サルガタナスとサイゼリヤ

「お一人様ですか?」
「……そうよ。」
1名様って言いなさいよ、と思いながら、サルガタナスは案内された席に着き、即座にミラノ風ドリアを注文した。これがこの店で最もコスパの良い品だからだ。


ドリアを待っていると、ソロモン一行がゾロゾロと店に入ってきた。そう、もちろんウェパルも。
だが、向こうはこちらに気付いていないようだ。こうるさいガキの追放メギドたちが、ステーキやらキノコパスタやらを注文する声が聞こえる。
(あぁまったく、騒がしいったらないわ。そもそも今の時期のサイゼリヤにキノコパスタは無いわよ!そのくらい調べておきなさいよ!)


そんな中、ジッとメニューを見つめているウェパルの姿があった。
(ウェパルは何を注文するのかしら……)
気になって耳をすませていると、意外にも冷たいかぼちゃのスープを注文した。
(なっ、値段の割に量の少ないスープだなんて……)


ウェパルもあの馬鹿な追放メギドたちと過ごすうちに感化でもされてしまったのだろうか、などと考えていると、注文したドリアが届いた。黙々と食べ始める。
(ええ、やはり安定のクオリティだわ。この店でこれを頼まないなんて、ニワカにもほどがあるんじゃないかしら?)


すると、ウェパルの元にもスープが届いたようだった。ウェパルがスプーンを手に取り、そっと一口飲む。
「冷たくて、少し甘くて、美味しいわね。」
ウェパルが言う。衝撃だった。ウェパル猫舌だもんねー、一口ちょうだいちょうだーい、などと言う鳥頭の声がする。今初めてウェパルは猫舌だったことを知った。こんなの、私の知ってるウェパルじゃない。効率よりもその場の感情を優先し、明らかにコスパの悪い品を頼むなんて……なんて……!


「……かぼちゃのスープ、追加で。」
店員を呼びつけると、あからさまに不機嫌な様子でサルガタナスは追加注文した。

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