口コミ感想記事 人気漫画ブログ、えむふじんがあらわれた
えむふじんがあらわれたと言う漫画があります。これは兵庫県に住む夫婦によって制作されたもので、ライブドアの公式ブロガーであり、書籍も出しているプロの漫画家です。
この記事ではその漫画の口コミ記事と題しまして私が好きなところを書いていこうと思います。
別の記事にまとめたおすすめ記事一覧と合わせてぜひ読んで頂きたいです。
内容は4コマで、タイトルや初期のキャラ服装などからわかるようにドラゴンクエスト(などのゲーム)の公式パロディアンソローコミックから影響を強く感じさせるいわば「家族あるあるを4コマ漫画にした」ような作品です。
家族構成は、
漫画担当の母、えむふじん。
システム面担当の父、えむし。
ゲーム好きで絶賛10代男子ながら、家族思いな長男えむお。
乙女チックでありながらもかなり天然?な長女えむこ。
工作が好きで面白いことをたくさんする次女えむみ。
の5人家族。
兵庫県に実在するらしい5人をモデルとしたドタバタギャク漫画です。
名前はおそらく昔のショートショートとかを参考にしているのではないでしょうか。
特徴は明るく笑える作品が多く、見ていて不快になるような自虐や愚痴、誰かがいじめられるようなお話はなく安心して読むことができる漫画です。
かなり現代的な漫画で、システム的にもスマホで読みやすいようになっていたり、各種SNSに対応している。ネットで毎日更新して、その中で評判が良かった作品を書きおろしも含めて何年かに一度書籍として販売する、など現代的な面を多く持っています。
それは漫画内の価値観もで、前述したように、いじめや不快になるような描写が少なく、明るく笑える作品が多いということだけではなく、ジェンダー面、人種面、弱者配慮、家族観なども現代的です。まるで「『サザエさん』がそのまま、令和の時代にやってきた」ような漫画です。
夫婦によって運営されていることや、母えむふじんは弟が二人いる長女、父えむしは妹が二人いる長男。そして子どもたちも男女どちらもいることあってか、異性に対する解像度が非常に高く、異性に対する決めつけがほとんどない漫画です。
長男えむお、長女えむこの10代男子あるある、10代女子あるあるネタなどはあるため、ジェンダーバイアスだと言うこともできますが、決してえむお、えむこともにテンプレートなキャラではなく、えむおの中の「女子」っぽい面、えむこの中の「男子」っぽい面もあります。
えむふじん、えむしともに海外旅行や海外留学した経験があり、子どもたちも幼いころから両親の友人である日系人以外の人との関わりがあるようで、人種や外国籍の人に対する偏見、コンプレックス(極端に好き、極端に嫌いなど)などもありません。
レギュラーの登場人物は全員同じ人種、同じ価値観でありながらも、異文化に対する敬意を感じさせる作品となっています。
また大変だった時期もあるようで、弱者に対してもものすごくやさしい。こちらも漫画ないで直接弱者にやさしくする場面や直接的な言葉などはないものの、マジョリティではない人への優しさを感じさせる世界観を作っています。
その一方で現代の大多数、マジョリティの価値観をものすごく肯定しています。
言うならば理想的な普通。
関西のいいところに一軒家を持っていて、家族中も良く、子だくさんで全員、受験させて私立の学校に通われる、人気ブロガーで収入も安定している。
一見普通に見えるけど、ものすごく理想的な世界です。私もえむもと家みたいな家庭を築きたいなと思わせるものがあります。
家族全員がゲームやアニメ、漫画が結構好きで、とくにえむおはゲームを頻繁にしている描写があります。ゲームをし過ぎることに関してやや批判的な描写はあっても、ルールさえ守れば遊べるし、最新のゲーム機やゲームソフトなどは親が購入している描写やゲームを兄弟で楽しんでるなど肯定的な描写も多いです。そもそもキャラデザインの段階で『ドラゴンクエスト』の影響を強く感じさせますし、漫画自体影響をドラクエの公式パロディから影響を受けていることを感じさせるので、ゲーム自体に対しては決して批判的ではありません。このあたりのバランス調整がすごいと思います。
作品全体として、これなら私たちもできるかもしれないと感じさせつつ、実はかなり理想的ですごいことをしていると言うのが『えむじんがあらわれた』が人気である最大の理由だと思います。
例えば、「子どもたちがスポーツ万能で芸術に精通しており、趣味は西洋絵画と日本舞踊、両親は実業家、食卓はオーガニック食材オンリーでおしゃれなブランド服を着こなしています。週末は家族で社会派ドキュメンタリー映画を見て家族で討論しました」というのも理想かもしれませんが、そういう内容の漫画だと大多数には響かない。自分の生活とかけ離れたものを理想として提示されると自分に自信がない人は自分を否定されたと不快感を抱かれてしまう。
この漫画ではあくまで自分たちの価値観を肯定しつつも、理想的である。各方面への配慮もしっかりとして現代的な価値観であるが、取ってつけたような描写はなく自然に価値観として入っている。
すごいブログだなと思います。
「えむふじんがあらわれた」のリアリティ。
このブログでは通常の4コマ漫画の他に、あとがきのようなキャプションやおまけイラストがあります。
主な内容は「子どもたちが体験した内容をふじんらが聞いて4コマにしようと思う」というものとそれを聞いたふじんたちの反応です。
ブログと言う形である以上、主人公はブログを書いているえむふじんとえむしの2人です。しかし毎回二人の視点のみにするのではなく、子どもたちから聞いた話を子どもたちの目線で漫画化しています。
しかしそれを漫画にすると「子どもたちが体験した面白い話のオチ」自体が漫画のオチになるので、ブログっぽさが良くも悪くもなくなります。「子どもたちの体験をなぜ親が漫画に出来るのだ?」と言う違和感が生まれます。
かといって毎回「親が子どもの話を聞いて、へーそうなんだ」と聞くような漫画にしても、オチがワンパターンになります。もしくは「自分の言いたいことを子どもたちに言わせているような印象」を露骨に持たれてしまいます。Twitterでたまにある「娘が言ってた」、「マックで女子高生が言ってた」などです。
本作では4コマ後のおまけイラストや、キャプションで上手く調整されており、それにより夫婦が子どもたちに内緒で書いているブログと言う世界観が守られています。そのおまけも面白くてすごいなと思います。
オチの後にフォローが出来るため、多様なオチや思いっきり投げた呆然とさせるオチもあり、読んでいて飽きさせないように出来ています。
それが出来るのもの4コマ後のおまけ白コマが二回目のオチとして
(ちなみ当初はブログを書いていることを子どもたちは知りませんでしたが、書籍版一冊目が制作されるタイミングで長男えむおが、二冊目が制作されるタイミングで長女えむこがブログのことを知りました。次女えむみはブログのことも漫画の事も知らないと言うことになっていますが、「もしかしたら気づいているかもしれない」と解釈できる描写もあります)。
「えむふじんがあわられた」の魅力
この漫画に登場する子どもたちは、漫画のキャラとしては親が言ったことをかなり忠実に守る子どもたちです。
大人が決めたルールを従順に守りながら、その抜け道を見つけて面白いことをする。
例えば、階段で走り回るなと言われれば「安全地帯というルール」を作って遊びます。
休校中も学校と同じように過ごせと言われれば「通学の時間運動ゲームをして思いっきり走る」。
などです。
私はこれこそが『えむふじんがあらわれた』の魅力だと思っています。
「子どもの頃、親や教師から理不尽なルールで縛られて、嫌な思いをしたことがある。しかし自分が子どもと接する時に、子どもを縛らないといけない時がある。そしてそれはかつて自分が理不尽だと感じていたことも多い」生きている上でこういう矛盾に直面するときはあります。
『えむふじんがあらわれた』を読んでいるとその時感じる、矛盾や罪悪感を晴らしてくれます。
エムモト家の両親は子どもたちをかなりの数のルールで縛っています。しかし子どもたちはそのルールを守りながらも、自分たちの自由も求め、楽しいことをたくさんする。
そういう姿を見ていると、「理不尽なルールで縛られた」または「理不尽なルールで子どもを縛っている」と言う罪悪感が少し解消されるのです。
実際には、漫画でのえむもと家の子どもたちが輝いているのは、エムモト家の両親の努力と教育方針が上手くっているから、さらに環境にも友人にも恵まれているからです。しかしそれでも読んでいて、心のどこか一部分が救われた気持ちになるのです。
子どもたちは漫画でのえむもと家の子どもたちのように意欲的で活発でタフだ。だから私たちが子どもたちに多少申し訳ないことをしても、子どもたちはそれをはねのけ、元気に未来を作り、切り開くことが出来るんだ。読んでいてそんな希望を感じることが出来ます。
それが『えむふじんがあらわれた』の魅力であり、たくさんの人に支持される理由だと思います。
最後に私が厳選した『えむふじんがあらわれた』おすすめ名エピソードリストを作りました。
子どもたち主役話がそれぞれ10話ずつ、両親主役話がそれぞれ3話ずつの合計36話に馴れ初め二種類のリンクも貼りました。
順番にもこだわりましたので、ぜひ最初から最後まで順番にすべて読んで頂きたいです。
読みやすさを優先して別に記事に書いています。リンクからアクセスしてください。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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