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第29話【ねぇ 謝りたいよ】亡き父へのラブレター


【ねぇ 謝りたいよ】

《一度だけ

叱られた日の

 事をパパ

あの日に戻り

 ねぇ謝りたいよ》


小学校2年くらいだったと思います

理由は何でしょう

忘れてしまいました 


けれど多分、嘘を付かない。


もしくは、人を傷付けないそ

のどちらかを破ったのだと思います


冬の寒い日

台所ではママがおでんを作っていました

パパが怒って 


『今日は 夕飯は抜きだ』


って言いました

 悲しくて台所に行ってママの側に立ち、

ヒックヒックとしゃくりあげていました。


みんなのおでんをお皿によそい終えたママが

 、台所のテーブルの上に

 一つのおでんのお皿を置いて

パパに聞こえないように 


『食べてしまいなさい』


と 言って、リビングの方へ 行きました

 その当時住んでいた家は 

、台所と部屋が壁で仕切られていたので

リビングからは

見えません


私は泣きながらおでんを食べました

きっとパパも 

食べている事は気付いていた事でしょう 


けれど、食べ終わって

恐る恐るリビングに戻ると


何も言わずに

私の頭の上に 

大きな温かい手をポンとのせて 


2.3回ポンポンとしてくれたのです


 止まっていた涙が再び溢れて止まらなくなりました


 ママも、その当時まだ 5歳ぐらいだった弟も


何も言わずに

私が泣き止むまで待っていてくれました


その日以来、

おでんがどうしても食べれなくなってしまいました。


きっと食べると

美味しいのは分かっているのだけれど… 


コンビニでおでんを見れば美味しそうだと思うし

、CMや、ドラマなどで、


美味しそうに

おでんを食べている芸能人の方を見れば

食べてみたいと思うけれど…


どうしても

食べれない物の一つになってしまいました


その日の事を

私は父に謝らないままなのです

再び天国で再会してから

謝ろうと思っているけれど…


でも出来る事なら

今すぐパパに逢って


『ごめんなさい』


と伝えたいのです

 そして

パパに内緒で


おでんを出してくれた


ママにも

本当に感謝しています 


ママありがとう

そして

パパごめんなさい

 

亡き父へのラブレターestar.jp


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