ゲーム実況と言う芸術。メタバースで行われるダンス。10年前好きだったゲーム実況者のことを今も好きだと言う話。


 小学校6年からYouTubeを見始めました。当時見ていたのはサンヘルプさんこと現名義サンさんと死神さんこと現名義しにがみさんです。
 当時のYouTubeで彼らは絶大な人気を誇りました。「後世」に与えた影響も絶大だと思います。
 代理店主体の「作られたYouTubeブームの流れ」に入っていないので、リアルタイムで見ていない人にとっては当時の凄さがわからないかもしれません。
しかし私と同じ時にYouTubeでゲーム実況を見ていたにとっては言うまでもないことですし、視聴していた思い出は今でも大切な宝物だと思います。
 
私は22歳になり、小学6年生から10年が経ちました。一時期ネットを嫌悪していましたが、この2年間ネットと仲直りし、YouTubeやゲーム実況をもう一度見始めました。そうするととても面白かったです。
ゲーム実況は「読み解くもの」です。なぜこのプレイをしたか、なぜこの言葉選びをしたか、そしてそもそもなぜこの時期に、このゲームをプレイしたか。実況者側の意図や思想などを読み解きながら映像を見る。答え合わせのない推理小説のようなものです。その中で日ごとの自分の言動を思い直す瞑想のようなものでもあり、何よりも芸術です。

動画投稿は作品作りの一つです。実況動画は動画サイトに投稿された時に作品となり作者の手を離れます。それに対して視聴者が反応し、投稿者も反応し返す。しかし投稿者も投稿した時点で一視聴者に過ぎない。芸術の世界では作者による解説すら、作者による批評であり、他の観客の意見の一つになります。
実況者は自分の感じていることを動画で表現する。何を表現したいのか、ある程度わかっていて、ある程度わかっていない。そのどちらの面も含めて視聴者が解釈して、作品になる。
 実況は映画と違いすべてが自由というわけではありません。俳句のように制限がある世界です。その中でこの時期に、このゲームをどういう風に、どういう時期でプレイ方法で、どういう言い回し、言葉を使うで自己表現を行います。例えるならメタバースで行われるダンスなのです。

 コメントが画面に流れるニコニコ動画との相性の良さもありゲーム実況はニコニコ動画で、花開きました。その後YouTubeにニコニコ動画にアップされたものが転載された形で持ち込まれ、ニコニコ動画でのコメント付きのものやコメントなしのものどちらも人気になりました。
 そんな中で時期に「サンヘルプ」、「死神」と言ったYouTubeに動画を投稿する実況者が登場しました。同時期に他にも投稿していた人がいたでしょうか、その中で断トツに人気だったのはやはりこのお二方だった。そのことは決して無視できないです。この二人には何かがあった。
 ゲーム実況研究者にお願いしたいことがあるとすれば、サンヘルプさんと死神さんの研究により力を入れて欲しいです。
 ゲーム実況研究はどうしても「ニコニコ以前」、「ニコニコ」と『代理店が作ったYouTubeブーム』が中心となって研究されています。それは各時代で一番勢いがあった場所が研究されたからです。
 そのため「一番勢いがある場所がニコニコとYouTubeが入れ替わる直前のYouTube」で最も人気だった二人は無視されがちでした。当然「本人の実力ではなく、システム上有利になっていた。運が良かったから」と言う見方もできますが、それも含めて研究する意義があると思います。
 もちろんこれは研究者へのお願いであって、それ以外の人は普通に見たいものを見れば良いと思います。


さてゲーム実況は芸術だと言いましたが、その後「テレビの世界で食っていけなくなってきた人」がYouTubeなので活動を始めたせいで、テレビ的なもの、しかもテレビ界で上手く言ってない人が作るテレビ的なものが輸入されました。
その後「YouTubeの仕組み」を利用したこうすると伸びる方法と言うものが出てきました。それにより現在ではその方法を使えば面白くなくても人気になり、その方法を使わなくては面白くても見てすらもらえないという奇妙な状態となっています。
そのため見ていると違和感がある動画が多く出てきました。しかしそれも含めて心の表現であり、芸術なのかもしれません。

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