごてごて感がないのがメリット。今風のミニマリストな印象がある。反面、ある程度予算を上げたときのスピーカーの品質については、ヤマハのほうがかなり迫力を感じることが多い印象。

他にコルグなどもありますが、だいたい店頭で扱っているのは以上のメーカーに分かれるでしょう。

練習のサポート機能としては、楽譜を読むのを諦めてカシオの「光るナビゲーションキーボード」を買ってしまうというのも一手です。

もう、弾くところを迷いようがありません。
ヤマハの大口径スピーカーのメリットを1番感じられるのは、予算10万円(できれば20万円)以上で、ピアノが40,50キロくらいあってもいいという家の場合だと思います。

5万円くらいで選ぶなら、スピーカーや鍵盤の作りは大して各メーカーで違いはないので、あえてヤマハでなくても、カシオやローランドのデザインも視野にいれるとよいかと思います。

ヤマハYDS164R

まとめ

知り合いの家に遊びにいったら、ピアノを弾ける友人がいてうらやましいなと思った経験はありませんか?最近では、駅ピアノなんかもあって、かっこよく弾いているアマチュアのひとを見たこともあるかもしれません。今日ピアノを習い始めれば、それはたった1年後のあなたの姿かもしれません。大人になってからピアノを習うのは難しいように思われるかもしれませんが、大人の基本的な戦略をふまえれば、全然そんなことはありません。ぜひ、憧れの音楽に踏み出してみてください。