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サルガタナスの独白

あんたは、最もメギドらしいメギドなんだと思ってた。あんたが興味を持つのはメギドラル……特にその海のことだけだった。メギドラルの海の美しさを取り戻すことだけが、あんたにとって大事なことで、その大義のためならば個としての命なんて何とも思っていなかった。私はそんなあんたに憧れてた。自分の中の甘さを捨てたかった。あんたと対等になりたかった。だから、私はあんたと約束を交わした。メギドラルの海を取り戻すために、必ずハルマゲドンを起こすと。メギドラルに貢献して、何らかの形で生きた痕跡を残すことこそが、メギドとして最も有意義で名誉なことなのだから。

……それなのに。
「…実験に失敗して私をロストしても、あんたにとってまるで惜しくないからよ。」
「先に裏切ったのは、あんたのほうよっ!」
あんたは、個としての命は大義の前では些末なことだと思っていたはずなのに。実験動物のことを、あんなに見て、名を呼んで、大切に扱えだなんて。こんなのは、私の憧れていたウェパルじゃない。あんたは、最低のメギドだ。もう、あの下等生物と同じようになってしまったんだ。
いや、私はずっと勘違いをしていたのかもしれない。あんたは最初から……あんたが私のことを見ていなかったのは……ずっとずっと名前すら呼ばなかったのは……!
「ウェパルゥゥゥゥゥゥ!!!!!」
あんたにとって、私は何でもない存在だったんだ。大義も何も関係無くて、ただ、私に興味が無かっただけなんだ。私が憧れた、最もメギドらしいメギドなんて、最初から存在しなかったのかもしれない……
「…殺すよりひどい目にあわせてやるわ、ウェパル!」
あんたはもう、罪人だ。故郷を裏切り、約束を破り、大義よりも個を……自分の一時の感情を重視した。罪を贖うその日まで、絶対に、絶対に私はあんたを許さない……!

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