人工の天然
「本物の天然は自分のことを天然と言わない」なんていうのを聞いたことがある。高校生くらいの時にその言葉が流行ってた。
「あの子は天然だ」「あの子の天然は人工だ」なんて、女子が盛り上がっていた。男子も盛り上がっていた。天然か天然じゃないかなんて、今思えばほんとにしょうもない議題だが、そんなしょうもないことで人を判断してたときは確かにあった。
本人の前では誰も言わない。
大阪は連日真夏日だ。昨日の14時過ぎ、玄関に鍵を差し込んだとき。制服を着て窓辺に寄りかかり同級生と過ごす、懐かしい放課後をふいに思い出した。
私は10日間、「大丈夫」と言い続けてきた。ほんとうに大丈夫と思ってたし、無理して大丈夫と言ってたつもりもない。
でもその、高校生のころの天然問題を思い出したので、いちおう疑問をもってみた。
ほんとに大丈夫なヤツは自分で大丈夫って言わないんじゃないのか?
私の大丈夫は人工なのでは?
だから、口に出してみた。
「私は大丈夫じゃなかったのかもしれない。」「100%大丈夫ではなかったかも。」
じわーと、涙が浮かんだ。
口にしてよかったと思う。発声しないと受け入れられてなかったかもしれない。気づいてもいなかったかもしれない。
だから、あのころ「あの天然は人工だ」なんてウワサされていたあの子だって、本気で自分が天然じゃないことに気付いてなかったのかもしれない。
自分のことを天然だという人は、あんまり天然じゃないし
自分のことを天然と言わなくても、天然なところはあると思う
まあ、そういうことに気づけることが、前に進む一歩なんだと思う。
今日もすこぶる暑い。
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