ルシ子の性格考察

ルシ子ってオトカの中で一番深い性格したキャラだよね…って私は思う。あいも深いんだけどそれ以上に。あいなら影がキャラとして出ているけど、ルシ子には影の性格があるにも関わらず影キャラがいないからこれは考えさせられるな~って。


第一印象

オトカドールを初めてプレイした時にいきなり強そうな奴出てきてビビったことない?

ルシ子ってなんであんな強そうに見えるんだろうね?って考えた時にキャラデザだけじゃなくて性格も影響してるんだよね。


まず、「いっきなり登場~!」って地面の中から出てきて脅かしやがる。誰が地面から登場すると予測すんねんっ!

「あたしが試してあげる!」ってどんだけ上から目線なんっ!


初めてオトカをプレイした時に私はルシ子の事を「オトカの世界の先輩」、つまり自分よりもずっと過去に同じようにオトカの世界に迷いこんだドールだと思ってた。ドールにとってルシ子はオトカ世界のベテランであり、ルシ子のように強くなることを目指すゲームだと思ってた。まさかラスボス的キャラなんて私は想像できなかったよ。


ここでのイメージは「頼れるリーダー」。



黒い月の遊戯の歌詞を知って

「あっ…これはルシ子がドールを夢の世界に誘導する歌だな…」ってはじめは思った。

サビの部分はドールが「もう帰れない」と涙を流し、ルシ子が「遊ぼうよ」と誘うシーン。そう思っていた。(今でもそう思ってる人いるのかな?だけど私はこれは勘違いだと思う。それについては後程記述する。)


ルシ子は幻想的な世界の住人であり楽観的、大胆不敵のような…そんなイメージをここで抱いた。



アイディ登場

2015年9月にアイディがライバルキャラとして登場した。ファンブックを持っていた私は前からアイディの登場を知っていて「あっ…この子かわいい…早くバトルしたいな」程度にしか思ってなかった。ブランド名がキャラ名じゃなかったのは疑問に思ってたけど、ルシ子との関係性よりも当時の私は「アイディってどんなスペルだろう…?」と考えることに夢中になっていた。

ルシ子と何かしらの関係があるのを知ったのはオトカまんが。「この服はルシ子サマにモラッタノ」この台詞から、本来みんなオトカの世界に迷い込んだらルシ子とバトルして服をもらうはずなのにそれとは別の関係だと言うことをなぜか察することができた。

「へぇー、ルシ子っていろんな人に服あげてるんだね」って思った。アイディが嫌がるのにも関わらず強引にトマトのアクセサリーを付けようとしているシーンを見て「ルシ子はとにかくワル」って言った自分を思い出した。

あの時のルシ子のイメージは「とにかくイジワルな人」だった。



ホンキモードでルシ子の心の内が分かる

ホンキモード撃破ストーリーで誰もがギャップを感じたのではないか?私にとってオトカドールの中では一番印象に残っているシーンだ。

あの大胆不敵のルシ子が泣くなんて!


「えっ?お友達になってくれるの?」この台詞で全てを察した。

ルシ子はあの時まで孤独だったんだ。オトカの世界のみんなと楽しそうに笑って、陽気な雰囲気を出していたけど、心の底では誰も信用していなかったんだ。(その時の)ルシ子は友情というものを知らない。

「友達が欲しい」それがルシ子の望みだった。オトカの世界に入ってきた新人達をバトルに巻き込んで、相手の様子を伺う。バトルが終わったら服をプレゼントするのは「これあげるからまたアタシの所まで遊びに来てね」そういう意図が含まれているのではないか?(確か似たようなことがファンブックの漫画に書いてあった)ルシ子にとって服のプレゼントは「離れないで、見捨てないで」そういう意味合いなのかもしれない。

ルシ子は「自分が一番強いんだ」という妄想の中で生きていた。「自分がオトカの世界を支配しているんだ。自分には誰にも敵わない」そう思っていた矢先に、あの時自分が手加減して戦ったドールに負ける。悔しくて悔しくてたまらなかった。そして、自分の弱い所を見られたらバカにされると思っていた。ルシ子が今まで他のドール達にしてきた事と同じように。

でもマイドールキャラは違った。勝ったにも関わらずルシ子を軽蔑することなく、優しく手を差しのべた。その時初めて本当の友情とは何かを知った。きっとそれはルシ子の考えには無かった友情の形なのだろう。

ルシ子は今まで友達とは「構ってくれて、自分に従ってくれる人」と思っていた。そこには心の繋がりというものが全くなく。

本当の友情を知ったルシ子は大きく変わり出す。



親愛の魔王ルシ子となって

ルシ子はドール宛に匿名で招待状を送った。そしてドール達へ服を作ってプレゼントする。

「その服を着て来てね!待ってるよ!」……もうお察しだろうか?見当がつかない場合は1stドリームのルシ子を思い出してほしい。「これ着て来たらホンキで遊んであげる〜!」と言っていたのはアイディの服。アイディは「この服はルシ子サマにモラッタノ」と言っている。ホンキモードではキャラの本性が見られる。そしてルシ子がその本性を見せる条件とは……つまりルシ子にとって自分の作った服を着てもらうことが本当の自分を明かしても良い条件なんだ。


親愛のホンキモード撃破ストーリーでは1stドリームの時のように泣くことは無かった。笑っていた。それはルシ子にとってバトルは「勝つもの」という認識から「楽しむもの」という認識に変わっていたからだ。時が立って、ルシ子は更に強くなっているはずなのに親愛のルシ子の魔力は決して強くなかった。「なんでこんな弱いの?」と驚いたことだろう。それは少しでも長い時間バトルを"楽しみたい"からである。異常なほど高いHPもそのためだろう。

ルシ子はあの負けた日をきっかけに、バトルで本当に大切なのは何かを知ったのだ。



黒い月の遊戯を再び聞いて

CDを買って、フルバージョンを聞いた。それだけでなく、ムービーをしっかりと見たのだ。そこである事に気付いた。

サビの部分で泣いているのはドールではなくルシ子だ。

サビの部分でもう帰れないと涙を流しているのはルシ子だ。これはルシ子がドールを誘う歌ではなく何者かがルシ子を闇の世界へ引きずり込む歌なんだ。

オトカドールには多くの惑わしが存在する。例えば「邪悪な」という意味を持つ「スカーレット」コーデも服の色を赤くすることで本来の意味を紛らわせている。「黒い月が綺麗」という言葉も黒い月の絵を見せることで紛らわせているのではないか?と思った。「黒い」には「悪い」という意味が含まれ、「月が綺麗」には「あなたを愛している」という意味が含まれる。要するに、「黒い月が綺麗」とは文字通りではなく、「悪いあなたを愛している」という意味ではないか?


つまりサビの部分はこういう意味になる。

誰かが「私の存在が分かる?」と呼び掛ける。ルシ子はそれに気付き怯える。声が悪の道へと誘う。葛藤するルシ子に「悪いことは楽しいよ」と唆す。楽しさを求めるルシ子はそれに我慢できず堕ちていく。堕ちたルシ子を見て「悪いあなたを愛している」と言う。

つまり黒い月の遊戯はルシ子の堕天シーンを描いたものだ。


他の歌詞の意味についても考えてみよう。

「短い呼吸」と「踊る鼓動」……なんて遠回しな表現なんだ!これほどの遠回しさには驚いたよ。これは英語の直訳みたいな…?英語で「short breath(短い呼吸)」と言うのは「息切れ」を表している。また、「踊るわ 胸の鼓動」では「躍る」ではなく「踊る」と書かれている。つまり胸が躍る(わくわくする)訳ではなく鼓動がダンスする。「make my heart dance(私の胸を踊らせる)」には「心臓の鼓動を速くする」という意味がある。つまり「短い呼吸」と「踊る鼓動」は息切れがして頻脈の状態を指している!

どういうことなのかと言うと、恐らく後記の「二人で〜ゆきたい」と言う過去の約束とサビの誘惑が葛藤して神経質になっているということ。

その後の「あなたと〜いることも」の所は「あなた=影=ルシ子」と「私=光=誰か(恐らくミカ子)」がお互いにテレパシーか何かで心が通じ合ってるという妄想である。

後悔したルシ子は涙を流すが帰る術は無い。

そして2番へと入る。

「震える〜できない」はアイディを相手にしているのではないか?ここでは「孤独」という言葉が出てくる。ルシ子は堕天したことにより孤独になった。その寂しさを紛らわせるためにアイディを作り、ずっと二人で寄り添っていたのではないか?ルシ子にはアイディしか居なかった。アイディは自我の無いオートマタだから、ルシ子は「友達」に伴う一切の感情も思いやりも何も知らずに歪んだ友情像を思い浮かべて過ごしてきた。1stドリームのホンキモードの条件がアイディの服と言うことはそれをドールが着ることによってアイディを思い出させ、心を開けたのではないだろうか。アイディの服で手を差し延べたドールに対して、「アイディのような優しい人」と、他人に対して初めて思うことができたのではないだろうか。

「あなたと〜あの場所へ」ここの「あなた」と「私」を誰か定義するのは難しい。『千の木洩れ日』=光、『黒い月の遊戯』=影なので「あなた」=アイディ「私」=ルシ子だと考えていたが、ミカ子が登場してからは「あなた」=ルシ子「私」=ミカ子とも考えられる。そっちの方が一人称・二人称的にしっくりくるし。

「黒い月が見てる」ここの「黒い月」は文字通り黒い月の事だ。この黒い月にルシ子は自分を照らし合わせる。短い瞬間だけど影の自分(現在)と光の自分(過去)が重なり合う。その想像でフラッシュバックはより強くなる。


黒い月の遊戯はルシ子の過去が描かれた意味深な歌なんだよね。



ミカ子登場

ミカ子が登場したことにより、ルシ子の思わざる面が見えてくる。

今まで散々威張り散らかして…口が悪かったですね、訂正します、このオトカの世界を制裁してきたルシ子の態度が一変する。堂々としていたルシ子は怖がりになり、社交的な性格は隠者のようへと変わる。自ら積極的に色々してきたルシ子は、ミカ子がオトカの世界に入ってきて以来逃げ隠れするようになった。(アクトに入ってからライバルキャラとして登場するのは勿論、ルシ子からの手紙や案内もパタリと止まってしまった)


オトカドールはルシ子の精神世界ではないか?

そう感じた。ルシ子は堕天してから孤独を紛らわせるためにアイディをはじめとし、たくさんのライバルドールを作った──自らの心の中に。ルシ子が堕天する原因となったたくさんの"罪"達。その罪達をドール化して自らと別人格化させることによりルシ子の心はある意味純粋になっていった。

ドリーム最後のライバルドールであるフローレスに付いていた氷の羽が6枚であることを覚えているだろうか?ルシ子の元ネタになったルシファーの羽も6枚である。沢山の罪深きドール達を生み出して最後に残ったのは、コンプレックスと閉ざされた心だ。フローズンドールは過去の記憶を忘れさせ孤独な生活を送っていたという歌である。これは黒い月の遊戯の歌詞にどこか似ている。

フローレスは元々ルシ子だったのではないか?

ルシ子は自分の心の中にドールいう形の人格を作ることによって、その人格と向き合っていったのではないか?ドール達が元々ルシ子であればルシ子がオトカの世界であれほど支配的になる理由もよく分かる。

そしてあい(をはじめとするドール達)は何らかの理由でルシ子の精神世界に導かれた。ルシ子はあいのような自分に悩む人に自分の世界を体験してほしかったのだろう。沢山の自身の"罪"を他の人にも同一視して「私にもその気持ち分かるよ」って言ってほしかった。なぜなら孤独で共感者が誰もいなかったのだから。

ルシ子にとって唯一の心の拠り所はその精神世界だった。ずっとその世界にいた。

ミカ子はそれを見破り、オトカの世界というルシ子の精神世界に侵入してきた。ドリームという名の夢のような妄想は終わり、ルシ子はそこで現実に引き戻される。これがドリームがアクトに変わった訳だ。



つまりルシ子はどういう性格なのか

ルシ子は楽観主義者。楽しむことを求めており、自分が楽しむためなら悪の道にでも行ってしまう。衝動性が高く、自分をコントロールできない。

ルシ子は孤独。1stドリームのホンキモードで負けるまで、友達という存在を知らなかった。堕ちたショックで自身の精神世界に引きこもり、そこで自分が仲間に恵まれた支配者だという妄想を楽しんでいた。本当の友達も知らずに。それが歪んだ友情の形ということも知らずに。

ルシ子は外向性を望む内向。つまり精神世界の他人とは積極的に関わりそれが望みなのだが、現実の人(ミカ子やエス)に対しては関わりを避けようとして自身の内面を見つめることを好む。

ルシ子は非現実的な人。オトカの世界を作るほどの莫大な想像力を持っており、その世界で過ごすのが快適であり、現実に引き戻されることを恐れる。


MBTIという性格指標があるのだが、心理機能のみで考えるとドリームでのルシ子はENFP(外向-直観-感情-知覚)、アクトでのルシ子はINFP(内向-直観-感情-知覚)のように思える。少なくともルシ子は高いFi(内向的感情)とNe(外向的直観)を持っている。

ビッグファイブ式性格指標(16パーソナリティーズ)ではENTP-Tであるのではないか?と推測する。ここでT(思考)を出したのは協調性よりも自身の考えを重視しているのではないかと思ったからだ。

ソシオニクスではドリームではIEE(直観-倫理-外向)でアクトではLII(論理-直観-内向)ではないかと思う。ルシ子は論理的ではないが少なくともアクトでは倫理を重要視していないからLを出した。

エニアグラムではドリームでは7w8、アクトでは4w5に見える。ドリームを現実として捉えた場合のエニアグラムは7の楽観主義者(現実主義を伴う)であり、全て妄想の中で楽しんでいるのなら4の個人主義者(理想主義を伴う)である。

トライタイプは言うまでもなく478だ。人によっては「服を友達のために手作りするとか2も高くない?」と思うだろうが2は飽くまでも「他人を支えることにより幸せを得る人」であり、ルシ子の服作りは自分に構ってもらう手段であるため2ではない。ルシ子は4w5と7w8の二面を持った典型的な478だ。




まあ今回はそんな感じかな。また気が向いたら他キャラについても考察したい。

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