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好きとは

すごく楽しかった一週間のことを、時間に隙間ができては思い出している。

最後の日、東京は夕方から雪が降って、夜には雷雨になった。大きな仕事道具を抱えた私達は、雨を気にしてろくに挨拶もせず逆方向に歩いていった。

一番仲良くなった人たちには、さようならとありがとうの連絡を出来なかった。連絡先は交換したし、あいさつをしたほうが良いだろうか、と数日考えたけどさようならを言いたくない気持ちに嘘はつけなくて連絡はしないことにした。

友達とはなにか、仲が良いとは、仲間とは、好きとは、無意識に深く考えるのを避けてきたことを色々と思い出してしまった。

生存の安定を手に入れるために手放したものたちが、生存の安定を手に入れた結果、目の前に現れた。皮肉。今はもう追いかけられない。

最後の日から数日経って仕事に向かう。久しぶりの独り。スポティファイから耳に入るの吉澤嘉代子の歌詞と晴天の眩しさが自分に重なって、いきなりたくさん涙が溢れてきた。嬉しいんだか悲しいんだかわからなかった。なんとなく、ここで泣き逃したらもうちゃんと心を思い出せなくなっちゃうような気がして、止まるまで止めないでおいた。

あれから一週間たったけど、まだ痛みは深い。もうずっと残るかもしれない。

ケイナちゃんは、今日も元気です。

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