第6話 2人のアイドル

「「あの…!」」
カルデア内を探し回った挙句、やっと廊下ですれ違ったマシュとエリザベートは、同時に叫んだ。
「あ、えっと、エリザベートさん…何でしょう?」
「マシュの方こそ、何かしら…」
お互い気まずいのか、沈黙が続く。意を決して、マシュが口を開いた。
「私…間違っていました。アイドルを目指す理由…ずっと、カルデアの皆さんのためだと思っていたんです。でも、気付いたんです。これは、私のためなんだと。私、アイドルを目指すのが楽しいです。エリザベートさんと、一緒にアイドルになりたいです!」
「アタシこそ!アタシの方こそわかってなかったの!誰かのためにアイドルを目指すなんておかしいって思ってた。自分さえ楽しければそれでいいって。でも違ったの!誰かのために歌うことが!アタシにとっても最高に楽しいことだったの!だから…」
エリザベートはそっとマシュに手を出して言った。
「アタシと一緒に…もう一度アイドルを目指してくれないかしら…?」
その手をそっと両手で包んで、マシュは微笑み言った。
「私の方こそ、お願いです。一緒にアイドルを目指してください、エリザベートさん。」
その言葉に、エリザベートはニッコリと笑った。
「エリザベートさん、なんて堅苦しい呼び方はやめて?エリちゃん、でいいわ!」
「エリザベ…エ、エリちゃん。」
「うふふ!改めて、ヨロシクね、マシュ!」

〜〜〜〜〜〜

管制室のドアを開ける。マシュとエリザベートは、緊張した面持ちでダ・ヴィンチのもとを訪れた。
「…久しぶり。2人とも、よく来たね。あぁ、そんな顔をしなくても大丈夫だよ。全部わかっているとも。」
ダ・ヴィンチはそう言って、改めて2人を見る。
「マシュ、エリザベート。君たちは、何を目指して努力するんだい?」
その問いに、マシュとエリザベートは互いを見つめ、頷き、同時に答えた。
「「全力で楽しんで、全力で楽しませる、そんな、アイドルです!!」」

「…よろしい!では、練習を再開しようか!ますます厳しくいくから覚悟してね!」
「「はい!!」」

こうして2人は、再びアイドルを目指しはじめた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?