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街の知らない人に話しかける

散歩中に綺麗に整備された住宅街の中の川の真ん中で髪の毛を洗っている男性がいた。恐怖で話しかけられなかったが後から後悔した。何度か行ったがもういなかった。黒の毛糸の猫耳になっている帽子を被った男性がいてすごく気になったが話しかけられなかった。バス停の横の雑草を熱心に抜いているおばさんがいた。やっぱり無理だった。

通話アプリで知らない人に話しかけてみたいという話をしてみた。道を聞いたこととナンパなら飲み会後に友達とやる流れになってやったことはあるらしいが、話しかけるだけはしたことがない人だった。ナンパなら高身長なので仮面をつければいけると言っていた。顔はいまいちなのでと言われ困ったが、顔が分からないのでそんなことないとも言えず難しかった。はじめになんと声をかけるかと言われて「すみません。ちょっといいですか?」ではもうちょっと欲しいらしく「ちょっと聞きたいことがあるんですけど。」は気になるから良いらしい。質問リストを作った方がいいとか話しかけたいという熱量を伝えた方がいいと言われて、「ずっと知らない人に話しかけたいと思ってたんです。」が良いと褒めてくれた。その人も話しかけるかは分からないけど何かはじめてみようと思ったらしく嬉しかった。

就労支援の同じ利用者の30代の男性とバス停まで話して帰ったのがとても楽しくて、もう一度人と話したいとすごく思い、どう人に話しかけるか考えながら散歩した。前を歩いているカーキの半袖でキャップを被った男性はどこに向かっているのかすごく気になるが話しかけられず、ダイソーに入っていってしまい、聞くことがなくなってしまった。何個か商品を見ていたので長くなりそうと思い、店を出て付近を歩いて帰ってきたらいなかった。しまった〜。くら寿司の駐車場で座ってスマホを見ているアジア系女性がいて、誰か待っているんですか?と聞きたくなるが3回目に見た時もう1人の頭にスカーフを巻いた女性と知らない言語で話していたので、話しかけなくて良かったと思った。すぐ近くの違う通りにスーツ姿の女性がしきりにある場所を確認して人を待っているような動きが気になり、話しかけた!話しかけるまでに3往復してやっと、「すみません。誰か待ってるんですか?」と言えた。「あそこの建物から人が出てくるのを待ってて。」とすんなり答えてくれた。小さな古い自動車の工場に彼女と同じ会社の違う部署の人が用があって来ている。その人というのが気持ち悪いおじさんで話したくないから少し離れた場所で早く出て行かないかちらちら見ながら待っているらしかった。スーツにスカートにパンストで資料を手に持っていてできる女性感が漂っていた。「中で待っていたらいいんじゃないですか?」と聞くと、「気持ち悪いおじさんに会ってしまうと話さないといけなくなるのも嫌で。」と言っていて、ちゃんと人間だと安心した。マスクもしていなかったのでちゃんと人間の顔で、見知らぬ人と話してるんだーと実感した。「ずっと町の知らない人に話しかけてみたかったんです。」と言った。これも通話アプリの人にそれも言った方がいい、熱意が伝わると言われたから言おうと決めていた。「1番初めは犬を連れてる人にかわいいですねと言ってみたら、おばさんは、ははっ…って笑っただけやったんで、ダメか…って落ち込んでたんです。でも声かけられました!」と言ったらしっかり聞いてくれて、「なかなか話しかける機会ないですもんね。」と言ってくれた。自分の動き不審な動きしてましたよね。話の流れで私が声をかけたのは彼女の動きを見てというと、それは声かけられて当然やみたいなことを言っていて、この人の中では不審な動きをしていたら話しかけても受け入れてくれるんだと思った。やっぱりいきなり声をかけられて不快な人もいるかもと思ったので心強かった。よく知っている場所での初めての体験にうれしくて、そこを歩いている通行人全員に、私と横にいる人初対面やけど、笑い合ってます!と言いたくなった。楽しい。蚊が…と足をしきりに気にしていたり、「早くどっか行ってくれ。」と笑っていたりした。一度満足して別れたけどまだ彼女がいたので話したいから「暇なんで話してもらえません?」と近づいていったら、受け入れてくれてありがたかった。どこの人ですか?とか何してたんですか?とか質問してくれた。途中で「あれ、〇〇さんや、そうや。」と向かいのマンションにいた同僚の男性が自転車で出かける時に遭遇し、男性は頭を何度か下げていた。あそこに住んでる人らしい。あとガレージに移動してそこの塀に隠れていたのも面白かった。おじさんが乗ってきた車に乗り込んだところを見て、「乗りました!」と報告して、「よしよし!」と言っていた。でも2台が並んでおじさん同士が運転席から話していてびっくりして報告したら、違う部署の人が2人来ているからと言っていた。やっといなくなったら「よし!」と言って向かっていった。「お仕事頑張ってください。」と言った。楽しかった。久しぶりに達成感を味わった。いい人で良かったとしみじみ思った。

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