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俺がこうなるまで「球技部編」

俺の名前はYR。
オトラボでバリューを上げようと頑張る、盲目の男だ。

前回のあらすじ

俺は高校生になりまた成長したが、クラブには入っていなかった。
だが、高3になり先生とお母さんの誘いを受け、「球技部」に入ることにしたのであった。
 
俺が入ってからの球技部は、高2とか高1とか俺の後輩も入ってきて、さらには中学部から人が入ってきて、破竹の勢いで、勢力を拡大して行った。

そして、球技部というのは 夏休みにも練習がある。
「まあ ほかの スポーツ系のクラブも 同じだと思うが」
俺は最初フロアバレーの近畿大会が、終わったら球技部をやめようと思っていたが、結局俺は近畿大会が、終わっても球技部をやめなかった。
全国大会が終わるまで、伸ばそうと思ったのだ。

夏休みにはほかの学校の人たちと一緒に合同練習なんてのもある。
俺の学校は大阪北というのだが、大阪には二つの盲学校がある。
もう一つが、大阪南だ。
大阪南とは近畿大会で、戦ったが、はっきり言う。
奴らは強い
近畿大会でも 優勝した猛者である。
俺たち北は 準優勝だった。

その南と合同練習をした時のことだ。
俺はこう思っていた。
( まあ、大会では強かったが、果たして、合同練習で、その強さが、出せるか お手並み拝見といこう。 )
そして、相手のサーブのターンになった。
「Eに行きます。」
そう相手が言った 次の瞬間・・・・・・
 
ドッゴーン!!
 
とてつもない爆音とすさまじい風が、俺の横を通り過ぎて行った。

今のは敵が、ボールを打った音というのはわかる。
だが、その音と風は俺に恐怖を与えるには十分すぎる威力だった。

俺は こう思った。
( なんだ?あの音と あの風は?
こっちにもすごい音出して、ボール打つ奴いるけど、あれよりも上じゃねーのか? どうする?よし 何個か案を考えよう。
1 あれを交わす?
いや 無理だ。速さもあったからなー。
買わすのは ムズイだろう。

2 んじゃー 腹くくって、受け止めるか?
いやいや、それこそダメージがひどくなるだろ。腕が死ぬぞ。
ってかなんで俺の仲間は、あのボール受け止めようと思ってんだよ。
すげー痛てーぞあれ。
多分あのボール受け止めたら帰ってからも痛いだろうし、筋肉痛にもなるんだろうなー。

俺はあいつらとは違う。
こんなところでリスクなんて取れねー。

でもどうする?どうやって俺のダメージをなくす?
そうだ。
3 味方の後ろに隠れりゃいいんだ。)

ここで、

フロアバレーのルールを説明しよう。

フロアバレーには普通のバレーボールと同じように前衛がある。
そして人数も普通のバレーボールと同じで、前衛3人・後衛3人である。
違うのは前衛は「アイシェード」と言うアイマスクのでかいバージョンのような物をつけて戦う。
目を守るためである。

そして、そのサポートをするのが後衛である。
後衛はアイシェードは付けない。

前衛に指示が、出せなくなるからである。
そして、前衛同士は距離が近い。
お互いの腕と腕が、お互いに触れる距離である。
そしてその状態で、相手のボールを受け止めて、打ち返すのである。
ついでにフロアバレーは空中ではなく、地面をボールが転がる。
そして、仲間の後ろに隠れるという話だが
さっきも言ったとうり前衛同士は腕と腕が、触れるぐらいに距離が近い。
当然体も障れる。

前衛はしゃがんでいる。

そうしないと地面を転がるボールが取れないからである。
全員がしゃがんでいるから俺が立って、隣にいるやつの後ろに回り込んでから、しゃがむ。
そうすればボールは前にいるやつが、受け止める。
受け止められず当たるとしても俺の前にいるやつだけが、ボールに当たる。
後ろに隠れている俺には、当たることはない。

「そうすりゃ 誰も俺に手を出せねー。

敵チーム安全圏に入った俺をネットの向こうから見てりゃいい。」
そして、もう一度言う。
俺は安全圏をゲットしたのだ。
「安全圏 ゲットだぜ!!」

だがしかし厄介なことに後ろに隠れることが、できないときがある。
普通のバレーでもあるらしいが、フロアバレーでもローテーションがある。
しかしバレーは前衛と後衛が、入れ替わるらしいが、フロアバレーでは前衛の場所が入れ替わる。

フロアバレーは前衛が、横並びになるのだが、その場所が入れ替わるということだ。
そして俺が、右端。左端にいるときは 仲間の後ろに隠れれるが、俺が真ん中にいるときは仲間の後ろに隠れない。
俺が真ん中にいる。つまり両側に仲間がいるときは、仲間の後ろに隠れるのは無理である。
その時に強いボールが来たら俺にも当たる。

そんなのは嫌だ!!
絶対にごめんだ。

なら どうするか。

あきらめて、ボールを受け止めるしかないのか?
しかし心配無用。

俺には秘策がある。

(別に誰も心配してないだろうが)
前衛同士はお互いの腕をクロスさせて、ボールを守るのだが、その時に自分の腕を仲間の腕の下に入れればいい。
そうすればボールを受けるのは上にある腕。
つまり俺の仲間の腕である。
俺がダメージを受けることはない。
一つでもダメージを少なくする。
それが大事なのである。

そして話を戻す 南との合同練習で、俺が恐怖を感じて、仲間の後ろに隠れる作戦を思いついた時は後ろに隠れる状況だった。
俺は躊躇することなく作戦を実行。
俺にボールが当たることはなかった。
そして、ここまでの話を聞いて、俺に対して、こう思う人もいるだろう。

「逃げるなーー!! 卑怯者ーー!!」
「貴様ーー!! 逃げるなーー!! 責任から逃げるなーー!!」

確かにもっともではある。だが、みんなも思い出してみてほしい。
みんなも何かが、飛んできた時木の陰とかに隠れたことがあったはずだ。
なぜ隠れたのか?それは単純。
怖かったからではないだろうか?
俺がやっているのはそれと同じなのだ。
木の後ろか人の後ろかというだけの違いである。

そして、全国大会の結果は準優勝だった。
優勝はまたも大阪南だった。
だが、銀メダルをもらえたので、よしとしよう。
この銀メダルは 誰のものでもない。
しいて言うなら チームのものである。

そして、全国大会が終わったら球技部をやめると言っていた俺だったが、結局そのまま球技部を続けたのである。
そうなってくると俺にも心境の変化があった。

大阪北と大阪南にはめっちゃ強いボールを打つ人が、一人ずつ居る。
一人は大阪北、つまり俺たちのチームにいる後衛をやっている 金髪の男。
もう一人は 大阪南にいる前衛をやっている盲目の背がでかく、体も大きい男だ。

はっきり言おう。
ゴールドヘアー&ビッグトール。
奴らは怪物である。

そいつらが、強く早いボールを打つのである。
逆にそいつら以外のボールはそいつらよりはましである。
つまりゴールドヘアー&ビッグトール意外のボールは 受け止められる。
こう考えてからこう考えてから、俺は安全地帯に行くことは少なくなったのである。
 
次回に続く。