小説を書きました
「私達、死んだら絶対地獄に堕ちるね」
信子はクリームソーダのアイスクリームを器用に匙で溶かしながらいう。
「そんな事より、アイスクリーム漏れてるよ」僕が言うと机に溢れた緑の液体を信子は雑に手でのばした。
「相変わらずだわ恭介君は、それより貴重な財産を早速クリームソーダに使っちゃたわね」信子はメロン風味ソーダをかき混ぜながら笑う。
「まぁ、どうにかなるよ」僕は多彩な光を放つ窓を眺めながら言う。信子は僕の顔を見るなりソーダを音を立て意地らしく飲み干した。8月14日 僕等は家出をしたのだ。
店から出たが、まだ昼時。ランチタイムの人々が道を行き交う。僕は信子を横目で見た、長い黒髪は中学生ながら大人びている。そして彼女なりの勝負服のワンピースはソーダで小さなシミが出来、ピンクチェックに緑の水玉が無数。口元には先ほどのクリームソーダのアイスが付いたまま。
「ねえ恭介君、次はどうするの?」
デートに来た様に訊ねる信子に僕は
「とにかく電車に乗ろう」と言った。
「お金は大丈夫なの?650円さっき使ったけど」信子は僕の顔を覗き込む、僕の全財産は1350円。
「大丈夫足りるさ、万が一があれば歩けばいい東京なんて少し行けば田舎さ」多少渋る信子と僕は急ぐ様に駅へと向かった。
「恭介君私泊まるのに良いところを知ってるわ」信子は電車の端で小声で言う。信子はポケットから得意そうに携帯電話を出す。「見てこれ。インターネットで家出するって書いたらこんなにも返信が!このパンダのアイコンの人、都内に住んでて泊めてくれるって!」例のアイコンをうれしげに指差す信子に
「パンダじゃなくて虎がいるよ。パンダはけして信子をタダでは泊めてくれないよ」僕が言うと
「嫌なパンダもいるわけね。大丈夫、私の初めては恭介君にあげるから」信子は赤いマニキュアを塗った手で僕の手を柔らかく握る。
「ネットは危ないよ。パンダやウサギは絶対に虎だからね。」僕がいい終わると信子は耳元で息に言葉を流す様に
「恭介君、私約束覚えてるからね」
その時、声を遮るかの様に駅員のアナウンスが流れる。窓の外に錆びた駅の看板が見える。僕のリュックの紐を頼りにした信子の重みが背中越しに感じられた。
続くかもしれない小説?です。まだ未熟ですがよろしくお願いします。
#小説 #家出 #クリームソーダ #電車