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先日の天皇杯県予選準決勝、鹿屋体育大学対鹿児島ユナイテッドFCに見るプロ論。

こないだの日曜日、雨の中サッカーを見に行ってきました。天皇杯予選は40分ハーフの延長各10分。つまり100やって結果は0-0のPK(7-6)で鹿児島ユナイテッドの勝ち抜けでした。

ワールドカップを毎晩見てるからか内容はあまりいいようには見えなかったですけど、ユナイテッドの“戦術:柳崎のキープ”がすごかったですね。なんでかわかんないけど3人に囲まれようがぜんぜんボールを取られない。一方、鹿屋体大のボランチ#8は光ってました。ボールを出したあと2,3歩の動きのセンスが抜群です。鳥栖の強化指定選手らしいです。ぶっちゃけ戦術として洗練されてたのは鹿屋体大のほうだったと思います。3バック→4バックの移行もスムーズでしたし。さすがに球ぎわはユナイテッドが強かったですけど。

終わってみての見どころは、膠着状態でユナイテッドが3枚目に誰を使うか、ってところでした。大久保さん、結果的に辻(#18)を使ったんですよねぇ。中筋(#20)に代えて。
ピッチ際でしゃがんでじっと展開を見ていた大久保さん、やおら立ち上がって「よし、辻でいこう」って言ったんです。そんで「勇人~」って。アップしてた辻がそのまま駆け足でベンチに行こうとして、一旦戻って他のアップしてる選手とタッチ交わしてからin。このシーンがよかったです。
こういうのが間近で見れるからふれスポはいいですね。下手すりゃ声も聞こえるしベンチ裏が一番いい席です(笑)

振り返ってみるとあのシーン、鹿屋体大の左CB(#3)がヘディング頑張ってたんですよね。でも足元は不安げ。それを見てたんでしょうかね。辻は右サイドからニアをえぐってGKとDFの間にクロス。この試合最大の決定機を作ってました。辻って選手は選択を誤らないので、観戦してて勉強になる選手です。

ところで。
じゃあ大久保さんはどうしてあの場面で「辻」を選択したのか?ってのがありまして。そこでこれを読み返してみたんです。

岡田武史氏が語る、日本代表監督の仕事とは

これ、リーダーシップ論の名文なのでサッカーに興味ない方も読んでおいて損はないですよ。で、注目したのがこの文章。

本当にEnjoyするためには何をしないといけないかというと、「頭で考えながらプレーするな」ということです。どういうことかというと、脳は(大脳)新皮質と(大脳)旧皮質からできていて、脊髄からつながっているところが旧皮質で、簡単に言うとどんな動物でも持っている本能のようなところです。そして、人間と一部の動物が発達しているのがその周りの新皮質で、ここは物事を論理的に考えたり、言葉を喋ったりするところです。

ところが、コンピュータの演算速度で例えると、新皮質は演算速度が非常に遅い。例えば、新皮質で考えながら自転車には乗れない。右足のひざをこの辺まで曲げて、このくらいまでいったら体重を左にかけて……なんて考えながら乗れないですよね。キャッチボールもできない。ひじを伸ばして、ボールが来たから指を開いて、次に閉じて……と考えていたら間に合わない。旧皮質で感覚的にやっていかないといけない。スポーツというのは旧皮質でやらないといけないんです。

ところが日本人はどうも教えられ慣れているので、ボールが来たから胸でトラップして……と新皮質で考えながらやってしまう。だから、向こうでは全然大したことないようなブラジル人がバンバン点を取る。あいつら何も考えていない。来たボールをボンと蹴るだけ。ある意味そういうことも大切。練習では考えてやらないといけない。でも、「試合ではそれを頭を使ってやるな。自分が感じたことを信じて、勇気を持ってプレーしなさい」、それがEnjoyです。

これ読んで考えなおしました。もしかしたら大久保さん、ただ素直に勘が働いたってことなんじゃないかと。大久保さん、若いですけど経験は県内屈指の指導者ですから。


ここでやっと表題のプロ論について。

よくプロってのはお金をもらう人でアマチュアはそうでない人ってくくりで考えられてるみたいなのですが、もともとの語源は実はそうではないんです。

アマチュアってのは「愛好者」。プロフェッショナルは「(神に対して)宣誓する、信仰を告白する」つまり聖職者。
この2つ、対義じゃないんです。

前もって告白するのって、リスク背負うってことでもありますからなかなか勇気が要ります。でも、告白しちゃえばとりあえずはプロフェッショナル。あとはそれを周りが認めてくれるかどうか。ユナイテッドはそれを選手も監督もスタッフも観客も、ひとつひとつ実績積んでいってるってのがあっていいですね。

僕もがんばらんとなー。



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