烏に単は似合わない 感想

どうもはじめまして情報お届け屋です。今回「烏に単は似合わない」という漫画をオススメされ読んでみましたが、どうしても誰かと気持ちを共有したくなったためここに感想を書かせていただきます。



↓ネタバレ注意


この物語は簡単に言えば四家の貴族の姫が一人の男性(若宮)を巡って宮廷で競い合うというような感じでした。単純に若宮に恋い焦がれて入内したい者や政治として入内したい者、様々な思惑が巡る人間ドラマな部分がありました。そこで主なメインキャラとして視点として多く描かれているあせびをはじめ、浜木綿、真赭の薄、白珠の4名なのですが、個人的には一貫して浜木綿が好きでしたが真赭の薄も自分を磨くための努力を常に怠らず、自分のした行いに対しての反省も出来る、挙げ句自分よりも努力した人間に対して「この方なら許せる」と言った度量もあります。正直この漫画の主人公はこの人だと思っています。


そしてここからがこの漫画で一番衝撃を受けたところなのですが、恐らくこの漫画の主人公的立ち位置のあせびという女性です。

この子はとても可愛らしく世間知らずだけど若宮に恋い焦がれている純真無垢な女の子です。物語の終盤、若宮に問い詰められるまで自分も「多分この子が若宮と結ばれるんだろうなぁ」と思っていました。なので若宮の「二人きりで話したい」からの様々な質問で本質が分かってくるところでは鳥肌が立ちまくりました。そしてこの子の本質を分かった上で序盤のあせびのお父様の「友達を作るつもりで楽しんでおいで」というセリフが怖くて仕方ありませんでした。

あせびの本質


個人的に思ったのはこの子は天然なのか意図してやっているのか分かりませんが、自分がか弱く周りより可哀想な女の子ということを軸にそれに対して藤波や早桃をはじめどうにかして自分のために動いてくれる存在を利用してそれを当たり前と認識して生きている女の子なんじゃないかなと思いました。確かに序盤は「健気な女の子だなぁ」と思っていましたが、その本質を分かった上で読んでみるといくつか違和感が生まれるのも事実でした。それは彼女は嫌なことがあると落ち込んだり、泣いてしまうことがあるのですが「じゃあもっと頑張ろう!」という向上心を一度も見せず周りの誰かが常に解決へと動いていたのです。あせびは他の姫達と比べて醜い部分を一度も見せることはありませんでしたが、あせびのエピソードで泣きそうになったシーンもまた一度もありませんでした。つまりこの四人の中で最も人間味がなかったと思います。若宮はあせびを「悪意がなければ全てが許されるのだと知っている者」と表していましたが恐らくあせびは本能では分かっていても知らずに様々な悪行をしたのだと思います。何故なら問い詰められたときまるで他人事で偽善そのもののような言動をとっていたからです。いっそ白珠以上の執念があって底意地の悪い部分が出ていたほうが安心したくらいです。結論から言えば個人的にあせびは凄い怖かった。

そして白珠は逆に作中最も人間臭い人物なんじゃないかなと思いました。作中常にあせびや他の姫を蹴落とすような作戦を試みたり「自分が入内するためにはなんでもしてやる」と本人が周りに宣言するほどの執念がありました。(恐らくこの白珠というヒール役の存在のおかげで、より一層あせびの異常さに気付くことが出来ませんでした)しかし実際には若宮ではなく下男に恋い焦がれていて、それでも姫として若宮と結婚しなければならないと様々な葛藤をしながら生きていたことが後に明らかになります。そして自分のせいで下男が殺された(実際には生きています)と知った時の白珠は本当に可哀想で泣きそうになりました。

4巻でp127からp129の白珠が初めて自分の考えや意志を伝えた時の若宮のセリフがあるのですが、あれは本当に感動しました。

他にも色々語りたいところはあるのですが大まかに言葉にしたいことは伝えられたのでひとまずここまでにしようと思います。

長々と読んで下さりありがとうございましたm(_ _)m