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夢中になれるものがなくなった日々の恐ろしさと、学マスの話

要約
・デレマスを卒業した
・虚無の日々は思ったよりキツかった
・花海咲季にハマった

デレステのアプリを消した。
起動を避けて階層の奥深くに隠して遠ざけていたから、消す事に躊躇いはなかった。そもそも私の指は産後、リズムゲームに向かない状態になってしまっていたので自然な成り行きであったと思う。
シャニマスは目押しの致命的なド下手くそさで去り、シャニソンはカードバトルに脳みそが追いつかず去った。
アイマスという巨大コンテンツから卒業できるタイミングだった。
不思議なことに、あれほど苦しいと思っていたデレマスが遠くなると、やってきたのは空虚な感覚だった。絶対的な「好きなもの」を遠ざけた結果、熱中できるものが見当たらず、何を見てもハマることができずに立ち去ってしまう。
もう若くもない、体力も気力も衰えた人間が新規コンテンツの開拓をするのは難しいのだろうか。数多あるソシャゲを片っ端から試しては消す、それを繰り返している間、そう感じるようになっていた。
正直焦った。ヤバい。
オタクが気力を無くしたら何が残るのか?
幸いにも私は家族に恵まれ、毎日するべきことがちゃんと存在する。でも、張り合いがない。
産後、本を読む気力が激減した。
アニメもほとんど観なくなった。
推し馬たちは引退した。
中日ドラゴンズは今年もなんか……うん、辛い。いや、去年よりすこーし明るい気がするけど……頑張って応援しようね。
ウマ娘は続けてるけどやる気の波が激しい。
リヴリーは続けてるけどデイリーの完遂率は下がっている。
私という人間はこんなにも情熱のない人間だったのか。
その事実を目の当たりにしてめちゃくちゃ焦った。元々長続きしない飽き性な人間だが、本当に好きになったものはずっと続く自信があった。その自信の支えを、私は自ら遠ざけてしまった。
そして残ったのは「特に何も好きなものがない、流行りのコンテンツも把握していない中年オタクの成れの果て」である。
イヤだ。私はオタクだ。オタクだったはずだ。何かに熱中してそこにリソースを傾ける情熱を持てる人間だったはずだ。それなのに、私は今何一つ熱狂できるものがない。
推しは探すものではなくて出会うものだとは言うけれど、情熱が萎んで消えていく日々を過ごしていると手当たり次第に探したくなる気持ちがわかった。
私はもうオタクでは居られない人間なのか?
そんな不安を抱えながら、新規のCSゲームやソシャゲに手をつけては去る日々が半年以上続いた。


学園アイドルマスターがサービス開始した時、私は明確に避けていた。なんかどの子も癖が強そうだなと思ったし、あからさまにめんどくさそうなのは男女関係なくちょっとなぁ、と思っていた。
それでもなんとなく気になってキャラプロフィールを覗いてみて、衝撃を受けた。
赤キャラが愛知県出身なのである。
愛知県出身!?マジで!?ナンデ!?
アイマスの信号機といえばつまり初期においては主人公である。とくに赤は伝統的にセンターのキャラで、配置上真ん中になるし、アイコンとして表示される枠だ。そこに愛知県出身。
いや、愛知県出身が珍しいわけじゃ無い。デレにも沢山いたし、シャニにもミリにもいる。ただ、赤青黄のユニットに入ったことは一度もなかった。だいたい関東で構成されてるイメージだ。
それがまさかの赤枠。しかもよく見たら姉妹で。妹もアイドルとしてプレイアブルで登場するのだ。
この時の衝撃は凄かった。3日ぐらいずっと「マジで?なんで愛知?」とか考えてた。
たしかに人の集まる都市の一つではあるが、愛知県民は常に「でも愛知って東京や大阪や福岡と比べると中途半端だよな」とか思ってる生き物なので、急にスポットライトを当てられると当惑してしまうものなのだ。クソデカ主語かもしれなかいが、8割ぐらいの愛知県民はそう思ったことがあると信じてる。
よく言われる三英雄だって、結局信長は岐阜、秀吉は大阪、家康は江戸が本拠地だ。
トヨタは巨大になりすぎてもう愛知って感じしないし、平凡と平均の代表みたいなところにいる。
観光地はそれなりにあるけど、でも東京や大阪にあるような華やかさがあるかというと、勝負しきれない、一歩引いた感じがある。
有名な作家に「愛知県民は県外に出ない。それで十分幸せだから」と皮肉を書かれても反論できないぐらいには、自分の県のことは好きだけどイマイチ自信に欠ける、そんな場所だ。
それがメイン枠。主人公。伝わるだろうかこの衝撃が。
おまけに元アスリート。競技が明確じゃないからちょっとフワッとした扱いだけど、愛知だってスポーツは強い県だ。好きになりそうな気がする。
そんな気持ちでいそいそと学マスをインストールして、何の迷いもなく赤い子、花海咲季のSSRを貰った。
案の定、育成には苦戦した。してる。
ロジックって何だ。やる気と好印象のどこがロジックなんだ?
サポカのスキルが全然把握しきれん
ガチャ渋くない?(小声)
最終試験全然勝てない。妹の佑芽ちゃんがクソ強い
キャラと曲セットなの極悪じゃない?(小声)
体力管理が難しい
スキルカードの役割を理解しきれていない
それでも、なんとか花海咲季のSSRはtrueエンドにまで行った。
そして咲季ちゃんのことが好きになりつつある現在、私は幸運に感謝して少し浮かれている。
地元出身のキャラで、メイン枠を貰っていて、グッズも歌も出ているというのも幸運だ。
でもなにより好きと言える存在に出会えたことがラッキーだ。
これからまた、運営に翻弄されて一喜一憂する日々が来るのかもしれない。来るのかな?どうだろう。主人公枠を好きになったのはこれが初めてだから何もかもが未知だ。
それでも、自分の「好き」をまた見つけたのだ。
私はまだ情熱を持っていていいらしい。
それが一番嬉しい。