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ダゼおじさんとのドライブデート(前編)

もうすぐバレンタインデーを迎える。

2018年2月12日のデートを思い出してみる。

例の如く、東カレデートでローリングデートをこなす忙しい2月。当時32歳の私は45歳のバツイチ子なし広告代理店の方とマッチングした。

プロフィールの顔はスマホで鏡越しに撮っているからあまり見えず、やや小柄だけど筋肉質なイメージ。PCからメッセージを打つタイプらしく、非常に返信が早い。と言うか、異様なメッセージ量に悩まされる。会話に時差があるので(彼が私の返信を待たずに新しい話題を振るのでカオスになっている)LINEにしませんか?とのあちらのご提案でLINEに移行して大量のメッセージ。数分離席した間、ピロピロ鳴り続けてるなーと思ったら、未読メッセージ36件。精肉店で買った肉を包丁でミンチにしてハンバーグを作った、と言った工程込みの写真が大量に送られて来た。かと思えば趣味の登山の様子の写真が大量に送られて来た。

ちょっとかまちょな所は目をつぶれたのだが、私はこれだけは気になると言う点が一つ。

語尾に必ず「だぜ」が付く。

(昔のバラエティ「学校へ行こう」見ていた方はピンと来るだろうか…。)

「昨日も肉屋で肉買って一からハンバーグ作ったぜ。」

「青山にマンション買ったぜ。」

「同棲しようぜ。笑」

「ドライブデートしようぜ。」

と言った会話を交わしながら、日曜日の午前11時に表参道で待ち合わせて湘南へドライブデートをする事になった。

当日自宅で支度をしている最中に「あ、ダゼさんのLINEのIDに0214って付いてたから明後日お誕生日なのかな?バレンタインだし、小さなチョコでも銀座で買って行こうかな。」と思った。

急遽銀座に寄る事に決めたので、5分程遅刻をしてしまいそうだ。

「乗り換えが上手く行かなくて、5分程遅れてしまいそうです。申し訳ありません。」

と連絡した所、

「あの時間に○○(私の最寄駅)で電車に乗ったって事は、遅れる訳なくない?」

と…。かなり勘の鋭いお方の様で。

「最寄り駅2つあるので今日は△△駅から乗って、今千代田線なんです〜。」

と、かわし何とか詮索を回避。

「千代田線なら今調べたけど1号車に乗れば待ち合わせの改札に近いから、移動した方が良いよ。」

と返事あり。とてもとても面倒臭い予感しかしないまま、表参道に到着してしまった。

待ち合わせのAppleストア前に向かうと、そこには「わ」ナンバーの白のプリウス一台のみ駐車していた。

その車はTimesのカーシェアリングのレンタカーだった。

私は混乱していた。

「俺ドライブが好きで、車高が低い外車をアクセルベタ踏みで高速走るのが趣味だぜ。」

と言っていたが、彼は車を持っていなかったのだ。

確かに、車を持っているなんて会話は無かったし、車の有無で彼の評価が変わる訳では勿論ない。

だがしかし、いかにも外車を所有して毎日乗っているかの様な発言からのカーシェアリングのプリウスはギャップが有り過ぎる気もする。

虚栄心が強めなのかな?との第一印象。

気を取り直して、人違いだと失礼なのでバックミラー越しに目配せをしてみる。


別人のおじさんがそこには座っていた。


写真より10キロ位ふくよかで、写真より5歳位歳を重ねた、写真よりやや毛量も減った、そんなおじさんが禁煙車で電子タバコを吸いながら私に手を挙げていた。

「おとうふちゃん、写真より全然可愛いね〜。」

「あ、ありがとうございます。ダゼさんはお顔があまり映ってなかったので直接お会い出来て嬉しいです。(ダゼさんのお写真は何年前でしょうか。)」

気を遣いながらの湘南への長いドライブデートが始まった。

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